2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」人材城 39 2012年5月25日

大正尋常小学校の教員、保護者は、権力者の不当な圧力で牧口常三郎が、同じ下谷区の西町尋常小学校に転勤させられるという話を耳にする。 誰もが強い憤りを覚えた。 牧口の転任の撤回を求めて、教員は辞表を提出し、保護者は子どもを学校にやらないと、『同…

小説「新・人間革命」人材城 38 2012年5月24日

牧口常三郎は、一九一三年(大正二年)に赴任した東盛尋常小学校をはじめ、大正尋常小学校、西町尋常小学校、三笠尋常小学校、白金尋常小学校、麻布新堀尋常小学校で、校長を歴任することになる。 牧口が最初に校長として赴任した、東盛尋常小学校は、東京市…

小説「新・人間革命」人材城 37 2012年5月23日

牧口常三郎は、一八九九年(明治三十二年)七月、北海道師範学校の附属小学校で主事事務取扱(校長代理)となり、さらに、翌年一月、師範学校の舎監となる。 二十八歳の時である。しかも牧口は、地理学の研究を重ね、原稿も書きためてきた。 この原稿を携え…

小説「新・人間革命」人材城 36 2012年5月22日

牧口長七が北海道に渡ったのは、十三歳ごろであったようだ。 『音信不通になったままの実父を捜したい』という思いもあったのかもしれない。 彼は、小樽警察署で給仕をしながら、寸暇を見つけては読書と勉強に励んだ。 その熱心な勉強ぶりから、つけられたニ…

小説「新・人間革命」人材城 35 2012年5月21日

山本伸一は、五木地方に伝わる子守唄の意味や背景を考えると、社会の不条理のしわ寄せは、最終的には、最も弱い者、つまり、庶民に、しかも、小さな子どもたちにくることを、あらためて痛感せざるを得なかった。 大人社会の歪みの犠牲となる子どもたちの実態…

小説「新・人間革命」2012年 5月19日

五木地方の子守唄には、”口うるさい老婆は、ガンと殴りつけろ”という、守子たちの激しい憎悪を露にした歌詞さえもある。 哀切の調べに満ちた子守唄のなかに流れているのは、卑下や疎外感、あきらめだけではない。 批判や居直り、怒りがあり、そして、強かな…

小説「新・人間革命」 人材城33 2012年 5月18日

「五木の子守唄」は、母親が子どもを寝かしつけるための、愛に満ちた歌ではない。 子守をするために年季奉公などに出された「守子」たちの歌である。 その娘たちが、言うに言われぬ、子守の辛さ、悲しさ、やるせなさを込めて歌った、慰めの歌といえる。 山本…

小説「新・人間革命」 人材城32 2012年 5月17日

五木村を流れる川辺川は、一九六三年(昭和三十八年)から六五年(同四十年)まで、連続して大出水を重ねたことから、治水のため、それまでに出ていたダム建設の計画が具体化していったのである。 五木村の村議会は反対を決議したが、補償問題などについて、…

小説「新・人間革命」 人材城31 2012年 5月16日

五木村の同志が、弘教に励んだのは、村の人びとに幸せになってほしかったからだ。 人間は、何を信じるのかによって、生き方、考え方が決まっていく。宗教とは、その生き方の根本となる教えである。 ゆえに、その教えの高低浅深を考察、検証し、対話していく…

小説「新・人間革命」人材城 30 2012年5月15日

柳節夫から、山本伸一の伝言を聞き、手拭いを受け取った五木の同志は、語り合った。 「山本先生が、私たちの記事を読んでくださり、心を砕いてくださった」 「五木は、山また山の地域で、学会員も、決して多いわけではない。 しかし、先生は、いつも、じっと…

小説「新・人間革命」人材城 29 2012年5月14日

五木村は、川辺川のダム建設計画によって、やがて、村の世帯の半数近くが、水中に没してしまうことになっていた。 聖教新聞では、湖底に消えゆくこの村の学会員の活躍を紹介したのである。 ――五木村には、一大ブロック五十三世帯の学会員がおり、座談会には…

小説「新・人間革命」人材城 28 2012年5月12日

原谷兄弟の父親は、熱海で、中風で寝たきりになっていた。再婚した義母が、旅館で働きながら、面倒をみてくれていた。 長男の永太が、「借金は、兄弟で全額返済した」と言っても、父親は信用しなかった。 彼らは、やむなく、返済した領収書を持って、再度、…

小説「新・人間革命」人材城 27 2012年5月11日

原谷永太は、弟の正太と正輝に言った。 「俺たちが、ここで負けたら、地域の広宣流布はなかばい。絶対に信心で乗り越えていくばい!」 『広宣流布に生きよう! 学会に傷をつけまい』という彼らの使命感、責任感が、勇気を奮い起こさせた。 人間は窮地に陥っ…

小説「新・人間革命」人材城26  2012年5月10日

原谷永太も、弟の正太、正輝も、壮年幹部の顔を食い入るように見つめ、指導を聞いた。 「父親の借金をどうするかは、三人で話し合って決める問題だ。 どうするにせよ、同業者も、周囲の人たちも、みんな、君たちの姿を見ている。 君たちは、山本先生の弟子じ…

小説「新・人間革命」 人材城 25 2012年 5月9日

九州方面の壮年幹部は、原谷三兄弟の顔をのぞき込むようにして言葉をついだ。 「この試練を、兄弟三人で乗り越えることができれば、君たちは、信心の面でも、人間的にも、大成長できるよ。 御書に、親が子を思うゆえに、修学に励まぬ子どもを、槻の木の弓で…

