小説「新・人間革命」大道 45 2015年4月3日

東京の代表幹部たちは、真剣な眼差しで、会長・山本伸一の話に耳を傾けていた。
「先日、東京から九州に赴任した幹部が、率直な感想として、こんな話をしていました。
『東京の人は、何か新しい活動が打ち出されると、ああだ、こうだと議論はするが、なかなか行動を起こさない。
動きだした時には、活動の期間は終わりかけている。
そして、皆が力をもっているのに、出し切ろうとしない。
たいていの人が、ほどほどのところでやめてしまっているように思う。
しかし、九州の人は、すぐに衆議一決し、パッと全力で走りだす。瞬発力が違う。
また、都市部でも、山間部でも、島部でも、皆に自分がこの地域の広宣流布を担うのだという、強い使命感、気概がある。
だから一人ひとりが、どんどん力をつけ、一騎当千の闘将に育っている。
九州が、東京を大きく凌ぐ時代が必ずくると思います』
東京は、本来、力を出せば無敵です。
だから、『汝の勝利は 確かなり』なんです」
さらに、伸一は、中国指導の折に、鳥取の幹部が語っていた話を紹介した。
「その幹部は、こう言っていました。
鳥取は、人口の少ない、小さな県です。
東京の人は、鳥取のことなど、意識さえしていないかもしれませんが、私たちは、広宣流布のモデルをめざし、皆が着実に、地域で信頼を広げています。
既に学会世帯が、二割に達する集落、地域もあります。十年後、二十年後を見てください』
すごいことです! 二割といえば、東京だと、二百万世帯を超えることになる。
堅実な小広布があっての大広布です。組織が巨大であることに安住して、しっかり足元を固めなければ、虚大組織と化してしまう。
大東京の前進は、わが町、わが地域という小東京の勝利のうえにある。
私と一緒に、不敗の東京をつくろう!
世界の同志が仰ぎ見る、永遠不滅の、栄光の大広布城を築こうよ!」
大東京の闘将たちの眼が光った