2008年12月29日付 聖教新聞 各部代表者会議での名誉会長のスピーチ 下-1

2008年12月29日付 聖教新聞
各部代表者会議での名誉会長のスピーチ 下-1

行動!勇気の一歩を
ドイツ大統領 確信を得るまで動かないでは遅すぎる
嵐に揺るがぬ自分をつくれ

一、恩を知る人生は美しい。
 私にとって、大恩ある師匠は、戸田先生である。
 寒風の日も、吹雪の時も、先生と二人で築いてきた学会だ。
 殉難の魂を、深き同志愛を、勝利の力を、平和への英知を、先生は私に打ち込んでくださった。
 真実の創価学会の姿は、先生と私の心の中にある。
 有名な「報恩抄」には仰せである。
 「仏法を学ぶ人は、父母の恩、師匠の恩、国土・社会の恩を忘れてはならない。この大恩に報いるためには、必ず、仏法の奥底を学び、修行して、智者とならなければならない」(御書293ページ、通解)
 報恩こそ人間の道である。仏法の道である。
 邪心の人間、狡滑な人間、増上慢の人間は、ひとたび難が起こるや、逃げる。裏切る。それどころか、恩ある人に仇をなそうとさえする。
 そうした畜生のごとき所業を、戸田先生の時代から、私は見てきた。危難の矢面に立って、私は一人、正義の道を切り開いてきたのである。
 命がけの信心を貫く人間がいなければ、正義の旗は、悪人に踏みにじられてしまう。
 だからこそ、後継の諸君が一人立つのだ。
「報恩」の要諦とは何か。それは「不惜身命」であると、日寛上人は教えられている。
 「身命を惜しまず邪法を退治し、正法を弘通すれば」一切の恩に報いていけるのである(報恩抄文段)。

 後輩を大事に! 人材を伸ばせ!

 一、迫害の嵐の中にあった昭和54年(1979年)。嫉妬うず巻く日本を去って、外国に行ったほうがいいのではないか──そういう声もあった。
 しかし、妻は、微笑んで言った。「あなたには、学園生がいます。学園生は、どうするのですか。きっと寂しがりますよ」
 そうだ。学園生がいる。未来の生命たる青年たちがいる。その若き友のために、私は戦おう──こう心に決めたことを思い出す。
 きょうは、青年部の代表も参加している。
 戸田先生は、私をはじめ青年部の中核が集う「水滸会」で、厳しく言われた。
 「忘恩の人間には、何も任せられない。任せても何もできない」
 青年よ、「報恩」の二字を忘れるな!──これが恩師の遺言である。わが生命に深く刻んでいただきたい。
 悪を放置してはならない。絶対に許してはならない。
 ドイツの哲学者カントは述べている。
 「次の三つの悪徳を、我々はここでひとまとめにすることができる。そして、それらは最も下劣で最も悪性の悪徳である。その三つの悪徳とは、恩知らず、嫉妬、他人の不幸を喜ぶ気持である」(御子柴善之訳「コリンズ道徳哲学」、『カント全集20』所収、岩波書店
 哲人の洞察は鋭い。
 「忘恩は、罪の中で最も悪い罪である」とは、エジプトの英知の言葉である。
 ともあれ、時代は、力ある青年の登場を待ち望んでいる。
 先輩幹部は、今まで以上に、後輩を大事にし、後輩の意見に耳を傾けてもらいたい。
 人材を育てたところが勝つ。人材を伸ばす指導者こそ、最も偉大なのである。

勇敢な信心たれ

 一、日蓮大聖人は、「末法の御本仏」であられる。
 ありとあらゆる三障四魔や三類の強敵が襲いかかってきても、御本仏の赫々たる御生命を破ることなどできなかった。
 ありがたいことに、妙法を信受し、大聖人の仰せの通りに、広宣流布に生き抜く私たちは、末法の御本仏の師子王の大生命を、そのまま、わが身に涌現することができる。
 「此の曼茶羅能く能く信ぜさせ給うべし、南無妙法蓮華経は師子吼の和し・いかなる病さは(障)りをなすべきや」(御書1124ページ)とは、あまりにも有名な一節である。
 師子吼の題目を唱える人は、絶対に行き詰まることはない。
 師子王が吼えれば、百獣は恐れおののく。そのように、あらゆる魔性を披ることができる。病魔も破ることができる。
 全宇宙の諸天善神が私たちの味方となるのだ。何も心配はいらない。何も恐れる必要はない。
 薪を加えるほど火が盛んになるように、難に遭うほど、旺盛な大生命力をわきたたせていける。仏の境涯を開いていける。それを大聖人は、身をもって教えてくださった。
 偉大なる仏の力がみなぎれば、障魔に負けるわけがない。
 その大宇宙のような広大な境涯を涌現していく、ただ一つの条件がある。
 それは「信」である。「但し御信心によるべし」「能く能く信ぜさせ給うべし」(同ページ)と仰せの通りである。
 どんなに鋭い剣があっても、それを使う人が臆病であれは、何の役にも立たない。
 大聖人は「法華経の剣は信心のけなげ(勇)なる人こそ用る事なれ」(同ページ)と仰せになられた。
 苦難に襲われたその時に、「勇敢な信心」「潔い信心」「勇猛な信心」「強盛な信心」があるかどうかだ。
 「心こそ大切」(同1192ページ)である。大聖人は、幾度も「信ぜさせ給へ」等と強調されている。
 今、時代は、乱気流の中に突入している。どんなに社会が動揺しても、いな、社会が動揺している時だからこそ、自らの信心だけは微動だにさせてはならない。
 信心さえ揺るがなければ、いかなる状況も、必ず打開できる。最後は必ず勝利する。
 「わざはひ(禍)も転じて幸となる」(同1124ページ)のが妙法の力であるからだ。
 御聖訓に「心して信心を奮い起こし、この御本尊に祈念していきなさい。何事か成就しないことがあろうか」(同ページ、通解)と仰せの通り、どこまでも、祈り切ることだ。祈り抜くことだ。
 大悪をも大善に変えていくのが、日蓮大聖人の仏法である。私たちの信心である。
 苦難こそ、信心の無量の力を引き出していく最大の転機だ。御本尊の絶対の功力を証明する絶好の時である。
 諸天善神が間違いなく動きに動き、私たちを護りに護る。今まで以上に、思ってもみなかった力が発揮できる。そうでなければ、御書も法華経も、全部、虚妄になってしまうではないか──。
 この大確信で、いよいよ勇み、立ち上がっていただきたい。
 私たち学会員の信心が一段と深まり、人々に妙法の功力を示しきっていく時が来た!今こそ人間革命できるのだ!──そう深く心に決めて進んでまいりたい(大拍手)。

