2007年11月19日付 聖教新聞 第2回 関西最高協議会での名誉会長のスピーチ 上-2

2007年11月19日付 聖教新聞
第2回 関西最高協議会での名誉会長のスピーチ 上-2

協議を重んじよ
 一、スペインの人権の闘士アレナルは叫んだ。
 「完壁なる社会とは、多くの人たちが自由に善行のために調和し、仲良く前進する社会のことである。
 また、欠点のある社会とは、多くの人たちが協調性なく、ある時は自らが皆の妨げとなり、個々の利己主義と無関心をむき出しにしながら、異なった方向へ前進する社会のことである」
 広宣流布を進めるためには、「協議」「協調」が大事である。
 釈尊は「七不退法」と呼ばれる教えを残されている。共同体を衰亡させないための、七つの原則である。
 これについては、現代の「人間の安全保障」の観点から、ハワイの東西センターで講演し、大きな反響をいただいた。
 この「七不退法」の筆頭にあげられているのも、その共同体が「会議・協議」を尊重しているかどうか、であった。
 わが関西は聡明に、仲むつまじく、協議による前進の模範を示していただきたい。
 一、ドイツの哲学者シュライエルマッハーは、「円熟した老年が青年の世話をやけば、若い精神はいっそうよく伸びる」と述べている(秋山英夫訳『独り思う』角川書店)。
 関西は、錦宝会の方々をはじめ、百戦錬磨の広宣流布の闘志の皆様が、生き生きと最前線で皆と一体となって活躍されている。
 青年を励まし育てる人は、自分自身が若々しく勢いをもって前進することができる。
 ますます後輩と一緒に戦い、青年を大いに伸ばしながら、「人材・拡大」の大河の流れを、ここ関西から起こそうではないか(大拍手)。

 青年部よ自己の鍛錬に励め
 一、今月25日、全国で、伝統の教学部任用試験が行われる。
 昭和31年1月に行われた任用試験の際、私は関西での講義を担当し、受験者の皆様を心から励ました。
 筆記試験前日の夜にも大阪で質問会を行い、最後の最後まで、真剣勝負で激励を重ねた。
 今回の任用試験も、受験者の方々の健闘を祈るとともに、担当者の皆様方に心から感謝申し上げたい。
 あの「大阪の戦い」にあっては、毎朝、勤行のあとに、御書を真剣に拝し合い、皆の勝利への一念を合致させていった。
 不可能を可能としゆく「法華経の兵法」「妙法の将軍学」を心肝に染め抜いた。「絶対勝利」の活力を満々と漲らせて、皆が最前線に躍り出た。そして、勇敢に道を切り開いていったのである。
 御書根本こそ常勝のリズムである。
 戸田先生は、おっしゃった。
 「『教学』を身につける人は『哲学者』である。『哲学』とは、よりよき生活をしていくための『智慧』である」
 女子部に対しては、「女子部は教学で立ちなさい。そうすれば、どんな問題が起ころうとも、決して紛動されることはない」と語られた。
 青年部に対しては、「願わくは、諸君は教学に、信心に、自己の鍛練に、いっそう励んでいただきたい。そしてよき広宣流布の闘士として、末代にまで、自己の名を歴史に残していただきたい」と叫ばれた。
 また、こうも指導されていた。
 「坊主は偉いと思って化儀(形式)に流れるのは、古い信者である。
 我ら創価学会は、日蓮大聖人と御書を通じて直結して行ずるのである」
 「仏法で学んだことは、どしどし口に出して話しなさい。そうすれば、やがて身につくものです」
 その通りだ。広布のために語った分だけ、知識に血が通う。生きた智慧となるのである。

