2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」大道 52 2015年4月11日

山本伸一は、東北女子部長の大池憲枝に語っていった。 「皆、地元に帰れば、厳しい状況のなかで頑張らなければならないことでしょう。 周囲に学会員は少ないかもしれない。孤軍奮闘するしかなく、寂しい思いをしたり、挫けそうになったりすることもあるかも…

小説「新・人間革命」大道 51 2015年4月10日

山本伸一は、この八月六日の午後、東京・信濃町の聖教新聞社で原稿を書いたあと、カメラを持って外に出た。 前庭で何枚か写真を撮っていると、創価女子会館での勤行会に参加した、三十人ほどの東北の女子部と出くわした。 新聞社の見学に来たようだ。 「みん…

小説「新・人間革命」大道 50 2015年4月9日

東北の女子部員たちは、「青葉の誓い」を、何度も、何度も、合唱しながら、歌に込められた山本伸一の思いを噛み締めていた。 ♪ 風雪越えし 我等こそ 地涌の正義の 旗頭…… ──東北の歴史は、荒れ狂う風雪の道であった。冷害もあった。地震も、チリ津波もあった…

小説「新・人間革命」大道 49 2015年4月8日

東北の歌「青葉の誓い」の一番の歌詞が発表されると、創価女子会館に、大歓声があがり、拍手が鳴りやまなかった。 参加者が、この歌を地元に持ち帰って伝えるために、再度、歌詞が読み上げられた。 皆、それを、懸命に書き取っていった。 その時、二番の歌詞…

小説「新・人間革命」大道 48 2015年4月7日

午後一時、創価女子会館の広間は、東北の女子部員の晴れやかな笑顔で埋まっていた。 女子部長の藤谷幸栄の導師で勤行が始まった。白馬が天空を駆けるような、軽快で、はつらつとした読経・唱題の声が響いた。 勤行が終わるや、女子部長が語り始めた。 「皆さ…

小説「新・人間革命」大道 47 2015年4月6日

第三代会長となった山本伸一は、戸田城聖と仙台の青葉城址に立った日から七年後の一九六一年(昭和三十六年)十一月二十一日、再び、この地を訪問し、一首を詠んだ。 「人材の 城を築けと 決意ます 恩師の去りし 青葉に立つれば」 この時、東北の同志は、人…

小説「新・人間革命」大道 46 2015年4月4日

広島に原爆が投下されて三十三年となる一九七八年(昭和五十三年)八月六日は、日曜日であった。 東京の空は、青く晴れ渡り、雲一つなかった。 山本伸一は、自宅で妻の峯子と共に、広島の原爆犠牲者を追善し、平和社会建設への誓いを込めて、勤行・唱題を行…

小説「新・人間革命」大道 45 2015年4月3日

東京の代表幹部たちは、真剣な眼差しで、会長・山本伸一の話に耳を傾けていた。 「先日、東京から九州に赴任した幹部が、率直な感想として、こんな話をしていました。 『東京の人は、何か新しい活動が打ち出されると、“ああだ、こうだ”と議論はするが、なか…

小説「新・人間革命」大道 44 2015年4月2日

荒川文化会館での東京支部長会に引き続き、山本伸一は東京の代表幹部と懇談した。 彼は、皆の報告に耳を傾けながら、会館の整備など、東京の未来構想について語っていった。皆の胸に、希望が大きく広がった。 懇談が終わりに近づいたころ、伸一は、東京の首…

小説「新・人間革命」大道 43 2015年4月1日

山本伸一は、さらに訴えた。 「第二に、支部の皆さんのために尽くすことは、広宣流布のためであり、その功徳は無量です。 ゆえに、人材育成の労苦は、すべて自分のためであることを確信してください。 第三に、一生成仏への最も尊い仏道修行をさせていただい…

小説「新・人間革命」大道 42 2015年3月31日

東京の歌「ああ感激の同志あり」についての山本伸一の解説に、皆、大きく頷きながら耳を澄ましていた。 そして、新しい決意を込めて、区長の代表の指揮で、また大合唱した。 この日、スピーチした伸一は、連日の猛暑のなかで活躍する全支部長・婦人部長に、…