 御書の翻訳は師弟の聖業

 一、本日の会議には、教学部の若き俊英も参加している。
 「師弟直結の教学」「広宣流布の教学」「破邪顕正の教学」「人材育成の教学」そして「仏法勝負の教学」を先頭に立って実践しゆく皆様の奮闘は、誠に頼もしい。
 いつもご苦労さま!
 昭和27年(1952年)4月、日蓮大聖人の御書全集が創価学会の手によって発刊された時、発願者である戸田先生は「発刊の辞」で明快に宣言された。
 「この貴重なる大経典が全東洋へ、全世界へ、と流布して行く事をひたすら祈念して止まぬものである」と。
 この「仏法西還」そして「一閻浮提(世界)広宣流布」は、大聖人が誓願され、日興上人が受け継がれた聖業である。
 御書には、こう仰せである。
 「月は西より東に向へり月氏の仏法の東へ流るべき相なり、日は東より出づ日本の仏法の月氏へかへるべき瑞相なり」(588ページ)
 さらに、日興上人は「日蓮大聖人の御書も、広宣流布の時には、また仮名交じり文(日本語)を外国語に翻訳して、広く世界に伝えるべきである」(御書1613ページ、趣意)と展望されていた。
 見栄っ張りの五老僧らは、かな文字で庶民にわかりやすく書かれた御書を軽んじた。
 しかし日興上人は、その大聖人の御書が、必ず全世界に向けて翻訳される時代が来ると断言された。
 戸田先生は、この大願を果たされるために、正しい御書を残された。そして、世界への翻訳を、後継に託されたのである。
 戸田先生のご構想を実現するため、私自身、教学部の代表として御書再版の校正作業に携わった。輝かしい青春の思い出である。
 世界広布の伸展とともに、私は御書の翻訳事業にも着手した。
 今や御書の翻訳・出版は英語、中国語、スペイン語、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語オランダ語デンマーク語などに及んでいる。現代の鳩摩羅什ともいうべき、最優秀の翻訳陣・通訳陣の方々に、この席をお借りして、最大に御礼を申し上げたい。
 その福徳は、広大無辺である。本当にありがとう!(大拍手)

希望へ!時代を動かせ 民衆こそ21世紀の英雄
報恩とは不惜身命
カント 最も下劣な悪徳は「恩知らず」「嫉妬」「他人の不幸を喜ぶ気持ち」

 「人間主義」の大仏法を世界へ

 一、とくに今年は、世界3大言語の一つに数えられるスペイン語版の『御書』が発刊された。
 スペイン語の使用人口は、スペインや中南米諸国など、世界で3億5000万人にのぽるといわれる。
 今回、言語学と翻訳理論の権威である、スペインの国立マドリード・コンプルテンセ大学教授のカルロス・ルビオ博士が、監修者として尽力くださった。
 〈ルビオ博士は「仏法の光、幸福の光で人々を照らすことは、必ずや世界平和につながると確信します。こうした大事業の一翼を担うことができ、感謝の思いで一杯です」と語っている〉
 もとより日顕宗では、スペイン語はもちろん、英語の立派な御書すら発刊されていない。
 スペインのわが創価の同志は、『御書』を拝しながら、希望の前進を繰り広げている。
 邪悪な日顕宗の破和合僧の謀略を厳然と勝ち越えた。黒き鉄鎖を断ち切った1991年(平成3年)から17年で、実に30倍の陣列に大発展を遂げているのである。
 一、「行学の二道」に励みゆく求道の息吹は、世界中に広がっている。この1年、約50カ国・地域で教学試験が行われ、約14万人が挑戦した。

各部代表者会議での名誉会長のスピーチ 下-2に続く

ブログ はればれさんからのコピーです。