リーダーは「油断大敵」
御聖訓 さきざきよりも 百千万億倍・御用心あるべし

 皆で題目をあげて前進!
 一、大聖人は、四条金吾に仰せである。
 「さきざきよりも百千万億倍・御用心あるべし」(御書1169ページ)
 厳粛な一節だ。人生においても、社会においても、よくよく拝していくべき勝負の鉄則である。
 勢いよく前進すればするほど、大きくなればなるほど、少しでも油断して、隙が生まれれば、一瞬で崩れてしまう。
 フランスの文豪ロマン・ロランは、「破壊するのに一日で足りたものも、建設するには一世紀を要する」と綴っている(宮本正清訳「戦いを超えて」、『ロマン・ロラン全集18』所収、みすず書房)。
 だからこそ、広布の戦いにあってリーダーは、常に精神を鋭く研ぎ澄まして指揮を執り、行動していくことだ。それが使命であり、責任である。重大な操縦桿を握っているのだ。緊張感を忘れてはならない。
 皆さんがよくご存じの御聖訓に、「月月・日日につよ(強)り給へ・すこしもたゆ(撓)む心あらば魔たよりをうべし」(御書1190ページ)と仰せである。
 もとより、私たちは凡夫であるから、緊張感を持ち続けるのは至難である。だからこそ、たゆみなく「題目」を唱え抜いていくのだ。
 また「妙楽大師は『必ず心の固きによりて神の守り、すなわち強し』と言われています。心の堅固な者には、神の守りが必ず強いというのです」(同1220ページ、通解)とも教えておられる。
 この「心」とは、「信心」である。信心強き人を諸天は守る。
 心には無限の可能性がある。心ほど不思議なものはない。
 どんな戦いでも、まず「心」で勝つのだ。
 心を一つに合わせて、きちっと目的を定める。そして皆で題目をあげて、広宣流布の和合僧をつくるのである。
 創価の三代の師弟は、そうやって戦ってきた。そして勝ってきた。

 友の心を明るく
 一、戸田先生は、「こんなことまで」と思うほど、人心の機微を捉え、よく覚えておられた。
 知らん顔で、全部、知っていた。まさに、仏法で磨き抜かれた慧眼であると私は感嘆した。
 師匠に対しては、正直に、まっすぐに、裏表なく、ぶつかっていかなければ、損をする。
 師匠とともに生きる黄金の一日一日、何かで歴史を残すのだ──そう決めて、私は走った。
 リーダーは友に尽くすためにいる。そう戸田先生は敢えてくださった。
 「指導・懇談は、誠実に、わかりやすく。決して、偉ぶって見下して話してはならない」と厳しかった。
 ちょっとした智慧で、友の心を明るくできる。優れた指導者は、気を遺っているそぶりを少しも見せなくても、細心の注意を払っているものだ。
 逆に、最高幹部でありながら、傲慢で、気を遣わず、会員の心がわからない指導者は、その組織にとって"毒"のような存在であるといってよい。これは、どんな世界でも同様であろう。
 また、先生はおっしゃった。
 「ユーモアは、話の中で必要であろう。
しかし、真剣に聞く人に対して、ふざけ半分や、いい加減な話をしたら、求道心の人を見下すことになる。そういう幹部であってはてはならない」
 「ともかく学会員に対しては親切に。学会や世間や会員に迷惑をかける悪い人間は、容赦なく追放しても結構だ。除名しても結構だ」
 責任ある立場をわきまえず、心に"ふざけ"がある人間、同志に迷惑をかける人間を、先生は断じて許されなかった。

 声は"弾丸" 
 一、広布新時代の最高幹部は、見栄や格好主義など振り捨てて、同志のために死にものぐるいで戦うことだ。
 使命の天地で勝つためには、「ここを素晴らしい地域にするんだ!」と深く決意し、祈りに祈り、命を削って動くしかない。
 口先を動かすだけではダメだ。自分の「生命を揺り動かす」のだ。後世の人から仰がれるような、立派な幸福城を築いてほしい。限りある人生である。力を出しきらなければ、もったいない。
 広布を阻者とは、リーダーが先頭を切って、「声」で戦うのだ。
 声が剣であり、"弾丸"なのだ。敵を前にして、黙っていては卑怯だ。
声が仏事を為すのである。
 唱題根本で戦う人の心のこもった声は、相手の胸に入る。頭にも入る。たとえ細かい部分は
忘れたとしても、不思議と心に残るものだ。
 チョウドリ国連事務次長は、私に語られた。
 「政治家に任せるのではなく、民衆が立ち上がってこそ、この世界を、よりよき人間の世界へと変革していけるのです」
 わが学会こそ、この「変革」のための団体である。その潮流を創り出すのも、学会員一人一人の、心からの声である。
 「民衆の声」で歴史を打ち立ててきた関西の皆様に、

 嵐をも
  怒涛も乗り越え
   大関西
  勝ちまくりたる
    皆様 讃えむ

 との一首を捧げたい
(大拍手)。(下に続く)

第2回 関西最高協議会での名誉会長のスピーチ 上〔完〕


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