台湾・育達商業科技大学「名誉教授」称号称号授与式  ㊦    2009-12-8

創価教育の父・牧口初代会長の信念

いかなる社会の波瀾にも打ち勝っていける人間を創る



「育達教育」

 一、王先生が青年を見つめる眼差しは、陽光の如く温かく、大海の如く大らかであります。

 ──かりに成績が悪かったり、試験が苦手であったりしても、どの若き生命にも格別の資質が備わっている。優れた教育で導いていくならば、必ず、その天賦の才能を開花させることができる──

 この確信に立って、王先生は一人一人の学生を真心から励ましてこられました。どの若人も、未来に希望を抱き、自信に満ちた足取りで、至善(最高善)に向かって、正しく歩んでいけるようにと、リードしてこられたのであります。

 ダイヤモンドは、ダイヤモンドでしか磨くことはできません。人間は、人間によって鍛えられ光を放ちます。教育とは、生命の尊極の“原石”を、最高に錬磨しゆく真剣勝負といってよいでありましょう。その真髄を「育達教育」は体現されております。

 それは、わが「創価教育」の理想と、あまりにも深く響き合っているのであります。

 教育とは、勝利の力を漲らせゆく源泉であります。

 王先生は創立者として、学生、卒業生はもとより、教員・職員にも、さらには父母たちにまで、人生の勝利への勇気と智慧を贈ってこられました。とくに苦難に直面した時、先生の激励が、いかに大きな支えとなっていることか。

 「苦しんだ人間こそ、他者を思いやることができる」

 「人生はマラソンだ。諦めず最後まで走り抜いた人間こそが勝者となる」

 「失敗の言い訳を探すのではなく、次に成功するための道を見出していくのだ」等々、人間学の達人である王先生の哲学は、誠に深く強い。

 わが創価教育の創始者である牧口常三郎先生は、日本の軍国主義の弾圧で捕らわれた獄中でも怯むことなく、生命尊厳の哲理を主張し抜いた師子でありました。

 この牧口先生の願望は、「いかなる社会の波瀾にも打ち勝っていける人間を創りたい」ということであったのであります。

 ともあれ、乱世であるほど、何ものにも屈せず、断固として価値創造していく人格の教育が要請されます。

 王先生が宣言なされたように、教育の真価は「社会のために、どれだけ優秀な人材を培い育てたか」にあるのではないでしょうか。

 台湾の偉大な思想家であり教育者であられた、于右任《うゆうにん》先生の言葉が、私は好きであります。

 「利を計るならば、天下の利を計るべし。名を求めるならば、万年の名を求めるべし」

 教育は、民衆の幸福のため、時代の闇を打ち破り、万年の未来を照らしゆく大事業であります。

 この挑戦に、偉大な兄と仰ぐ王先生とご一緒に、私もさらに溌剌と挑みゆく決心であります。



40万人の同窓生

 一、いにしえの孔子と弟子たちは、理想の指導者像をめぐって、「北辰《ほくしん》の其の所に居て衆星のこれに共《むか》うがごとし」との名句を残しました。不動に輝く北極星を、満天の星が仰ぎ慕いながら回転し、地上に光を注いでいく姿であります。

 その天座の如く、荘厳なる育達の40万人におよぶ同窓の人材群が、創立者の王先生を中心として、燦然と大光を放ちゆかれることを、私は確信してやみません。

 結びに、尊敬してやまぬ王先生はじめ、諸先生方が「寿比南山 福如東海」(寿《じゅ》は南山にならび、福は東海の如し)であられることを、心からお祈り申し上げ、私の御礼のご挨拶とさせていただきます。

 誠に誠に、ありがとうございました(大拍手)。



SGI会長が漢詩を贈る



廣播知識瀝心血

亞洲十校卓然成

育才無數畢生樂

達人風範永留名



 〈大意〉

 知識を広めることに心血を注ぎ、アジアに、ひときわ優れた十校の学舎が創立された。

 無数の英才を育てることは終生の楽しみであり、学校創立の達人は、その風格をもって永遠に歴史に名を留めるであろう。



漢詩の頭文字をつなぐと、「廣亞」(大学創立者の王広亜博士の名前)、「育達」(大学名)

となる。