2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」 宝塔48 4月30日

山本伸一は、脱脂綿を取り替えては、何人かの、泣いて赤く腫らした瞼を拭き、励ましの言葉をかけていった。 皆、大切な兄弟である。伸一は、メンバーのためなら、どんなことでもするつもりであった。 その伸一の心を感じ、メンバーはさらに、目を潤ませるの…

平和を!平和を!そこに幸福が生まれる (長編詩)2007・4・30 聖教新聞掲載

平和を!平和を!そこに幸福が生まれる (長編詩)2007・4・30 聖教新聞掲載 明るい人生のためには 平和でなければならない。 幸せの人生のためには 絶対に戦争はあってはならない。 人生、それは 幸福になるためにある。 人生、それは 不幸の闇と戦…

小説「新・人間革命」 宝塔47 4月28日

“よし、ぼくも真剣に信心をしてみよう!” 勝谷広幸は思った。 彼は盲学校に復帰し、寮生活に戻ると、放課後は近くの学会員の家に行き、勤行をさせてもらうなどして、信心に励んだ。 座談会に出ると、皆が息子や弟のように、温かく励ましてくれた。 “これが学…

きょうの聖教新聞 2007・4・30

★名字の言 ▼新年度が始まって、はや1ヶ月。新社会人となった若者たちの、積極的にチャレンジする姿が清々しい ▼一方、「五月病」という言葉が聞こえ始めるのも、この時期だ。社会の厳しさ、現実の理不尽に直面し、「こんなはずでは・・・・・」と落胆を感じ…

きょうの聖教新聞 2007・4・29

★名字の言 ▼警察庁がまとめたゴールデンウイークの主要行楽地の人出予想によると、第1位は「博多どんたく港まつり」と並び、「弘前さくらまつり」。210万人の来訪が見込まれる ▼日本一の「さくらまつり」を支えるのは、樹齢120年余、日本最古のソメイ…

きょうの聖教新聞 2007・4・28

★名字の言 ▼池田名誉会長と歴史学者トインビー博士の出会いから、来月5日で35周年。これを一つの原点として、名誉会長が綴った対談は実に50を超えた ▼ソ連時代からの旧知のモスクワ大学・トローピン元副総長は、その軌跡を「紛争の絶えない現代世界にソ…

小説「新・人間革命」 宝塔46 4月27日

山本伸一は、皆の目を見ると、微笑みながら言った。 「みんな泣いて目が腫れてしまったよ。水で拭いてあげよう。私たちは兄弟なんだから」 彼は、同行の幹部に脱脂綿を用意してもらい、それをきれいな水に浸して、近くにいたメンバーの瞼をさっと拭いた。 そ…

きょうの聖教新聞 2007・4・27

★名字の言 ▼広島原爆の爆心地は東経132度27分、北緯34度23分。その真北(北広島町)にあるのが「世界平和祈願の碑」。同じ緯度近くに、原爆が製造された米国、ロスアラモス、大西洋を越えて戦乱の中東地域も ▼青い地球を覆うのは、繰り返される核兵…

小説「新・人間革命」 4月26日 宝塔45

人間は助け合わなければならない。体などに障害があれば、温かい援助の手が必要である。とともに、自立自助をめざす心が大事になる。 その自立を阻むのが、甘えの心である。 甘えは、時に自分自身を不幸にする要因となる。自分の思いや要求が満たされないと…

きょうの聖教新聞 2007・4・26

★名字の言 ▼「平成19年(2007年)能登半島地震」から約1ヶ月。いまだに余震が続くなか、被災者の皆さまの一日も早い復興を、心から祈りたい ▼政府は20日、同地震の被害を、「激甚災害」に指定。これで復旧費用に対する国の補助が引き上げられる。対象は、輪…

小説「新・人間革命」 4月25日 宝塔44

ここで山本伸一は、仏道修行は、どのような難をも耐え抜いていく、忍辱の心が大切であることを訴えていった。 メンバーが現実社会のなかで生き抜き、信心に励んでいくうえでは、さまざまな試練もあろう。心ない偏見、また、冷たい仕打ちに泣くこともあるにち…

きょうの聖教新聞 2007・4・25

★名字の言 ▼一昨年の4月25日、人間国宝・小林ハルさんがなくなった。享年105歳。1900年、新潟県に生まれたハルさんは、生後すぐに失明。5歳の時、盲目の女性旅芸人であるご女の修行にだされた ▼ご女たちは、三味線を手に、乗り物に乗らず歩く。か…

小説「新・人間革命」 宝塔43 4月24日

山本伸一は、それから笑顔で呼びかけた。 「さあ、勤行をしましょう。大きな声でお題目をあげよう」 伸一の導師で勤行が始まった。呼吸のぴったりとあった、清々しい勤行であった。 題目をしばらく唱え、鈴を叩いて御観念文に入ろうとすると、伸一の背中に、…

きょうの聖教新聞 2007・4・24

★名字の言 ▼「私は、ストレスを『肥やし』だと考えています」。脳科学者の池谷裕二氏の言葉に目がとまった(「第三文明」5月号)。自分の置かれた状況をプラスに考え、好奇心と楽しみを見いだせば、ストレスは脳にとって良い刺激になるという ▼が、前向きに…

小説「新・人間革命」 宝塔42 4月23日

山本伸一は、微笑みを浮かべて言った。 「こんにちは! 皆さんは勝ちました。人生の試練を見事に乗り越えてこられた。今日は、さらに新しい前進のために、一緒に勤行をしましょう」 そして、仏壇の前に進むと、一人ひとりを見つめながら語り始めた。 「皆さ…

