小説「新・人間革命」 5月 19日 勇気40

「……陽出ずる世紀は 凛々しくも 人間革命 光あれ」
 本部幹部会で山本伸一が「人間革命の歌」の歌詞を発表すると、怒濤のような歓声と拍手が起こり、いつまでも鳴りやまなかった。
 この幹部会で、伸一は、広宣流布の指導者として銘記すべき、六つの心得を示した。
 
 「個人指導を大切に」
 「小会合を大切に」
 「言葉遣いを大切に」
 「ふだんの交流を大切に」
 「その家庭を大切に」
 「その人の立場を大切に」
 
 なぜ、個人指導が大切なのか――一人ひとりの置かれた立場や環境も異なれば、悩みや課題も、千差万別である。
皆が、その悩み、課題に挑み、乗り越え、希望と歓喜に燃えてこそ、広宣流布の確かな前進がある。ゆえに、どこまでも個人に照準を合わせた個人指導が、最も重要になるのである。
 次に、小会合を大切にするのは、納得できるまでよく語り合い、綿密な打ち合わせを行うことによって、運動の大きな広がりが生まれるからだ。
 大会合が動脈や静脈だとすれば、小会合は毛細血管に譬えることもできよう。毛細血管が円滑に機能してこそ、血液は体中に通うのである。
 小会合の充実がなければ、組織の隅々にまで、信心の息吹が流れ通うことはない。小会合をおろそかにすれば、その組織は、やがて壊死していくことになりかねない。
 さらに、リーダーにとっては、ことのほか言葉遣いが大切になる。
 「声仏事を為す」(御書七〇八ページ)である。私たちは、語ることによって、仏の聖業を担うことができる。その言葉遣いが悪ければ、法を下げることにさえなる。
 言葉は、人格、人間性の発露である。
 日蓮大聖人は、「わざわい(禍)は口より出でて身をやぶる」(同一四九二ページ)と戒めておられる。