2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」 清新57 2016年年8月20日

山本伸一の三度目となる今回のインド訪問は、「七つの鐘」の掉尾を飾るとともに、二十一世紀への新しい旅立ちとなる、ひときわ深い意義をもつ世界旅であった。 彼は、その記念すべき訪問の出発地を、どこにすべきかを考えた時、即座に九州しかないと思った。…

小説「新・人間革命」 清新56 2016年年8月19日

霧島連山は冬の雲に覆われ、薄日が差したかと思うと、雪がちらつくといった、安定しない天気であった。 一九七九年(昭和五十四年)二月一日、山本伸一は鹿児島県の九州研修道場にい た。三日には鹿児島を発ち、香港を経てインドを公式訪問することになって…

小説「新・人間革命」 清新55 2016年年8月18日

時代が変動していくなかで、宗教には、人びとの精神に、平和と幸福を創造する智慧の光を送り続ける使命と責任がある。 そのために宗教者には、共に最高の真理を探究し続け、教えを自ら比較、検証し、切磋琢磨していく向上への努力が不可欠となる。 それを欠…

小説「新・人間革命」 清新54 2016年年8月17日

人類は、往々にして紛糾する事態の解決策を武力に求めてきた。それが最も手っ取り早く有効な方法と考えられてきたからだ。 しかし、武力の行使は、事態をますます泥沼化させ、怨念と憎悪を募らせたにすぎず、なんら問題の解決にはなり得なかった。 一方、対…

小説「新・人間革命」 清新53 2016年年8月16日

人間は──誰もが等しく、尊厳なる、かけがえのない存在である。 誰もが等しく、幸福になる権利がある。 誰もが等しく、平和に暮らす権利がある。 本来、いかなる者も、人の幸福と平和を奪うことなどできない。 これは、一切衆生が仏の生命を具えていることを…

小説「新・人間革命」 清新52 2016年年8月15日

一九七九年(昭和五十四年)当時、世界は東西冷戦の暗雲に覆われていた。 そして、その雲の下には、大国の圧力によって封じ込められてはいたが、民族、宗教の対立の火種があった。 東西の対立は終わらせねばならない。 だが、そのあとに、民族・宗教間の対立…

〈随筆 永遠なれ創価の大城 10〉 被爆七十一年に誓う

〈随筆 永遠なれ創価の大城 10〉 被爆七十一年に誓う 2016年8月11日 平和の一歩を今日も共々に! 生命尊厳の若き旗手を世界が待望 この地から平和の誓いを世界へ。「原爆ドーム」が戦争の惨禍を訴え続ける(被爆40年の1985年10月、広島で池田SG…

【第28回】 知性と人格を磨き抜け (2016.8.12)

釈迦如来の悟の如く一切衆生の悟と不同有ること無し故に如来の智慧を信ずるは即ち妙法なり所謂南無妙法蓮華経の智慧なり(御義口伝、792ページ) (通解) 釈迦如来の覚りと一切衆生の覚りは異なることはない。 ゆえに、如来の智慧を信じるというのは、すな…

小説「新・人間革命」 清新51 2016年年8月13日

第二代会長・戸田城聖は、青年たちへの指針のなかで、「われらは、宗教の浅深・善悪・邪正をどこまでも研究する。 文献により、あるいは実態の調査により、日一日も怠ることはない。(中略)その実態を科学的に調査している」(注)と記している。 この言葉…

小説「新・人間革命」 清新50 2016年年8月12日

日蓮大聖人が「立正安国論」を認められた当時の鎌倉は、大地震が頻発し、飢饉が打ち続き、疫病が蔓延していた。 時代を問わず、人は最悪な事態が続くと、自分のいる環境、社会に絶望し、“もう、何をしてもだめだ”との思いをいだき、“この苦しい現実からなん…

小説「新・人間革命」 清新49 2016年年8月11日

日蓮大聖人は、建長五年(一二五三年)四月二十八日、清澄寺で立宗宣言された折の最初の説法から、既に念仏の教えの誤りを指摘されている。 当時、念仏信仰は、民衆の易行として諸宗が認めていたことに加え、専修念仏を説く法然の門下によって弘められ、大流…

小説「新・人間革命」 清新48 2016年年8月10日

宗教者が、自ら信奉する教えに対して強い確信をいだくのは当然であり、それなくしては、布教もできないし、その教えを精神の揺るがぬ柱としていくこともできない。 大切なことは、その主張に確たる裏付けがあり、検証に耐えうるかどうかということである。確…

小説「新・人間革命」 清新47 2016年年8月9日

山本伸一は、ウィルソン教授との会談は極めて有意義であったと感じた。多くの意見に賛同することができた。 特に、教授が、宗教が原理主義、教条主義に陥ってしまうのを憂慮し、警鐘を発していたことに、大きな共感を覚えた。 人間も、また宗教も、社会、時…

小説「新・人間革命」 清新46 2016年年8月8日

文豪トルストイが述べた“人間が宗教なしでは生きられない理由”を、弟子のビリューコフは、次の六つにまとめている。(注) 「第一に、宗教のみが善悪の決定を与えるからである」 「第二に、宗教なしでは人間は自分のしていることが善いか悪いかを知ることが…

【第27回】 自他共の幸福のために学べ (2016.8.6)

本より学文し候し事は仏教をきはめて仏になり恩ある人をも・たすけんと思ふ (佐渡御勘気抄、891ページ) (通解) (私、日蓮が)もともと学問をしたのは、仏教を究めて仏になり、恩ある人をも助けようと思った故である。 同志への指針 仏法の真髄を探究…

【第26回】 親孝行こそ最高の人間の道 (2016.7.21)

