2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」 6月14日 敢闘9

牧口常三郎の教育学説の発刊の難題は、いかに原稿を整理し、まとめるかであった。 牧口の場合、原稿といっても、校長職の激務のなかで、封筒や広告の裏、不用になった紙などに、思いつくままに、書き留めてきたものが、ほとんどである。 二度、三度と、同じ…

小説「新・人間革命」 6月12日 敢闘8

牧口常三郎は、自分の教育学説出版の意向を戸田城聖に語ったあと、すぐに、それを打ち消すように言った。 「しかし、売れずに損をする本を、出版するところはないだろう……」 戸田は、力を込めて答えた。 「先生、私がやります!」 「しかし、戸田君、金がか…

小説「新・人間革命」 6月11日 敢闘7

戸田城聖は、それから、遺言を伝えるような厳粛な目で、山本伸一を見た。 「将来、広宣流布のために、日本各地に会館をつくることになるだろう。いや、世界にも、多くの会館が誕生することになるだろう。また、断じて、そうしなければならない。 その時には…

小説「新・人間革命」 2010年 6月10日 敢闘6

各地に、歴代会長の遺品等を展示した記念館や記念室をつくろうと提案したのは、山本伸一であった。 初代会長の牧口常三郎や第二代会長の戸田城聖の闘争と、その精神を学び、継承していくうえで、遺品や、ゆかりの品々に触れることは、必要不可欠であると考え…

小説「新・人間革命」 2010年 6月9日敢闘5

三重記念館の館内に入ると、初代・二代会長の遺品や、ゆかりの品々が展示されていた。 山本伸一は、丹念に見て回った。 牧口初代会長が愛用した万年筆もあった。キャップはなく、「MAKIGUCHI」というローマ字が入っており、かなり使い込まれている…

小説「新・人間革命」 6月 8日 敢闘4

「青春会」のメンバーは、瞳を輝かせ、真剣な表情で、山本伸一の話を聞いていた。 伸一は、力のこもった声で語った。 「信心をしていても、当然、生老病死の四苦はあります。 しかし、広宣流布のための人生であると心を定め、強盛に信心に励んでいくならば、…

小説「新・人間革命」 2010年 6月5日 敢闘3

山本伸一は、さらに、「生老病死」のなかの、「老」について語っていった。 「人間は、誰でも老いていく。人生は、あっという間です。過去がいかに幸せであっても、老いて、晩年が不幸であれば、わびしい人生といわざるを得ない。 その人生を幸福に生き、全…

小説「新・人間革命」 6月 4日 敢闘2

全国から集った「青春会」のメンバーと勤行した山本伸一は、皆に視線を注ぎながら、語り始めた。 「人生には、生老病死の四苦がつきまとっています。生まれてくること、生きること――そこにも、常に苦しみがあります。 生を受けても、経済的に豊かな家に生ま…

小説「新・人間革命」 6月 3日 敢闘1

時代も、社会も、時々刻々と変化を遂げていく。創価学会も、新しい人材が陸続と育ち、新しい会館や研修所も次々と誕生し、新時代を迎えようとしていた。 しかし、いかに時代や環境が変わろうが、絶対に変わってはならないものがある。 それは、広宣流布に生…

小説「新・人間革命」 6月 2日 勇気52

山本伸一は、「人間革命の歌」で、戸田城聖が獄中で悟達した、「われ地涌の菩薩なり」との魂の叫びを、いかに表現し、伝えるかに、最も心を砕いた。 戸田は、この獄中の悟達によって、生涯を広宣流布に捧げんと決意し、一人立った。 大聖人は「日蓮と同意な…

小説「新・人間革命」 6月 1日 勇気51

山本伸一が「人間革命の歌」を作った翌日の七月十九日夜には、早くも各地の会合で、この歌が、声高らかに歌われた。 なかでも、大阪・豊中市の関西戸田記念講堂で、夕刻から行われた第二十五回女子部総会は、「人間革命の歌」に始まり、「人間革命の歌」に終…

小説「新・人間革命」 5月 31日 勇気50

午後九時過ぎ、山本伸一が呼んだ、植村真澄美と松山真喜子が本部に到着した。彼女たちが、事務室で待機していると、伸一は、大きなカセットデッキを抱えて姿を現した。 「よく来てくれたね。ありがとう。 『人間革命の歌』に、さらに手を加えたんで、感想を…

小説「新・人間革命」 2010年 5月29日 勇気49

山本伸一は、三行目の「正義と勇気の 旗高く」の個所は、音程を次第に上げていき、そして、「旗高く」は、繰り返して、強調しようと思った。彼は、歌を口ずさんでみた。 音楽教師の青年が、譜面に手を入れ、歌いながらピアノを弾いた。 「よし、これに決めよ…

小説「新・人間革命」 5月28日 勇気48

山本伸一は、二番の三行目の「地より涌きたる」にも筆を入れ、「地よりか涌きたる」とした。さらに、三番の二行目の「遙かな空の 晴れやかな」の「空」を「虹」に直した。 「ここは、『地よりか』とした方が、力が入るんだよ。それと、『空』より『虹』とし…

小説「新・人間革命」 5月 27日 勇気47

「ありがとう。この『人間革命の歌』は、新しい人間文化創造の原点になる歌だ。 では、合唱団の皆さんと記念撮影しよう」 山本伸一は、一緒にカメラに納まった。 このあと彼は、海外メンバーの代表らと、夕食を共にしながら、打ち合わせを行った。その席で、…

