小説「新・人間革命」大道 35 2015年3月23日

四回目の記念勤行会は、午後七時四十五分から始まった。山本伸一は、ピアノを弾いて参加者を励ましたあと、「妙一尼御前御返事」を講義した。
法華経釈迦多宝・十方の諸仏菩薩・諸天善神等に信を入れ奉りて南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを信心とは申し候なり」(御書一二五五p)の御文では、?信?を入れて祈ることの重要性を指導し
た。
「祈りは、ひたすら御本尊に思いの丈をぶつけていけばいいんです。その際、「信」を入れること、つまり、どこまでも御本尊を信じ抜き、無量無辺の功徳力を確信して、魂のこもった祈りを捧げることです。
自身の宿命転換、人間革命、一生成仏のためには、「広宣流布に生き抜きます」という誓願の祈りが大事になります。
そこに、わが生命を地涌の菩薩の大生命、大境涯へと転ずる回転軸があるからです。
具体的にいえば、?あの人に、この人に、幸せになってほしい。仏法を教えたい?という必死な利他の祈りです。
学会活動の目標達成を祈り、行動を起こしていくことです。それが、大功徳、大福運を積む直道です。
したがって、自身の悩み、苦しみの克服や、種々の願いの成就を祈る時にも、「広宣流布のために、この問題を乗り越え、信心の見事な実証を示させてください。必ず、そうしていきます」と祈ってい
くんです。祈りの根本に、広宣流布への誓願があることが大事なんです。
どうか、御本仏の、この大誓願、大目的に連なった信心で、師子王のごとき勇気あふれる境涯で、人生を闊歩していってください」
参加者の熱気は、蒸し暑い夏の夜の室温を上昇させていた。伸一の顔にも、皆の顔にも、汗がにじんでいた。
しかし、集った同志は、汗を拭うのも忘れ、瞳を輝かせ、晴れやかな微笑を浮かべ、発心を誓うのであった。
勤行会は、午後八時十五分に終了した。
外には、まだ入れなかった人たちが待機していた。急いで入れ替えが行われた。