人となりて仏教を信ずれば先づ此の父と母との恩を報ずべし、父の恩の高き事・須弥山猶ひきし・母の恩の深き事大海還って浅し、相構えて父母の恩を報ずべし (上野殿御消息、1527ページ) (通解) 成人して仏教を信じるようになれば、まずこの父と母との恩…

【第25回】 わが誓いを果たし抜け (2016.7.9)

いかにも今度・信心をいたして法華経の行者にてとをり、日蓮が一門となりとをし給うべし、日蓮と同意ならば地涌の菩薩たらんか (諸法実相抄、1360ページ) (通解) なんとしてもこのたびは、信心を貫いて、法華経の行者として生き抜き、日蓮の一門となり…

【第98回】 次代を開け男女学生部 (2016.5.15)

先駆こそ地涌の学徒の誉れ 若き後継(こうけい)の男女学生部の皆さんの活躍を伺(うかが)うたび、無限の希望がわいてくる。 とりわけ、この春、学生生活をスタートした新入生の皆さんが、張り切って学び、元気に成長している姿は、何よりも嬉(うれ)しい…

【第97回】 華陽の青春を朗らかに! (2016.5.31)

一人も残らず幸福の勝利劇を 戸田先生は、女子部を励まされた。 「もったいなくも、御本仏と同じ生命を持っている自分自身に誇りをもちなさい。気高(けだか)い心で、人生を勝ち抜くことです」と。 最極(さいごく)の生命哲学を学び、実践する青春が、どれ…

【第21回】  未来部は全員が希望の光 (2016.7.25)

先日、八王子へ伺った折、すがすがしく広布に走るご一家と、車中からあいさつを交わした(7月6日)。笑顔が光る98歳のおじいさんは、2年前、孫の紹介で入会されたという。 信心で結ばれた和楽の絆は、何と明るく、何と麗しいものか。 御書に「同じ妙法…

【第20回】 生命力満々と清新な出発を (2016.7.18)

最高に晴れやかな女子部結成65周年の「7・19」、誠におめでとう! 戸田先生は、花の女子部を慈しまれ、言われていた。 「われわれの革命は、自分も幸せになり、人も幸せにできる。すなわち人間革命である」と。 その通りに、華陽姉妹の爽やかな声が幸福…

【第19回】 いざや前進! 鉄桶の団結で (2016.7.7)

1943年の7月6日、牧口先生は静岡の下田で、戸田先生は東京の白金台で軍部の弾圧によって不当に逮捕された。 73星霜を刻むこの日、両先生の法難を偲んで、八王子の東京牧口記念会館を訪れ、勤行・唱題を行った。 人間王者の風格をたたえ、金色に輝く…

小説「新・人間革命」 清新45 2016年年8月6日

ウィルソン教授は、日本滞在中に、国際宗教社会学会東京会議に出席したのをはじめ、創価学会の各地の文化会館や研修道場等も見学した。 また、創価大学や創価学園も視察し、創価大学では、「文化と宗教──社会学的見地から見た西洋と東洋の宗教」と題して記念…

小説「新・人間革命」 清新44 2016年年8月5日

一月二十日夕刻、山本伸一は、来日中のオックスフォード大学のウィルソン社会学教授と、東京・渋谷の国際友好会館(後の東京国際友好会館)で会談した。 教授とは、前年十二月二十五日の聖教新聞社での語らいに続いて二度目の会談である。 最初の会談の折、…

小説「新・人間革命」 清新43 2016年年8月4日

一月十九日には、神奈川県の川崎文化会館で、清新の気みなぎる一月度本部幹部会が、晴れやかに行われた。 席上、「七つの鐘」総仕上げの年の意義を込めて、本部長をはじめ、合唱団、音楽隊などの代表に表彰状が贈られた。 山本伸一は、この佳節の年を迎えた…

小説「新・人間革命」 清新42 2016年年8月3日

青森文化会館を後にした山本伸一が、三沢会館を初訪問して、空路、東京に戻ったのは午後三時半過ぎであった。 彼には、二月初めから十八日間にわたる香港・インド訪問が控えていた。 その準備とともに、新年の出発となる本部幹部会や全国県長会議、本部職員…

小説「新・人間革命」 清新41 2016年年8月2日

山本伸一は、青森県新春記念指導会で、こう話を締めくくった。 「今はまだ、青森の冬は厳しい。しかし、凍てる雪の下で、既に若芽は萌え出る準備をしているんです。 御金言のごとく、冬は必ず春となります。 そして、風雪の辛さを知るからこそ、春を迎えた喜…

小説「新・人間革命」 清新40 2016年年8月1日

生命の内奥から込み上げてくる人間の感情や欲望は、道徳や規律、また制裁の強化など、制度の改革をもってしても、根本的に抑制することはできない。 一切の根源をなす生命そのものの変革、心の変革こそが、個人の幸福を実現していくうえでも、世界の平和を築…

小説「新・人間革命」 清新39 2016年年7月30日

青森県新春記念指導会は、会長・山本伸一の指導となった。 彼は、無量義経を通して、御本尊に具わった生命変革の功徳力について語っておこうと思った。 「無量義経は法華経の開経、序分となる教えであり、『無量義とは、一法従り生ず』(法華経二五ページ)…

小説「新・人間革命」 清新38 2016年年7月29日

役員の青年らの激励を続けた山本伸一は、同行していた副会長の関久男に言った。 「東北には、立派な青年たちが育っているね。春になれば、根雪を破っていっせいに若芽が顔を出し、やがて新緑の季節が来る。 東北の緑は、ことのほか美しい。 清新の息吹にあふ…