巻頭言 5月(2007年)

「立正安国」は人類の希望の旗 仏法は すなわち 社会の法なれば 賢き智慧にて 栄光勝ち取れ 人生の真の「生き甲斐」とは、何か。 トインビー博士の答えは明快であった。 「私たちが住んでいるこの宇宙を変えようと努力することです」と。 人間として生まれて…

きょうの聖教新聞 2007・4・23

★名字の言 ▼「人は一心にやっておれば、また恵まれる時も来るもので」。箏曲「春の海」で有名な盲目の邦楽家・宮城道雄の言葉である(『心の調べ』河出書房新社) ▼少年時代から芸一筋。苦労して貧乏を抜けたと思ったら関東大震災、そして戦災・・・・。しか…

小説「新・人間革命」 4月21日 宝塔41

会長就任十四周年を迎えた一九七四年(昭和四十九年)の五月、山本伸一は、中国やソ連、シンガポールの駐日大使との会談や、フランスの作家アンドレ・マルローとの対談など、平和への語らいに力を注いでいた。 そして、月末には初の中国訪問が控えていた。 …

きょうの聖教新聞 2007・4・22

★名字の言 ▼道ばたの景色が緑色を帯びてきた。歩道のわきに点在する地面や石塀のすき間に、芽吹いた野草が顔をのぞかせている。新生児のように柔らかく新鮮な若葉の緑が目にまぶしい ▼それにしても野草の生命力はたくましい。人の手を借りなくても自力で立ち…

きょうの聖教新聞 2007・4・21

★名字の言 ▼急激な経済成長を見せる悠久の大国・インド。独立60周年の本年は「日印交流年」でもある。米フォーブス誌が発表した世界の長者番付では、資産10億㌦以上の長者の数で、インドが日本を上回り、初のアジア1位に ▼12年前、インド取材へ。経済…

小説「新・人間革命」 宝塔40 4月20日

反戦出版に携わった青年たちは、人びとの証言から、国家神道を精神的支柱とした軍国主義思想の恐ろしさを、痛感するのであった。 守るべき中心は国民ではなく国家とし、国のために勇んで死んでいける人間をつくることが教育であったのだ。それは万人を「仏」…

きょうの聖教新聞 2007・4・20

★名字の言 ▼明治初期の新聞は「大新聞」と「小新聞」に分かれていた。前者は、天下国家を論ずる“政論新聞”。読み手は、社会的有力者層、知識層が想定されていた ▼後者は“大衆新聞”であり庶民を対象に、娯楽記事など身近な話題を提供した。「小新聞」は文語体…

小説「新・人間革命」 4月19日 宝塔39

反戦出版では、子どもたちの被害に焦点を当てたものも少なくない。 そして、戦争がその国の“今”を破壊するだけでなく、“未来”をも破壊する非道な行為であることを、様々な角度から訴えている。 東京の青年部は、「学童疎開」した子どもたちを取材し、疎開先…

きょうの聖教新聞 2007・4・19

★名字の言 ▼日本で宇宙開発の第一歩がしるされたのは半世紀前。東京・国分寺市で全長わずか23㌢のペンシルロケットの発射実験が行われた。日本人女性初の宇宙飛行士・向井千秋さんが先ごろその地を訪れ、公演会が開かれた ▼小学生時代の夢は「病気で苦しむ…

小説「新・人間革命」 宝塔38 4月18日

外地での抑留や引き揚げを反戦出版のテーマとした県もあった。 引き揚げ港となった博多港を擁する福岡県青年部でも、『死の淵からの出帆――中国・朝鮮引揚者の記録』を発刊している。 引き揚げの道もまた、悲惨であった。 そこに登場する、ある婦人は、満州(…

きょうの聖教新聞 2007・4・18

★名字の言 ▼「民をもって官を促す(民間交流によって、行政の動きを促す)」。日中関係改善のために、かつて中国の周恩来総理が重んじた方針である。対話すべき団体はあるかー周総理は庶民の生命力あふれる創価学会に注目した ▼池田名誉会長は折に触れて語る…

小説「新・人間革命」 宝塔37 4月17日

熊本県の青年部も、加害者の側からの視点で反戦出版を行っている。 当初、メンバーは、熊本の第六師団は最強であったと聞かされてきたことに着目し、軍人であった人たちに、「なぜ第六師団は強かったか」との質問をぶつけてみた。 多くの人が快く取材に応じ…

きょうの聖教新聞 2007・4・17

★名字の言 ▼御書の「異体同心事」に引かれた故事。70万騎を誇った「殷のちゅう王」を、「周の武王」は800人で破った。しかし、周王朝の初代は武王でなく「文王」と伝えられる。そこには、正義の執念に貫かれた歴史のドラマがある ▼「殷のちゅう王」の暴…

小説「新・人間革命」 宝塔36 4月16日

沖縄、広島、長崎と進められた青年部の反戦出版は、一九七九年(昭和五十四年)には一都一道二府二十四県に広がり、五十六巻を数えた。 さらに、八一年(同五十六年)からは、「戦争を知らない世代へII」として、再び出版を開始。 八五年(同六〇年)まで…

きょうの聖教新聞 2007・4・16

★名字の言 ▼歴史学者の今枝由郎氏が、ヒマラヤの王国ブータンでの体験を紹介している ▼ドライブの途中、細い道に迷い込んだ。もはや後退はできない。前方には数十センチの段差。困っていると、通りがかりの人々が次々と石を積み上げ、段差を埋め始めた。数分…