創価学園「英知の日」への池田先生のメッセージ 2018年11月18日

栄光へ走れ!創価のメロスの君よ
学びに読書に負けじ魂の力走を
 
一、今、私の手元に一冊の本があります。
創価教育学体系』との題名と、著者である牧口常三郎先生のお名前が美しい金の文字で記されております。
その金文字にも、師匠の本を立派に飾りたいという戸田城聖先生の深き真心が光っています。
発行の日付は昭和5年、つまり1930年の11月18日。
この日が、我らの「創価教育」の出発の日であります。
創価教育学体系』の表紙には、灯火が輝きわたるランプの絵が刻まれています。
そこには、「創価教育の英知の光が人類の未来を明るく照らし晴らす」との両先生の夢が込められているのです。
この夢を実現しゆくために、私が創立したのが、わが創価学園であります。
きょうの晴れの創立記念式典も、私は両先生にご報告する思いで、全てを見守っております。
誉れ高き「英知の日」、誠におめでとう!
 
創立100周年へ
勉強に、読書に、クラブ活動に、わが学園生の奮闘は実に目覚ましい。
一人一人の尊い挑戦と努力に、私は心から大拍手を送ります。
関西創価高校の駅伝チームの初の「全国高校駅伝」出場も、本当にうれしい。
「駅伝」の最初の大会は、101年前、関西と東京を結んで、3日間にわたり、走者から走者へ、たすきをつないだリレーであったといいます。
わが学園は、今年が創立51周年。先輩方が受け継ぎ、走り抜いてきた尊い創価の伝統のたすきは、今、ここに集った皆さんに託されています。
皆さん方こそ、新たな50年、すなわち創立100周年への栄光の第一走者といってよいでしょう。
不思議な縁と使命の皆さんに、きょうは三つのエールを送ります。
 
一、第一に、「我らの学びの力走が人類の前進につながる」ということです。
私が対談集を発刊した、中国を代表する世界的知性の季羨林博士は言われました。
「先人の創造と智慧を継承し、またそれを発揚し(大いに高め)、さらに光り輝かせていく。そして後世に伝えていく。
このようにして人類はたえず進歩し、精神境涯もたえず高まっていくことができる」と。
英知の光は、師から弟子へ、先生から生徒へ、世代から世代へと伝えられていく中で、より輝きを増し、新たな創造の力となって、人類を前進させていくのです。
人間教育の確かなリレーがある限り、行き詰まりはありません。
今、学園生の学びの力走は本当に頼もしい。
日本中、世界中の創価家族が、学園生の成長と活躍を、わがことと喜び、見つめています。
どうか、この大声援を力に変えて、胸を張って、皆で励まし合いながら、平和を創る学びの一歩また一歩を、日々、根気強く踏み出してください。
 
一、第二に、「我らの読書の力走から困難に勝つ力が生まれる」ということです。
季羨林博士が、とりわけ21世紀の青年に望まれたことは「読書」です。
書物は人類の智慧が貯蔵された宝庫であり、その宝は読書によって限りなく譲り受けることができるのです。
なかんずく、博士は勇んで良書にふれることによって、何があっても楽観的に前進する智慧や、困難に打ち勝つ力が生まれると強調されています。
私も戸田先生から、お会いするたびに、「今、何の本を読んでいるか?」と聞かれる薫陶を受けました。
その若き日の読書が、世界の知性との対話の力となっているのです。
皆さんも学園の誇り高き読書教育の息吹のもと、一人一人が人類の英知の宝で楽しく、たくましく青春の魂を満たしていってください。
 
何度転ぼうとも 第三に、「我らの負けじ魂の力走が世界に希望を広げる」ということです。
駅伝の先駆者として有名な金栗四三という青年は、1912年、ストックホルム・オリンピックのマラソンに日本人として初めて出場しました。
残念ながら、この時、金栗青年は体調を崩し、途中で倒れてしまいました。どれほど悔しく、無念であったか。
しかしそこから、「失敗は成功の基」「人笑わば笑え」と負けじ魂を燃やしました。
そして、さらに自分が力をつけ、より多くの選手を育て上げて、今日に至る駅伝の礎、また日本のマラソン界の礎を築き上げたのです(佐山和夫著『金栗四三――消えたオリンピック走者』潮出版社を参照)。
 
青春の試練の道は長く険しい。立ちすくむこともある。
大きく深呼吸して、思い切って、また挑戦だ。
転ぶことだってある。何度転んでも、また立ち上がる若人こそ勝利者だ。
創価の不屈の負けじ魂は、自分だけではなく、一緒に走る仲間や、あとに続く後輩たちを励まし、明日へ希望を広げていける。
ゆえに、目先のことに一喜一憂することなく、苦しい時ほど勇気に燃えて、前へ前へ進むことです。
良き学友と朗らかに支え合い、友情と信頼のたすきをつなぎながら、未来の勝利に向かい、創価のメロスとなって走りゆこう! そう申し上げて、私のお祝いのメッセージといたします。
皆、風邪などひかないように。元気で! 
ご家族にも、くれぐれも、よろしくお伝えください(大拍手)。
 
 
創立者と学園生の絆”を伝える貴重な品々が並ぶ、記念の展示に見入る東京創価小学校の児童。
11・18「英知の日」を目指し、小説『新・人間革命』「若芽」の章などで創立の精神を学んできた。