2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」 清新22 2016年年7月9日

全国各地から復興支援に駆けつけた本部職員のなかに、九州から来た青年職員がいた。被災地の婦人は彼に、力を込めて訴えた。 「あなたは、この惨状を目に焼き付けておいてください。そして、このなかで、私たちが何をし、どうやって復興し、五年後、十年後に…

小説「新・人間革命」 清新21 2016年年7月8日

岩手県陸前高田市で養殖漁業を営んできた村川良彦は、ローンで購入した最新設備の漁船を津波で失った。 港も全壊した。失意と落胆のなかで地区部長の彼は、同志の安否確認や集落の復旧作業などに取り組んだ。 壊滅的な街を見ると、絶望的な思いに襲われた。 …

小説「新・人間革命」 清新20 2016年年7月7日

被害の大きかった岩手県大船渡市にある県立大船渡病院に、一人の臨床研修医がいた。二十七歳の塩田健夫である。 この震災の日が、二年間にわたる研修の最終日であった。 彼は、大揺れの直後、高台にある病院の窓から、津波が街をのみ込んでいくのを見た。 次…

小説「新・人間革命」 清新19 2016年年7月6日

三月十六日の「聖教新聞」には、被災地の同志に送った、山本伸一のメッセージが掲載された。 そのなかで彼は、被災者への見舞いと救援・支援に奔走する会員への感謝を述べたあと、この大試練をなんとしても勝ち越えてほしいと、魂を注ぎ込む思いで訴えた。 …

【第24回】 宿命転換をかけて今日を勝て (2016.7.4)

今既に得難き人界に生をうけ値い難き仏教を見聞しつ今生をもだしては又何れの世にか生死を離れ菩提を証すべき (聖愚問答抄、494ページ) (通解) 今すでに得がたい人界に生まれ、あいがたい仏教を拝聴した。 今生をむなしく過ごしたならば、またいつの世…

【第23回】強き祈りで諸天を動かせ (2016.6.30)

地獄の一人・餓鬼の一人・乃至九界の一人を仏になせば一切衆生・皆仏になるべきことはり顕る、譬えば竹の節を一つ破ぬれば余の節亦破るるが如し(法蓮抄、1046ページ) (通解) 地獄界の一人といい、餓鬼界の一人といい、つまりは九界の中の一人を仏にす…

【第22回】「一人」から破竹の勢いが (2016.6.28)

地獄の一人・餓鬼の一人・乃至九界の一人を仏になせば一切衆生・皆仏になるべきことはり顕る、譬えば竹の節を一つ破ぬれば余の節亦破るるが如し(法蓮抄、1046ページ) (通解) 地獄界の一人といい、餓鬼界の一人といい、つまりは九界の中の一人を仏にす…

小説「新・人間革命」 清新18 2016年年7月5日

元藤裕司は、避難所を回るなかで、多くの人たちが亡くなっていることを知った。 一週間前には共に活動に歩いた先輩も帰らぬ人となっていた。子どもを失った夫婦、親を失った子ども、夫を亡くした妻、妻を亡くした夫……。 彼は、皆の苦しみの重さに、自分たち…

小説「新・人間革命」 清新17 2016年年7月4日

大地震、大津波が発生した二〇一一年(平成二十三年)当時、元藤裕司は、学会にあって、大槌、釜石、大船渡、陸前高田など被害の激しかった地域の県長であった。 その日、彼は内陸部で仕事をしていた。釜石の自宅には、目の不自由な義母、妻、娘、乳飲み子の…

小説「新・人間革命」 清新16 2016年年7月2日

元藤裕司は、釜石の、そして、三陸の広宣流布を心に描いた。そのために“自分に何ができるか”を考え、身近なことから第一歩を踏み出そうと思った。 “地域の同志のために、「聖教新聞」の配達をやらせてもらおう!” 彼は、意欲的に、仕事、学会活動に取り組ん…

小説「新・人間革命」 清新15 2016年年7月1日

山本伸一は、人生は苦悩との闘争であることを述べていった。 「経文に『三界は安きこと無し 猶火宅の如し』(法華経一九一ページ)とあるように、現実社会は、常に一寸先は闇といえます。非情であり、残酷です。 ゆえに、何があっても負けない自分を築き、わ…

小説「新・人間革命」 清新14 2016年年6月30日

午前、午後と勤行会を行い、参加者と握手を交わし続けた山本伸一の手は腫れあがり、真っ赤になってしまった。 管理者室で手を冷やしながら、夜に予定されている岩手県新春記念幹部会に備えた。 しかし、ほどなく岩手未来会第一期の結成式が始まるとの報告が…

小説「新・人間革命」 清新13 2016年年6月29日

十二日、水沢文化会館の開館を記念する自由勤行会は、結局、夕方までに数回にわたって開催された。 いずれも山本伸一が導師を務め、あいさつもした。皆の輪の中に入り、握手を交わし、要望に応えてピアノも弾いた。 彼は、勤行会のたびに、「日ごろ、ご無沙…

小説「新・人間革命」 清新12 2016年年6月28日

山本伸一が「明日の自由勤行会には、何人ぐらいの方が、お見えになるかね」と尋ねると、山中暉男が「数千人は来ると思います」と答えた。 「そうか。ほぼ同時刻に大挙して会員の皆さんが訪れた場合、どうすればスムーズに会場の出入りができるかがポイントで…

小説「新・人間革命」 清新11 2016年年6月27日

山本伸一は、水沢文化会館に残っていた役員の代表たちに、次々と声をかけていった。 特に清掃の役員に就いていた婦人など、陰で黙々と作業に当たってくれた人 たちには、丁重に御礼を述べながら語り合った。 それから、書類の決裁などの執務を開始すると、二…