巻頭言 11月号 創立の魂よ 永遠なれ

  創立の魂よ 永遠なれ

  晴れやかに
   創立記念日
    祝賀せむ
   君も私も
    勝利の王者と

 「閻浮提に広宣流布して
  断絶せしむけること無けん」
 これは、釈尊の出世の本懐たる「法華経」の薬王品第二十三の一節である。御本仏であられる日蓮大聖人が、繰り返し仰せになられた御金言でもある。
 釈尊も、大聖人も、「一閻浮提広宣流布」を遺命なされた。そして、この妙法の流れだけは、いかなる悪魔、魔民にも、永遠に断絶させてはならないと、師子吼されたのだ。
 この大誓願を果たすため、初代・牧口常三郎先生、二代・戸田城聖先生の師弟によって創立されたのが、わが創価学会である。
 その日は、1930年(昭和5年)の秋11月18日、火曜日であった。

 歴史上、インドを源流とする仏法が、中国に流れ、韓・朝鮮半島に伝わり、東漸の終着として日本へ渡ったのは、6世紀である。
 その伝来から700年後、闘じょう堅固・白法隠没の時に、日蓮仏法が興起したのである。
 そして、さらに700年の歳月を経て、創価学会は誕生した。それは、衰退し切った宗門が広宣流布の戦いを忘れ去り、大ほう法を犯して、大聖人の正法正義が穏没せんとする危機であった。この歴史的必然というべき「時」のリズムの中で、創価学会という「仏の教団」は出現したのである。
 牧口先生と戸田先生はー
 「日蓮と同意」で大法を弘通された。
 「日蓮が如く」法華経の敵を攻め抜いた。
 「日蓮と同じく」不惜身命で祈伏された。
 そして王難に遭われ、先師は壮烈な獄死を遂げられたのだ。まさに死身弘法である。殉教の日は、1944年(昭和19年)、奇しくも創立記念日の旭日が昇りゆかんとする朝六時過ぎであった。
 戸田先生は叫ばれた。
 「牧口先生なくば、創価学会なくば、大聖人の御精神は断絶したのだ。これは、誰人も否定しようのない事実である。学会が仏意仏勅の団体である所以も、ここにある」

 いかなる組織であれ、創立者を大事にし、創立の精神を継承しているところは、清々しく栄えている。行き詰まりがない。
 私が共に対談集を発刊したモスクワ大学のサドーヴニチィ総長は語られた。
 「本学は、創立者モロノーソフの思想と道徳的規範を体現する大学です。時を経れば経るほど、創立者と大学のつながりは、ますます深まっていきます」と。
 ここに、創立250年を貫く誇り高き伝統があり、発展の原動力があった。

 ローマ帝国は、なぜ滅びたのか。
 「ローマみずから築きあげた価値を尊重しなくなったとき、ローマは滅んだ」とは、フランスの作家モロウの洞察であった。
 これが、歴史の鉄則であるといってよい。ゆえに、戸田先生は厳重に戒められた。
 「創立の原点を忘れたころは、必ず派閥ができ、勢力争いが盛んになって、乱れる。
 学会は、原点である『師弟の精神』を宣揚し続けることが、日蓮仏法を弘宣流布しゆく団体としての眼目であり、魂なのである」
 「創立の精神」とは、抽象論でもなければ、観念論でもない。詮ずるところ、「師弟の精神」こそが、「創立の精神」と完璧に合致するのだ。
 わが学会は、創価教育学会として発足した。
 不思議にも、今、全世界の教育界から、200の名誉学術称号を拝受している。私は、創価三代の永遠の勝利の証として、両先生に謹んで捧げたい。

 創価学会の創立は、『創価教育学体系』の発刊をもって宣言された。この一書の奥付けの日付けが、「創立の日」となったのだ。
 つまり創価の出発は、大言論戦であり、大思想戦であった。以来、生き生きとした快活な座談とともに、書籍や機関紙の出版活動を間断なく積み重ねてきた。だからこそ、学会は伸びたのである。
 「破邪顕正」の魂の込められた活字を世に送ることは、幾千、幾万の正義の闘志が大音声を挙げているに等しいからだ。
 ともあれ、世界の各都市でも、「創立の日」を祝賀してくださる時代に入った。
 昨秋、アメリカ・ニューヨーク市マイケル・ブルームバーグ市長は、十一月十八日を「SGI創価学会インタナショナル)の日」と宣言してくださった。
 「創価の友は『人間は他者に尽くしてこそ幸福になる』という三代会長の思想を体現して、地域を潤しています」との温かい信頼と共に!

 御書に説かれる通り、味方のようなふりをしながら、大恩深き学会に弓を引く卑劣漢もでた。
 しかし、いかに虚勢を張ろうとも、最後は経文の如く「頭七部と破れて」悩乱し、朽ち果てることは例外がない。
 大聖人は、難を乗り越えて凛然と信仰を貫く英姿を、秋の花に譬えておられた。
 すなわち御聖訓には、「菊は他の草花が枯れたのちにも、なお花を咲かせるので『仙草(妙なる草)』といわれる」(1095ページ)と仰せである。
 創価の大誠実の賢者に、私は贈りたい。

  大勲位 
   よりも尊き
     菊の花
   あなと私の
     胸に輝く

 広宣流布の唯一無二の和合僧・創価学会を磐石ならしめることが、大聖人の仏法を厳護することだ。
 その真髄は師弟にある。
 恩師は「三代までは創立の時」と示された。
 創立八十周年へ、信頼できる人材の核を固め、共々に喜びに燃えて、新たな勝利の価値創造を決意し合いたい。