小説「新・人間革命」 人材城 24 2012年5月8日

原谷家の兄弟姉妹は、皆、懸命に信心に励んだ。 やがて、長男の永太をはじめ、次男、三男、長女、次女、三女も、男女青年部の支部の責任者として活躍するようになった。 また、父親の了承を得たうえで、三兄弟は、それぞれ独立し、店をもつようになった。 彼…

小説「新・人間革命」 人材城 23 2012年5月5日

原谷永太は、父親が信心に反対するだけでなく、仕事でも理不尽で身勝手なことが、腹に据えかねていた。毎日が、爆発しそうになる怒りとの闘いであった。 辛い思いをしているのは、永太だけでなく、弟の正太も、正輝も同じだった。 しかし、彼らは耐えた。 「…

小説「新・人間革命」 人材城 22 2012年5月4日

一九六〇年(昭和三十五年)五月三日、山本伸一が第三代会長に就任した。 『青年会長の誕生だ! 新時代の到来だ!』 学会中に歓喜の波動は広がり、熊本の地にも及んだ。原谷永太も、正太も、決意を新たにして、弘教に走った。三男の正輝も入会した。 三人は…

 地域社会に教育の陽光を ㊦  2012.4.28/29/30付

我らの使命は「生命の安全地帯」 インドネシア・ワヒド元大統領 家庭や学校、隣人からも誠実と寛容を教えられた 2010年10月、創価教育の80周年を記念するシンポジウムが神奈川文化会館で開催されました。その折、教育実践記録の3000事例を対象にした分析結果…

 地域社会に教育の陽光を  ㊥2012.4.28/29/30付

「よき実践」こそ最高の教育理論 米デューイ協会・ヒックマン元会長 教育実践記録は貴重な事例研究 世界の教師たちも読んでほしい 「教育相談室」とともに、新生の波動を広げている社会的活動が、「人間教育実践報告大会」や「教育セミナー」です。 全国レベ…

 地域社会に教育の陽光を   2012.4.28/29/30付

相談できる先生は「希望の灯台」 御聖訓に説かれた東洋の英知 陰徳あれば陽報あり 日蓮大聖人が教えてくださった金言に、「陰徳あれば陽報あり」(御書1178㌻等)とあります。 陰で人知れず善の行動を積み重ねた人こそが、必ず最後は真実の栄光に包まれると…

小説「新・人間革命」 人材城 21 2012年5月3日

原谷永太は、仏法で病を克服できるものならと、真剣に信心に励んでみた。入会して半年ほどしたころ、喘息の発作が、起こらなくなっていることに気づいた。 『こぎゃんこつがあっとか。信心はすごか』 その事実と喜びを伝えたくて、親戚、友人に仏法を語って…

小説「新・人間革命」 人材城 20 2012年5月2日

原谷の家は貧しかった。子どもは、長男の永太を頭に三男四女で、上三人が男だった。 家は掘っ立て小屋同然で、屋根は杉の皮を敷いただけだった。 雨が降ると畳を上げ、破れた布団を体に巻いて、壁にもたれて寝た。 父親は、大工をしていたが、儲けた金のほと…

小説「新・人間革命」 人材城 19 2012年5月1日

一九七一年(昭和四十六年)九月、工務店を経営する原谷永太のもとに、父親の借金の連帯保証人になっていた叔父がやって来た。父親が姿を消したというのである。 父親も工務店を営んでいたが、瓦生産の事業にも手を出して失敗していた。 しかし、長男の永太…

小説「新・人間革命」 人材城 18 2012年 4月30日

懇談会で、婦人部の阿蘇本部長の村野ヒロミが、山本伸一に報告した。 「私は、熊本市内に住んでおりますが、派遣で阿蘇を担当しております。阿蘇にもスズランが咲いています」 彼女は、主に北海道や中部地方以北の本州に咲くスズランが、九州の阿蘇にも咲い…

小説「新・人間革命」 人材城 17 2012年 4月28日

山本伸一は、三角のメンバーが、十一月十六日を「三角の日」と決めて頑張っていることを聞き、学会の記念日の意義について語っていった。 「学会としても、さまざまな記念日を定めていますが、大事なことは、その淵源に立ち返り、歴史と精神を子々孫々にまで…

小説「新・人間革命」 人材城 16 2012年 4月27日

山本伸一は、本部長の坂上良江から、三角のメンバーの話を聞くと、彼女に言った。 「三角の同志と私は、お会いできなくとも、心は一緒です。私は、三角のことを忘れません。 私の一念に、深く刻まれています。また、皆さんの心には、私がいます。 私と一緒に…

小説「新・人間革命」 人材城 15 2012年 4月26日

坂上良江は、さらに山本伸一に語った。 「三角駅などのある地域は、三角総ブロック(現在の支部)になっております。 メンバーは、先生が三角港に着かれ、熊本県への第一歩を印された十一月十六日を、『三角の日』と決めて、頑張っています。 毎年、この日に…

小説「新・人間革命」 人材城 14 2012年 4月25日

熊本文化会館の開館記念勤行会が行われた二十八日の午後五時過ぎから、山本伸一は、本部長ら四十人ほどとの懇談会に出席した。 会場は、学会員が営む食堂であった。 最初に、トンカツ定食に舌鼓をうち、それから、伸一を囲んで語らいが始まった。 一人の婦人…

小説「新・人間革命」 人材城 13 2012年 4月24日

山本伸一は、場内を見渡しながら語った。 「健康は、基本的には、自分で守り、自分で管理するしかありません。 最終的には、自己責任です。自分の体のことを、いちばんよくわかるのは、自分であるともいえます。 健康を創造することは、自身の人生の価値を創…