07年10月日 聖教新聞 第30回全国人間教育実践報告大会への名誉会長のメッセージ

07年10月日 聖教新聞
第30回全国人間教育実践報告大会への名誉会長のメッセージ

「教育革命」の旭日を
3万事例に迫る実戦記録 人間教育の勝利の証し

 一、人間教育の希望の大地・北海道で、第30回の歴史を刻みゆく「実践報告大会」の開催、おめでとうございます。
 離島をはじめ、遠くからお集まりの皆さま方も、ご苦労さまでございます。役員の方々も、お世話になります。
 このほど私は、世界的な文化人類学者であるハーバード大学のヌール・ヤーマン教授と、対談集『今日の世界 明日の文明』を発刊いたしました。
 教授は、先人の言を引きながら、こう訴えておられます。
 「我々は『麦が育つ音に耳を傾けるように』注意深く、あらゆる努力をして、人間の多様性を育てなければならない」と。
 一人一人、かけがえのない生命を育み、一人一人、多彩な個性をもった子どもたちを育てることが、どれほど困難な偉業であることか。そして、だからこそ、どれほど崇高な聖業であることか。
 日本は急速な少子化が進み、社会は複雑な変化にさらされています。
 教育の現場は、いやまして厳しい、時代からの挑戦の連続でありましょう。
 そのなかにあって、先生方は、若き命のために、労苦をいとわず、わが身を削って奔走しておられます。一人の真剣にして誠実な教育者の存在こそ、いかなる闇も打ち破る希望の太陽であり、宝の中の宝であられます。私は最敬礼して、満腔の敬意を表し、心からの讃嘆を捧げたいのであります。
 一、ご存じのとおり、創価学会も、昭和5年(1930年)、創価教育学会として出発しました。
 北海道は、この創価教育の原点の地であります。
 牧口常三郎初代会長も、戸田城聖第2代会長も、ここ北海道で、若き教育者として第一歩を踏み出したのであります。
 当時の「単級(単学級)教育」の開拓者であった牧口会長は、雪の中、登校してくる児童を出迎え、ある子は背負い、ある子は手を引きながら歩んだといいます。
 "児童が毎朝、学校に喜んで来るのは、ひとえに教師の笑顔と、友達の熱情があるからです"とは、若き牧口教諭の信条でありました(『牧口常三郎全集第7巻』第三文明社)。
 牧口会長は、戦前の国家主義の教育と対峙し、教育の目的は、子どもの幸福と人格の完成にあると、高らかに訴えております。
 そして最後は、狂った軍部権力に投獄され、壮絶な信念の獄死を遂げたのであります。
 「この北海道を源流とする、慈愛と正義の「創価教育」の魂を受け継ぎゆく、先生方による教育の実践報告は、すでに全国で3万事例に迫っております。
 尊き実践の記録からは、「教育革命」は「教員革命」から始まり、一人の教育者の変革が、子どもの生命を必ず変革していくという希望が伝わってまいります。
 子どもの輝く生命を信じて、真剣に、誠実に、粘り強く、取り組んでこられた具体的な一つ一つの実践記録は、まさしく誇り高き「人間教育」の勝利の証しであります。
 ここにこそ、「教育の世紀」を照らす旭日があると、私は強く申し上げたいのであります。
 有名なパグウォッシュ会議の創設者の一人であり、ノーベル平和賞を受賞されたロートブラット博士は、遺言のごとく私に語られました。
 「どうしても答えは、『教育』の重要性という点に帰着します」「ほんの少しずつでも、人間の教育レベルは上がってきていると思うのです。それが、私が『まだ希望はある』という理由です」と。
 ともあれ、目の前の一人の子どもの幸福のために──この教育の原点に立ち帰るとき、私たちの胸には、無限の智慧と勇気が熱くこみ上げてまいります。
 私も、初代と二代の心をわが心として、本日お集まりの先生方とご一緒に、教育の再生のため、一段と行動を積み重ねてまいる決心であります。
 結びに、わが愛する心のふるさと北海道が、世界のいずこにもまして「人間教育の理想郷」、そして一人材育成の黄金の大地」として永遠に隆々と栄えゆかれることを深く深く念願しつつ、私のメッセージとさせていただきます。

第30回全国人間教育実践報告大会への名誉会長のメッセージ〔完〕


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