小説「新・人間革命」 5月 26日 勇気46

新しいものを創造するには、時には、これまで作り上げてきたものへのこだわりを、躊躇なく捨てる勇気が必要な場合もある。 山本伸一は、きっぱりとした口調で、皆に語った。 「二行目を削るようにして、曲を考え直すことにしよう。一行目が、それぞれ、『君…

小説「新・人間革命」 5月 25日 勇気45

山本伸一は、青年時代に『同志の人々』を読んだ時、強く胸を打たれた。志をもった人間の生き方に、鋭い示唆を投げかける作品であると思った。 彼は、是枝の苦渋の選択に、理想と現実の狭間で、矛盾と向き合い、葛藤を超えねばならぬ、革命に生きる人生の厳し…

小説「新・人間革命」 5月 24日 勇気44

護送されている薩摩藩士が、公家の臣下である父子を手にかけずとも、父子は、役人によって殺害されるにちがいない。そして、罪は、藩士に押しつけられ、重罪に処せられることになろう。 どちらにせよ、助からないのなら、討幕の再挙をはかるために、殺害する…

小説「新・人間革命」 5月 22日 勇気43

集っていた音楽関係者の一人が答えた。 「五行詞を四行詞にすれば、確かに、作曲は、しやすくなると思います」 しかし、“歌詞のどの部分を削るのか”となると、山本伸一は、困惑せざるを得なかった。熟慮に熟慮を重ねてきた歌詞である。一言一言に、深い思い…

小説「新・人間革命」 5月 20日 勇気42

山本伸一は、創価文化会館の三階ホールに戻ると、再び「人間革命の歌」の作曲に取りかかった。曲は、一応、かたちにはなっていたが、まだ納得がいかないのだ。 彼は、本部幹部会の終了までに完成させることができれば、ぜひ、参加者に披露したいと思っていた…

小説「新・人間革命」 5月 20日 勇気41

山本伸一が、四番目に、日ごろからの交流の大切さを訴えたのは、学会の活動においても、また、交友においても、大事なのは人間関係であるからだ。 そして、その人間関係は、日々の交流の積み重ねのなかで築かれていくものだからである。 足繁く通って対話す…

小説「新・人間革命」 5月 19日 勇気40

「……陽出ずる世紀は 凛々しくも 人間革命 光あれ」 本部幹部会で山本伸一が「人間革命の歌」の歌詞を発表すると、怒濤のような歓声と拍手が起こり、いつまでも鳴りやまなかった。 この幹部会で、伸一は、広宣流布の指導者として銘記すべき、六つの心得を示し…

きょうの聖教新聞  2010・6・4

★名字の言 ▼宝のある場所(宝処)を目指して、砂漠を旅する隊商の一行。披露し切った人々が「もう進めない」と嘆くなか、導師は神通力によって城(都)をつくり、「あの城に入れば、安穏になれる」と励ます ▼歓喜した人々は、気を取り直して城に入った。十…

きょうの聖教新聞  2010・6・3

★名字の言 ▼創価大学の人工衛星が、8000人の子どもたちの夢を載せて、宇宙を巡っている。願いが叶ったら、どんなに嬉しいだろう。そんな感動を綴った物語がある。ルイス・セプペルダの『カモメに飛ぶことを教えた猫』(河野万里子訳) ▼猫の前に舞い降…

きょうの聖教新聞  2010・6・2

★名字の言 ▼不滅の民衆勝利の金字塔を打ち立てた昭和31年(1956年)の「大阪の戦い」。青年部のリーダーとして参加した人に、当時使っていた御書を見せてもらった ▼表紙はすり切れ、紙は茶色の変色していたが、開いてみて驚いた。ほとんどのページに…

きょうの聖教新聞  2010・6・1

★名字の言 ▼ノルウェーの劇作家・イプセンの作品に『民衆の敵』(竹山道雄訳)がある。正義感あふれる医師が、町の温泉が毒に汚染されているのを発見、告発したドラマである ▼町長をはじめ利害にさとい人々は、この事実をデマとして隠蔽しようと画策を始め…

きょうの聖教新聞  2010・5・31

★名字の言 ▼日本の漫画文化は評価が高い。「鉄腕アトム」で有名な手塚治虫氏や、「もののけ姫」の宮崎駿氏など優れた作家が多い。テレビドラマも今、漫画が原作の番組が好評という ▼6月、サッカーのワールドカップが開かれるが、サッカーを題材にした日本…

きょうの聖教新聞  2010・5・30

★名字の言 ▼忙しさの中、とかくおろそかになりがちなのが「準備」の時間。準備不足の出たとこ勝負で、一度は乗り切れたとしても、いつまでも続くわけがない ▼翌日の準備を心掛けるだけで、自身の目線は明日を見つめることになる。準備の家庭で一日の動きを…

きょうの聖教新聞  2010・5・29

★名字の言 ▼宮崎県で口蹄疫が拡大し、甚大な被害となっている。一日も早い終息を祈るとともに、被害地域の皆さま、防疫作業に携わるすべての関係者に、お見舞いを申し上げたい ▼口蹄疫は、牛や豚など偶蹄類の動物の病気であり、人に感染することはない。ま…

きょうの聖教新聞  2010・5・28

★名字の言 ▼真剣な祈りで病魔を克服。勇気を出して拡大に先駆し、苦境を打開・・・。「ここが正念場!」と決意し、信心根本に勝ちゆく姿ほど尊貴なものはない ▼歌舞伎などで最高の見せ場を「性根場」と言った。主人公を演ずる役者が、役の本質的な性格(性…