大白蓮華 ２０１１年 ２月号 巻頭言

広宣流布は仏縁の拡大なり

創価学会名誉会長　　池田　大作

　　強盛な
　　　信心 炎と
　　　　この地にて
　　　法戦 走りし
　　　　　仏子に幸あれ

　「世界は待っているだけでは開けない。自分自身が近づいて開かねばならない」。中米キューバの大英雄ホセ・マルティの叫びである。
　この心を携(たずさ)え、1996年の6月、私はキューバへ飛んだ。平和・文化・教育の人間交流の扉(とびら)を開くためである。今、かの地でも、創価の友の社会貢献(しゃかいこうけん)が光っている。

　人生は行動だ。仏法は前進である。
　動かなければ、何も生まれない。
　語らなければ、何も始まらない。

　釈尊(しゃくそん)も、自分から気さくに語りかける人であった。「離反した人々を結びつけ、仲よくしている人々をさらに仲よくさせ」、和合の言葉を発していったと、仏典には記される。
　悟(さと)りすまして何もしない仏などいない。仏とは戦い続ける命だ。
　苦しみ悩む人間群の中に分け入り、汗まみれ、泥(どろ)まみれになって、友のために尽くし抜く人こそ、最も尊貴なのである。その仏の陣列(じんれつ)が、わが広宣の同志である。

　昨今、「無縁社会」と言われるように、人間の麗(うるわ)しき絆(きずな)が失われ、心の孤独が深刻である。
　思えば鎌倉時代も、念仏の哀音(あいおん)に民衆の無力感は深まり、遠くに幻の往生(おうじょう)を求め、現実の人間社会との関わりを厭(いと)う風潮が蔓延(まんえん)していた。
　その只中に、蓮祖が「国(くに)の為(ため) 法(ほう)の為(ため) 人(ひと)の為(ため)に」(御書35ページ)と開始されたのが、「立正安国」の対話である。
　この大精神で、創価の我らは「かしこへ・おしかけ・ここへ・おしよせ」(御書502ページ)と、勇敢(ゆうかん)に誠実(せいじつ)に弾(はじ)む命の対話を広げている。無縁社会を照らす究極(きゅうきょく)の希望も、妙法にあるといってよい。

　御聖訓には「仏種(ぶっしゅ)は縁(えん)に従(よ)って起(おこ)る」(御書1467ページ)と説かれる。
　ゆえに、積極果敢(せっきょくかかん)に縁を結んでこそ、成仏のための種は生ずる。
　「一句(いっく) 妙法に結縁(けちえん)すれば億劫(おくごう)にも失せず」(御書793ページ)と仰せである。
　たとえ反対しても、ひとたび仏縁を結べば、決して失われない。いつか、花開く時が絶対に訪れる。
　
　仏縁こそ、真の友好信頼(ゆうこうしんらい)の絆(きずな)だ。
　仏縁こそ、自他共(じたとも)の歓喜(かんき)の光だ。
　仏縁こそ、平和の文化の宝だ。
　広布に連なる私たちの対話は、一切が「仏縁の拡大」であり、永遠にわたる「幸福の拡大」なのである。

　離島で村八分(むらはちぶ)にされても戦い抜いた草創の母は、わが子に言った。
　「大聖人の仰せ通りの戦いをさせていただいている。変わらない人はいない。あの人たちも変わる。私たちも変わる。地域も変わる。怯(ひる)んだら笑われるだけだ。怯(ひる)まなければ、素晴らしい時代が必ず来るよ」と。
　今その通り、島は三変土田(さんぺんどでん)した。
　「人が心豊かに暮らせる社会の"先駆的モデル"」と識者が讃える創価の連帯は、世界に広がった。母たちの勇気(ゆうき)と忍耐(にんたい)が勝ったのである。

　釈尊生誕の国ネパールも、この20年で、約70倍の発展を遂げた。
　ヒマラヤを仰ぐ平和会館は「向こう三軒両隣」の方々も入会されている。近隣(きんりん)を大切に、日々の清々しい挨拶(あいさつ)を心がけてきた結実と伺(うかが)った。

　「声 仏事(ぶつじ)を為(な)す」(御書708ページ)である。
　恩師の師子吼(ししく)を、心に刻(きざ)みたい。
　「『もう会う人がいない』というくらい、人と会い、仏縁を広げるのだ。これが学会の強さだよ！」

　偉大なる
　　妙の連帯
　　　　　万全と
　　　諾仏に守られ
　　　　　大勝 浴びなむ

（大白蓮華　２０１1年２月号）