小説「新・人間革命」大道 41 2015年3月30日

山本伸一は、「ああ感激の同志あり」の合唱が終わると、歌詞を解説していった。 「この歌は、四国で制作を進め、中部の地で仕上げました。 曲名にも入っていますが、『感激』ということが歌の主題です。 信心に励んでいくうえでも、幸福を確立していくうえで…

小説「新・人間革命」大道 40 2015年3月28日

東京の歌「ああ感激の同志あり」の歌詞が紹介されたあと、壮年部の「地涌合唱団」、婦人部の「白ゆり合唱団」、男子部の「しなの合唱団」、女子部の「富士合唱団」による合唱となった。 歌の初披露である。 指揮を執ったのは、この歌の作曲をした青年であっ…

小説「新・人間革命」大道 39 2015年3月27日

八月二日夜、東京・荒川文化会館に、さわやかで、力強い歌声が響いた。 東京支部長会の席上、東京の歌「ああ感激の同志あり」が発表されたのである。歌の披露に先立って、山本伸一が見守るなか、第二東京本部長で副会長の山道尚弥が登壇した。 「皆さんは、…

小説「新・人間革命」大道 38 2015年3月26日

山本伸一が「激闘」と「力走」の歴史を刻んだ「青年の月」七月は終わり、「錬磨の月」八月が幕を開けた。 一日の夕刻、伸一は、駐日アメリカ大使のマイケル・マンスフィールド夫妻らと、東京・信濃町の聖教新聞社で会談した。 席上、この年五月に、伸一が初…

小説「新・人間革命」大道 37 2015年3月25日

東濃の同志に見送られ、車で東濃文化会館を出発した山本伸一は、深くシートに体を沈めた。 隣に同乗していた峯子が、伸一の顔に心配そうに視線を注いだ。 「大丈夫だよ。心配ないさ。まだまだ、力はあふれている。名古屋の名東区に、レストランを経営されて…

小説「新・人間革命」大道 36 2015年3月24日

記念勤行会は、遂に五回目となった。既に時計の針は、八時四十五分を指していた。 山本伸一は、皆の帰宅が遅くならないように、短時間で終わらせようと思った。 彼は、参加者をねぎらい、ユーモアを交えて呼びかけた。 「東濃は、五、六十人ぐらいの方が出席…

小説「新・人間革命」大道 35 2015年3月23日

四回目の記念勤行会は、午後七時四十五分から始まった。山本伸一は、ピアノを弾いて参加者を励ましたあと、「妙一尼御前御返事」を講義した。 「法華経釈迦多宝・十方の諸仏菩薩・諸天善神等に信を入れ奉りて南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを信心とは申し候…

小説「新・人間革命」大道 34 2015年3月21日

三回目の記念勤行会は、午後七時前から行われた。 激しい疲労が山本伸一を襲い始めていた。 彼は、ここでは「日厳尼御前御返事」の一節を講義した。 まず、「叶ひ叶はぬは御信心により候べし全く日蓮がとがにあらず」(御書一二六二p)の御文を通して、語っ…

小説「新・人間革命」大道 33 2015年3月20日

東濃文化会館での二回目の記念勤行会を終えた山本伸一は、会館の窓から外を見た。 土岐川の堤防を会館に向かって、歩いて来る人の列が続いていた。 彼は、中部の幹部に言った。 「三回目の勤行会を行いましょう。私は、会館に来てくださった方、全員とお会い…

小説「新・人間革命」大道 32 2015年3月19日

山本伸一は、法華経「普賢菩薩勧発品」の講義の最後に訴えた。 「私どもは、互いに同志として尊敬し、仲良く、団結して進んでいくことが大事です。 団結こそ、広宣流布の力であるからです。 経文、御書に照らして、広宣流布の団体である創価学会の前進を阻も…

小説「新・人間革命」大道 31 2015年3月18日

記念勤行会での山本伸一の指導は、熱のこもる御書講義となった。 「この『四条金吾殿御返事』は、『いよいよ強盛の信力をいた(致)し給へ』(御書一一四三㌻)との御指導をもって結ばれている。これが、この御書の結論なんです。 皆さん、「いよいよ」です…

小説「新・人間革命」大道 30 2015年3月17日

山本伸一は、次いで、「ただ世間の留難来るとも・とりあへ給うべからず」(御書一一四三p)について、講義していった。 「信心をすれば、世間から、怪訝な目で見られ、非難、中傷されることもあるでしょう。 でも、それは、経文に、御書に説かれた通りでは…