2008年5月25日 聖教新聞 創価学園 特別文化講座 創立者 ダンテを語る 5-2
2008年5月25日 聖教新聞
創価学園 特別文化講座 創立者 ダンテを語る 5-2
堂々と
天にそびゆる
人材を
世界におくりし
わが師を讃えむ
一、『神曲』の師弟も本当に美しい。
師ウェルギリウスは、罪と罰とが激しく渦巻く「地獄」「煉獄」を進みながら、弟子ダンテを、時に温かく、時に厳しく、励まし続ける。
思いつくままに、紹介させてもらえば──
「怖れるな、わたしが君を導くかぎり」「怖れるな。われらの進むを妨げる力は誰にも無し」(前掲寿岳訳)
「私について来い、勝手にいわせておけ。/風が吹こうがびくとも動ぜぬ塔のように/どっしりとかまえていろ」(前掲平川訳)
「必ず我等は戦に勝つべきである」(中山昌樹訳『ダンテ全集第1巻』日本図書センター)と。
ダンテ 私は命ある限り師の大恩を世に語り示すつもりです!!
すべて、そのまま、わが学園生に贈りたい言葉です。
一方、弟子ダンテは、「慕わしき蹠(あしうら)の跡を追うた」(同、現代表記に改めた)と、師匠の足跡までが慕わしいと感謝を捧げます。
「先達が希望を与え、光となってくれたのだ」「私がいかほど先生に恩を感じているか、/私は生きている限り、世に語り世に示すつもりです」(前掲平川択)
敬愛する師の恩に応えたい──このダンテの報恩の心こそが、険しき旅路を歩み抜き、勝利していく力となったのです。
地獄と煉獄の旅を終えるにあたり、師匠ウェルギリウスは、強く逞しく成長したダンテの頭上に「冠」を授ける。
弟子の「成長と勝利」こそ、師にとって最高の喜びです。私にとって最高最大の喜びも、学園生一人一人の「成長」であり、「勝利」なのです。
若獅子よ
おお頭(こうべ)には
月桂冠
乙女の髪には
英知の風吹け
女性が主役!
一、『神曲』の最終部は、罪悪と争いに満ちた地底の「地獄界」や地上の「煉獄界」を見おろす「天国界」──大宇宙の旅でもあります。
この旅で、ダンテを導く役割を担うのは、高潔な女性のベアトリーチェです。
「おまえが望み憧れる真実に向かってこの道を私が/どのように進むかをよく見ておきなさい」(前掲平川訳)
「真理の上に未だ足を重ねずして汝は/依然として身を虚妄に回らしている」 (中山訳『ダンテ全集第3巻』同、現代表記に改めた)
毅然たる女性の激励に対して、ダンテは心から感謝を述べます。
「正しい考えと誤った考えを証しながら/美しい真理のやさしい姿を私にしめした」(野上素一駅『筑摩世界文学大系11 ダンテ』筑摩書房)と。
率先の模範を示しながら、時に凛然と、時に理路整然と、雄弁をもって正邪を語り導く姿は、輝く創価の乙女を思わせる品格があります。
一、学園出身の女性たちの活躍を讃える声を、私は、社会の各界の方々から、本当によくうかがいます。皆、自分らしく、努力に努力を重ね、「使命の道」で輝いている。
弁護士や公認会計士、政治家、外交官、医師、ジャーナリスト、通訳・翻訳者、大学や学校の教員など、社会の第一線で光を放っているメンバーもいます。小学校の校長も誕生しました。
またアメリカの名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)など世界の名門大学で博士号を取得した人や、アメリカ創価大学を最優秀の成績で卒業し、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の大学院に進んだ人もいます。
そして、多くの卒業生が、学園時代の誓いを胸に、信頼厚き地域の女性リーダーとして、全世界で活躍しています。
強く賢く清らかな心の女性こそが、世界を平和と善の調和の方向へとリードしていく──これがベアトリーチェに託したダンテの信念でした。
「女性の世紀」は、これからが本番です。皆さんこそ、その先頭に立つリーダーなのです。
一、さて、「神曲」に登場する女性ベアトリーチェは、ダンテを導きながら、天の高みへ高みへと上昇するにつれて、ますます目が輝き、姿の美しさが増していった。
