小説「新・人間革命」 清新11 2016年年6月27日

山本伸一は、水沢文化会館に残っていた役員の代表たちに、次々と声をかけていった。
特に清掃の役員に就いていた婦人など、陰で黙々と作業に当たってくれた人
たちには、丁重に御礼を述べながら語り合った。
それから、書類の決裁などの執務を開始すると、二階のロビーから大勢の人声が響いてきた。行ってみると、女子部の合唱団のメンバーが集まっていた。
彼女たちは、この日の代表幹部会で合唱するつもりで練習に励んできた。
しかし、会場の収容人数などの関係で、婦人部の合唱団だけが歌うことになり、女子部は近くの学会員宅に集って唱題し、成功を祈っていたのだ。
伸一は、声をかけた。
「みんな、どうしたの?」
「はい。代表幹部会には参加できなかったので、先生にお会いしたくてまいりました」
「そうか。申し訳なかったね。明日、自由勤行会を開催するように頼んでおいたから、来られる方はいらっしゃい。
お父さん、お母さんも、呼んであげてください。
女子部は創価の花です。皆さんがいれば、岩手の未来は希望に輝く。
二十一世紀には、日本一、世界一の岩手創価学会を築いてください。楽しみにしているよ。
何があっても負けないで、三十年後、五十年後をめざして、人生を勝ち進んでいってください」
伸一は、女子部の合唱団を激励すると、副会長の青田進や東北長の山中暉男、岩手の県幹部らと、明日の自由勤行会の打ち合わせに入った。
既に岩手の各組織には、「明十二日の午前と午後、水沢文化会館で山本会長が出席して自由勤行会が開催されます。
参加を希望される方は、ご自由にいらしてください」との連絡が流れ始めていた。
伸一は、青田らに言った。
「明日は、一度に大勢の皆さんが会館に来られることになるから、万全の対策と準備が必要です。一つ一つ詰めていこう」
大雑把な計画で良しとすれば遺漏が生じる。成功には具体的な細かい詰めが不可欠だ。