小説「新・人間革命」大道 48 2015年4月7日

午後一時、創価女子会館の広間は、東北の女子部員の晴れやかな笑顔で埋まっていた。
女子部長の藤谷幸栄の導師で勤行が始まった。白馬が天空を駆けるような、軽快で、はつらつとした読経・唱題の声が響いた。
勤行が終わるや、女子部長が語り始めた。
「皆さん! 大変に嬉しいお知らせがあります。ただ今、山本先生が『東北の歌』を作ってくださっております!」
伸一の伝言が発表されると、拍手が轟いた。
勤行会は、このあと、東北各県の代表による活動報告が始まった。しばらくすると、清書された歌詞の入った封筒が届けられた。
女子部長が、喜々として言った。
「今、山本先生が、『東北の歌』の一番の歌詞を作ってくださいました。ここで発表させていただきます!」
再び、拍手が湧き起こった。
「歌のタイトルは、『青葉の誓い』です」
またまた大拍手に包まれた。
東北の青年たちは、かつて、あの青葉城址で、恩師・戸田城聖の伸一への話を聴きながら、「自らが人材に育つとともに、数多の人材を育て、東北に難攻不落の人材城を必ずつくろう」と、誓い合ってきた。
当時の青年たちは、皆、壮年となり、婦人となっていた。しかし、「人材の城をつくろう」との誓いは、青年から青年へと受け継がれ、東北の伝統精神となってきた。
それだけに、「青葉の誓い」というタイトルを聞いただけで、誰もが大きな喜びを覚えたのだ。
次の世代を偉大な後継者にするために残すべき財産について、近代中国の女性指導者・宋慶齢は、こう述べている。
「物質的財産のみでなく、もっとも大切なのは、われわれの伝統的な革命精神です」(注)と。
「青葉の誓い」の歌詞が読み上げられた。
 
「一、青葉の森に 誓いたる
   我等の誇り 忘れまじ
   いかに護らん 果たさなん
   同志の城に 月冴えて
   ああ東北の 功徳の山々よ」