それは「善行をおこなう時、心に感じる喜びが/増す」(同)ことを譬えています。
正義と平和のために戦えば戦うほど、生命が躍動し、歓喜が増していく。心美しき学園出身の女性は、全員が「幸福の博士」であれ! 「歓喜の人生」であれ!──私と妻はいつも、そう祈っています。
聡明な
私の娘の
香友会
幸福博士と
この世勝ち抜け
三世まで
共に共にと
蛍会
なんと優しく
強き姫らよ
他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない
人間の変革こそ
一、わが創価学園は、天文教育が盛んです。
とくに関西校は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の教育プログラム「アースカム」への参加回数で「世界一」を更新し続けています。
「宇宙」という視点を持ち、「地球民族主義」という信念を持った平和の世界市民を育成する、素晴らしい伝統ができ上がった。
思えば、関西学園の第1回入学式で、私は、全国から集った乙女たちに一つの提案をしました。
それは、「他人の不幸のうえに自分の幸福を築くことはしない」という絶対平和の信条を、わが学園で身につけてほしいということでした。
この「自他共の幸福」を願う心こそ、仏法の真髄の心であり、「平和の世紀」の重要な指針です。
ハーバード大学での1回目の講演でも、私は、この学園の指標を紹介しました。最高峰の知性の方々からも深い共鳴が寄せられました。
一、「地球の変革」とは、どこまでいっても「人間自身の変革」から始まる。
自らの過酷な運命に打ち勝ったダンテは、人類の運命もまた変えられることを強く訴えました。
『神曲』でダンテは、意志の力は暴力よりも強いことを主張しています(天国篇第4歌)。
また「意志の力が/十分に養成されているならば、すべてに克てるはずだ」 (前掲平川訳)とも言っている。
そして、地球をはるかに見つめながら──人類が、これまで歩んできた道は争いの絶えない道だった。未来を断じて変えなければならない。未来は変えられる!──と平和の大宣言を放っていくのです(天国篇第27歌)。
学は正義の土台
一、世界のために、未来のために、今は学ぶ時です。真剣に力をつける時です。
私は皆さんに、学問こそ、幸福の土台であり、正義の土台であり、勝利の土台であると強く申し上げたいのです。
一、ダンテは『神曲』の各篇の最後を、「星々=ステレ」という言葉で結んでいます。
ダンテにとって「星」は、旅の「目的地」であり、還るべき「故郷」です。そして、「永遠なるもの」「偉大なるもの」の象徴でもある。
創価学園は、永遠に、皆さんの還るべき魂の金の星なのです。
一、ダンテが愛読していた古代ローマの哲学者キケロは、こう語った。「困難が大きければ、それだけ誉れも大きい。いかなる場合にも、正義の働きを止めてはならないのである」(高橋宏幸訳「義務について」、『キケロー選集9』所収、岩波書店)
ダンテは20年の亡命生活のなかで『神曲』を書き続けて、死の少し前に完成させました。
晩年は、イタリアのラヴェンナの地に、家族を呼び寄せて平穏に暮し、1321年の9月、このラヴェンナの地で生を終えました。
ダンテは勝った。堂々と勝ちました。
正義は勝ったのです。
ダンテを迫害した者は、歴史に汚名を残し、今なお厳しい断罪を受けています。
詩聖ダンテの名声は、その苦難の足跡ゆえに、ひときわ大きな光彩を人類史に放っております。
ダンテの頭上には、生前、彼が願っていた通り、月桂冠が冠せられたという。
月桂冠は、人類史に輝く偉大なる詩人にのみ贈られる「桂冠詩人」の証しでした。
そしてまた、月桂冠は、誇り高き「勝者」の象徴です。
わが学園生は、一人も残らず、人生の勝利者となっていただきたい。
わが学園生の頭(こうべ)に、一人ももれなく、「幸福と正義と勝利の月桂冠」を贈りゆくことこそ、私と妻の夢であり、祈りです。
勇気で立て!
