大白蓮華 巻頭言 2019年11月号

大白蓮華 巻頭言   2019年11月号
2019年(令和元年)11月号(No.841)

巻頭言  人類の希望の宝座・ザダンカイ


                                池田大作

 恩師と一緒に拝した忘れ得ぬ御聖訓がある。佐渡から遠く甲斐(かい)の国まで夫(おっと)を送り出した千日尼(せんにちあま)への御書である。
「阿仏房(あぶつぼう)を見つけて・尼ごぜんは・いかにと・まづといて候いつれば・いまだやまず」(1314ページ)と。
 日蓮大聖人は、疫病(えきびょう)が流行する中で、門下を案じ祈っ てくださっていた。遠来の阿仏房を労(ねぎら)いつつ、真っ先に一人一人の安否(あんぴ)を尋(たず)ねられ、その無事を喜ばれている。 とともに、千日尼に託(たく)して、家族に先立たれた婦人への心に染(し)み入る励(はげ)ましのご伝言を送ってもおられるのだ。
  戸田先生は、この御文を私に拝読させながら言われた。「これが、御本仏の人間性の極致(ごくち)の御振る舞いだよ。 我らの座談会も、かくありたいものだ」と。

 創価人間主義は、座談会から限りなく湧現(ゆげん)する。
 ハーバード大学での2度目の講演で、私は「人間復権の宗教」すなわち「人間を強く、善(よ)く、賢(かしこ)くする」宗教こそが、21世紀文明を創造すると提唱した。
 まさしく座談会は、集える友が皆、より強く蘇生(そせい)して、 「人間革命」の主役となって躍(おど)り出る劇場である。いかなる宿命にも断じて負けない仏の力が湧いてくる。
 また座談会は、元初からの家族の広場といってよい。 あらゆる差異(さい)を超(こ)え、互いの善性(ぜんしょう)を信頼し、触発(しょくはつ)し合う。人類が求めてやまない寛容(かんよう)と共和のモデルがここにある。
 そして座談会は、最極(さいごく)の生命尊厳の哲理の道場である。 老いも若きも生き生きと学び、語り合う中で、一人一人が賢明(けんめい)になり、価値創造の智慧(ちえ)を漲(みなぎ)らせていくのだ。
 1968年、私は勇(いさ)んで「座談会革命」に率先(そっせん)した。自ら出席した富士宮の座談会では、「今法華経・寿量品(じゅりょうほん)を持(たま)つ人は諸仏(しょぶつ)の命を続ぐ人なり、我が得道(とくどう)なりし経を持つ人を捨(す)て給(たも)う仏あるべしや」(1050ページ)の一節を拝し、「どんな試練があっても、最後は必ず勝つ」と訴えた。
 以来半世紀、民衆仏法の勝利の光は世界に広がっている。  
 前進・人材の年は、新たなザダンカイ革命から出発だ!


  人類の
   希望の宝座(ほうざ)に
      青年(きみ) 来れ
    生命の歓喜
     共に謳(うた)わむ​​