小説「新・人間革命」大道 44 2015年4月2日

荒川文化会館での東京支部長会に引き続き、山本伸一は東京の代表幹部と懇談した。
彼は、皆の報告に耳を傾けながら、会館の整備など、東京の未来構想について語っていった。皆の胸に、希望が大きく広がった。
懇談が終わりに近づいたころ、伸一は、東京の首脳に視線を注いで言った。
「学会本部のある東京は、広宣流布の電源の地です。東京は、今の何倍も強くなってほしいし、十分にその力をもっています。
しかし、今のままでは、力は発揮されずに終わってしまう。そうならないために、私は、あえて言っておきます。
東京には、幹部の数が実に多い。そのせいか、幹部同士に遠慮があり、自ら先頭に立って戦おうとするのではなく、皆が他人任せになっている傾向がある。
『私が一切の責任をもちます』という気概が感じられません。
強い組織というのは、すべての幹部が責任者の自覚で戦っています。
そして、緻密に連携し合いながら、中心者をもり立てている。
東京を見ていると、中心者をもり立てようとするのではなく、『我関せず』といった態度の人が多い。つまり団結できずにいる。
その克服が最大のテーマです。
また、東京は、大きな組織だけに、当然、各区・圏が、それぞれ責任をもって、活動を進めていかなければならない。
と同時に、皆が東京は一つであるとの自覚で、何かあれば、飛んで行って守り、協力、応援し合っていくことが重要です。
関西創価学会の場合、大阪、京都、滋賀、福井、兵庫、奈良、和歌山と、二府五県に及ぶ広大な地域です。
しかし、関西の友には、自分たちは栄誉ある常勝関西の同志であるとの、強い誇りがある。
たとえば、私が滋賀に行っても、他府県の同志が、『会長が関西に来た!』と言って、喜んでくださる。だから関西は強いんです」
「われわれの偉大な力は数にあるのではなく、団結にある」とは、アメリカ独立革命の思想家トマス・ペインの叫びである。