「私は、皆さん方.の創立者として、2006年の1月、ダンテの祖国であるイタリア共和国より、「功労勲章 グランデ・ウッフィチャーレ章」を拝受しました。
その折、私は謝辞をダンテの『神曲』の一節で結びました。
その言葉を、わが愛する学園生、そして大切な大切なわが弟子に贈り、第1回の特別文化講座とさせていただきます。
「さあ立ち上りたまえ」「どんな戦いの中でも必ず勝つ確固たる勇気をもって」 (片山敏彦訳『ロマン・ロラン全集4』所収、みすず書房)
忘るるな
偉大な師弟の
契りかな
防ち抜けや
正義の星と
学園生
グラッチェ!(イタリア語で「ありがとうございました!」)
(終わり)
創価学園 特別文化講座 創立者 ダンテを語る 5〔完〕
ブログ はればれさんからのコピーです。
創価学園 特別文化講座 創立者 ダンテを語る 5-2
堂々と
天にそびゆる
人材を
世界におくりし
わが師を讃えむ
一、『神曲』の師弟も本当に美しい。
師ウェルギリウスは、罪と罰とが激しく渦巻く「地獄」「煉獄」を進みながら、弟子ダンテを、時に温かく、時に厳しく、励まし続ける。
思いつくままに、紹介させてもらえば──
「怖れるな、わたしが君を導くかぎり」「怖れるな。われらの進むを妨げる力は誰にも無し」(前掲寿岳訳)
「私について来い、勝手にいわせておけ。/風が吹こうがびくとも動ぜぬ塔のように/どっしりとかまえていろ」(前掲平川訳)
「必ず我等は戦に勝つべきである」(中山昌樹訳『ダンテ全集第1巻』日本図書センター)と。
ダンテ 私は命ある限り師の大恩を世に語り示すつもりです!!
すべて、そのまま、わが学園生に贈りたい言葉です。
一方、弟子ダンテは、「慕わしき蹠(あしうら)の跡を追うた」(同、現代表記に改めた)と、師匠の足跡までが慕わしいと感謝を捧げます。
「先達が希望を与え、光となってくれたのだ」「私がいかほど先生に恩を感じているか、/私は生きている限り、世に語り世に示すつもりです」(前掲平川択)
敬愛する師の恩に応えたい──このダンテの報恩の心こそが、険しき旅路を歩み抜き、勝利していく力となったのです。
地獄と煉獄の旅を終えるにあたり、師匠ウェルギリウスは、強く逞しく成長したダンテの頭上に「冠」を授ける。
弟子の「成長と勝利」こそ、師にとって最高の喜びです。私にとって最高最大の喜びも、学園生一人一人の「成長」であり、「勝利」なのです。
若獅子よ
おお頭(こうべ)には
月桂冠
乙女の髪には
英知の風吹け
女性が主役!
一、『神曲』の最終部は、罪悪と争いに満ちた地底の「地獄界」や地上の「煉獄界」を見おろす「天国界」──大宇宙の旅でもあります。
この旅で、ダンテを導く役割を担うのは、高潔な女性のベアトリーチェです。
「おまえが望み憧れる真実に向かってこの道を私が/どのように進むかをよく見ておきなさい」(前掲平川訳)
「真理の上に未だ足を重ねずして汝は/依然として身を虚妄に回らしている」 (中山訳『ダンテ全集第3巻』同、現代表記に改めた)
毅然たる女性の激励に対して、ダンテは心から感謝を述べます。
「正しい考えと誤った考えを証しながら/美しい真理のやさしい姿を私にしめした」(野上素一駅『筑摩世界文学大系11 ダンテ』筑摩書房)と。
率先の模範を示しながら、時に凛然と、時に理路整然と、雄弁をもって正邪を語り導く姿は、輝く創価の乙女を思わせる品格があります。
一、学園出身の女性たちの活躍を讃える声を、私は、社会の各界の方々から、本当によくうかがいます。皆、自分らしく、努力に努力を重ね、「使命の道」で輝いている。
弁護士や公認会計士、政治家、外交官、医師、ジャーナリスト、通訳・翻訳者、大学や学校の教員など、社会の第一線で光を放っているメンバーもいます。小学校の校長も誕生しました。
またアメリカの名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)など世界の名門大学で博士号を取得した人や、アメリカ創価大学を最優秀の成績で卒業し、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の大学院に進んだ人もいます。
そして、多くの卒業生が、学園時代の誓いを胸に、信頼厚き地域の女性リーダーとして、全世界で活躍しています。
強く賢く清らかな心の女性こそが、世界を平和と善の調和の方向へとリードしていく──これがベアトリーチェに託したダンテの信念でした。
「女性の世紀」は、これからが本番です。皆さんこそ、その先頭に立つリーダーなのです。
一、さて、「神曲」に登場する女性ベアトリーチェは、ダンテを導きながら、天の高みへ高みへと上昇するにつれて、ますます目が輝き、姿の美しさが増していった。
