小説「新・人間革命」 清新14 2016年年6月30日

午前、午後と勤行会を行い、参加者と握手を交わし続けた山本伸一の手は腫れあがり、真っ赤になってしまった。
管理者室で手を冷やしながら、夜に予定されている岩手県新春記念幹部会に備えた。
しかし、ほどなく岩手未来会第一期の結成式が始まるとの報告が入った。
高・中等部員からなる十数人の人材育成グループである。伸一は、「未来からの使者とお会いしにいきます」と言うと、直ちに管理者室を出て、メンバーとの記念撮影に臨んだ。
そして、新春記念幹部会に出席した。
勤行に続いて、県長、方面長、副会長のあいさつなどが終わると、伸一は、自ら司会役となった。
「おばんです! 今日は、楽しくやりましょう。岩手の創価家族の集いですから、形式にこだわらず、ありのままでいいんです。
最高幹部の話は、もう飽きたでしょ。座談会にしましょう。誰か話してくださいよ。どなたか支部長の方、代表であいさつを!」
伸一に促されて、一人の支部長が抱負を述べた。続いて、支部副婦人部長、大ブロック(後の地区)幹部、ブロック幹部、学生部のグループ長ら十人ほどが、次々とマイクの前に立った。
はつらつと決意を語る人もいれば、功徳の体験を発表する人もいた。
伸一は、大きく頷いたり、身を乗り出して拍手を送ったりしながら、「そうだ! すごい!」と相づちを打つ。
時に笑いが起こり、会場は和気あいあいとした雰囲気に包まれ、皆の心は一つに解け合っていった。
やがて、伸一の指導となった。
「人間、誰が偉いのか。幹部だから偉いわけではありません。偉い人とは、お題目を唱える人です。
人びとの幸せを願って、懸命に折伏・弘教に励んでいる人です。友の激励に駆けずり回っている人です。
その人こそが、人間として最も気高く尊い、御本仏の真の弟子なんです。それはまさに、日々、広宣流布のために汗を流しておられる皆さん方です」