小説「新・人間革命」 清新51 2016年年8月13日

第二代会長・戸田城聖は、青年たちへの指針のなかで、「われらは、宗教の浅深・善悪・邪正をどこまでも研究する。
文献により、あるいは実態の調査により、日一日も怠ることはない。(中略)その実態を科学的に調査している」(注)と記している。
この言葉に明らかなように、創価学会もまた、日蓮大聖人の御精神を受け継いで、常に宗教への検証作業を行ってきた。
そして、調査、研究を重ね、検証を経て、日蓮仏法こそ、全人類を救済し、世界の平和を実現しうる最高の宗教であるとの確信に立ったのである。
自分が揺るがざる幸福への道を知ったとの確信があるならば、人びとにも教え伝え、共有していくことこそ、人間の道といえよう。
ゆえに学会は、布教に励むとともに、座談会という対話の場を重視し、他宗派や異なる考え方の人びとと語り合い、意見交換することに努めてきた。
それは、納得と共感によって、真実、最高の教えを人びとに伝えようとしてきたからである。
宗教は、対話の窓を閉ざせば、独善主義、教条主義権威主義の迷宮に陥ってしまう。
対話あってこそ、宗教は人間蘇生の光彩を放ちながら、民衆のなかに生き続ける。
座談会などでの仏法対話によって、共に信心をしてみようと入会を希望する人は多い。
また、信心はしなくとも、語らいのなかで学会への誤解等は解消され、日蓮仏法への認識と理解を深めている。
そして、相手の幸せを願っての真剣な語らいが進むにつれて、私たちの真心が伝わり、人間としての信頼と友情が育まれている。
日蓮大聖人の仏法は、人間が苦悩を乗り越え、幸せを築き上げるための宗教である。
大聖人御自身が、「一切衆生の異の苦を受くるは悉く是れ日蓮一人の苦なるべし」(御書七五八ページ)と仰せのように、仏法の目的は、人間の苦悩からの解放にある。
宗教が人間の救済を掲げるならば、決して人間を手段にしてはならない。
 
小説『新・人間革命』の引用文献
注 「青年よ国士たれ」(『戸田城聖全集1』所収)聖教新聞社