それは「善行をおこなう時、心に感じる喜びが/増す」(同)ことを譬えています。
正義と平和のために戦えば戦うほど、生命が躍動し、歓喜が増していく。心美しき学園出身の女性は、全員が「幸福の博士」であれ! 「歓喜の人生」であれ!──私と妻はいつも、そう祈っています。
聡明な
私の娘の
香友会
幸福博士と
この世勝ち抜け
三世まで
共に共にと
蛍会
なんと優しく
強き姫らよ
他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない
人間の変革こそ
一、わが創価学園は、天文教育が盛んです。
とくに関西校は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の教育プログラム「アースカム」への参加回数で「世界一」を更新し続けています。
「宇宙」という視点を持ち、「地球民族主義」という信念を持った平和の世界市民を育成する、素晴らしい伝統ができ上がった。
思えば、関西学園の第1回入学式で、私は、全国から集った乙女たちに一つの提案をしました。
それは、「他人の不幸のうえに自分の幸福を築くことはしない」という絶対平和の信条を、わが学園で身につけてほしいということでした。
この「自他共の幸福」を願う心こそ、仏法の真髄の心であり、「平和の世紀」の重要な指針です。
ハーバード大学での1回目の講演でも、私は、この学園の指標を紹介しました。最高峰の知性の方々からも深い共鳴が寄せられました。
一、「地球の変革」とは、どこまでいっても「人間自身の変革」から始まる。
自らの過酷な運命に打ち勝ったダンテは、人類の運命もまた変えられることを強く訴えました。
『神曲』でダンテは、意志の力は暴力よりも強いことを主張しています(天国篇第4歌)。
また「意志の力が/十分に養成されているならば、すべてに克てるはずだ」 (前掲平川訳)とも言っている。
そして、地球をはるかに見つめながら──人類が、これまで歩んできた道は争いの絶えない道だった。未来を断じて変えなければならない。未来は変えられる!──と平和の大宣言を放っていくのです(天国篇第27歌)。
学は正義の土台
一、世界のために、未来のために、今は学ぶ時です。真剣に力をつける時です。
私は皆さんに、学問こそ、幸福の土台であり、正義の土台であり、勝利の土台であると強く申し上げたいのです。
一、ダンテは『神曲』の各篇の最後を、「星々=ステレ」という言葉で結んでいます。
ダンテにとって「星」は、旅の「目的地」であり、還るべき「故郷」です。そして、「永遠なるもの」「偉大なるもの」の象徴でもある。
創価学園は、永遠に、皆さんの還るべき魂の金の星なのです。
一、ダンテが愛読していた古代ローマの哲学者キケロは、こう語った。「困難が大きければ、それだけ誉れも大きい。いかなる場合にも、正義の働きを止めてはならないのである」(高橋宏幸訳「義務について」、『キケロー選集9』所収、岩波書店)
ダンテは20年の亡命生活のなかで『神曲』を書き続けて、死の少し前に完成させました。
晩年は、イタリアのラヴェンナの地に、家族を呼び寄せて平穏に暮し、1321年の9月、このラヴェンナの地で生を終えました。
ダンテは勝った。堂々と勝ちました。
正義は勝ったのです。
ダンテを迫害した者は、歴史に汚名を残し、今なお厳しい断罪を受けています。
詩聖ダンテの名声は、その苦難の足跡ゆえに、ひときわ大きな光彩を人類史に放っております。
ダンテの頭上には、生前、彼が願っていた通り、月桂冠が冠せられたという。
月桂冠は、人類史に輝く偉大なる詩人にのみ贈られる「桂冠詩人」の証しでした。
そしてまた、月桂冠は、誇り高き「勝者」の象徴です。
わが学園生は、一人も残らず、人生の勝利者となっていただきたい。
わが学園生の頭(こうべ)に、一人ももれなく、「幸福と正義と勝利の月桂冠」を贈りゆくことこそ、私と妻の夢であり、祈りです。
勇気で立て!
「私は、皆さん方.の創立者として、2006年の1月、ダンテの祖国であるイタリア共和国より、「功労勲章 グランデ・ウッフィチャーレ章」を拝受しました。
その折、私は謝辞をダンテの『神曲』の一節で結びました。
その言葉を、わが愛する学園生、そして大切な大切なわが弟子に贈り、第1回の特別文化講座とさせていただきます。
「さあ立ち上りたまえ」「どんな戦いの中でも必ず勝つ確固たる勇気をもって」 (片山敏彦訳『ロマン・ロラン全集4』所収、みすず書房)
忘るるな
偉大な師弟の
契りかな
防ち抜けや
正義の星と
学園生
グラッチェ!(イタリア語で「ありがとうございました!」)
(終わり)
創価学園 特別文化講座 創立者 ダンテを語る 5〔完〕
ブログ はればれさんからのコピーです。