小説「新・人間革命」 清新13 2016年年6月29日

十二日、水沢文化会館の開館を記念する自由勤行会は、結局、夕方までに数回にわたって開催された。
いずれも山本伸一が導師を務め、あいさつもした。皆の輪の中に入り、握手を交わし、要望に応えてピアノも弾いた。
彼は、勤行会のたびに、「日ごろ、ご無沙汰していて申し訳なく思っています。
私は、日々、岩手の皆さんの健康長寿、無事安穏を願い、真剣に題目を送っています。心はいつも一緒ですよ」と語りかけた。
そして、そのつど、さまざまな角度から、信心の在り方について訴えていった。
「師子王とは、勇気の二字を忘れない人です。何があっても、御本尊への強き祈りを根本に、勇敢に前進し、同志を、地域の友を守り抜いてください。それが仏法者です」
「信心即生活です。常識豊かに、淡々と、平凡であっても、自分らしい福運に満ち満ちた人生を歩むことが、信心の勝利の姿です」
「今再びの信心を、今再びの人生をとの心意気で、愉快に、生命力をたぎらせ、新しい挑戦を開始していくなかに、永遠の青春の道があります。どうか皆が地域の柱に!」
また、「妙一尼御前御消息」の「譬えば一人にして七子有り是の七子の中に一子病に遇えり、父母の心平等ならざるには非ず、然れども病子に於ては心則ち偏に重きが如し」(御書一二五二ページ)の一節を拝して指導した。
「仏の一切衆生への慈悲は平等ですが、そのなかでも、不憫な人のことは、とりわけ心にかかるというのが仏の慈悲です。
したがって、大変な環境で健気に信心に励んでいる皆さん方には、いや増して御本尊の御加護があり、大慈大悲に浴していくことは絶対に間違いない。
大確信をもってください。必ず、大功徳を受けてください。大福運に包まれてください。
皆さんが、幸せになり、信心の実証を示していくことが、岩手に大勝利の春を告げることになるんです」
皆の幸せを願う伸一の必死の呼びかけに、岩手の同志の生命は燃え上がった。真心をもってする真剣な叫びは、魂の共鳴をもたらす。