2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「新・人間革命」 共戦 33 2011年12月21日

真実の幸福である絶対的幸福境涯を確立できるかどうかは、何によって決まるか。 ──経済力や社会的な地位によるのではない。学会における組織の役職のいかんでもない。 ひとえに、地道な、信心の積み重ねによって、生命を耕し、人間革命を成し遂げてきたかど…

小説「新・人間革命」 共戦 32 2011年12月20日

日蓮大聖人は、極寒に身を責められ、食べる物も、着る物も乏しく、命をも狙われていた流罪の地・佐渡にあって、門下に宛てた御手紙に、こう記されている。 「流人なれども喜悦はかりなし」(御書一三六〇ページ)――それが、仏の大境涯であり、「絶対的幸福」…

小説「新・人間革命」 共戦 31 2011年12月19日

日蓮大聖人は、「此の経の信心を致し給い候はば現当の所願満足有る可く候」(御書一二四二ページ)と明言なさっている。 真の所願満足は、金銭や財産などを追い求めるなかにあるのではない。 欲望に振り回されることのない、少欲知足の心豊かな境涯が確立さ…

小説「新・人間革命」共戦 30 2011年12月17日

山本伸一は、決意を促すように、草創の同志を見つめながら、話を続けた。 「日蓮大聖人は、『須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ他をも勧んのみこそ今生人界の思出なるべき』(御書四六七ページ)と言われています。 つまり、一心に唱題と折伏に励み…

小説「新・人間革命」 共戦 29 2011年12月16日

草創の同志たちは、誓いを新たにしながら、山本伸一の言葉に耳を澄ましていた。 「学会員は皆、長年、信心してきた先輩たちが、どんな生き方をするのか、じっと見ています。 ゆえに、学会と仏法の、真実と正義を証明していくために、幹部だった人には、終生…

小説「新・人間革命」 共戦 28 2011年12月15日

山本伸一は、壮年たちに向かって言った。 「どうか壮年幹部の皆さんは、ご婦人への気遣い、配慮を、常に心がけていただきたい。 顔を合わせた時には、壮年の方から先に、『お世話になります』『いつも、本当にありがとうございます』と、丁重にあいさつする…

小説「新・人間革命」 共戦 27 2011年12月14日

山本伸一は、壮年部と婦人部の団結について語っていった。 「学会の活動を、最も推進してくださっているのは婦人部です。機関紙の配達員さんを見ても、圧倒的に婦人が多い。 したがって壮年は、婦人を尊敬し、ねぎらい、その意見を尊重することが大事です。 …

小説「新・人間革命」 共戦 26 2011年12月13日

直井美子は、裏表のない性格で、率直に、言うべきことはズバリと言う女性であった。 高校時代にはバレーボールの選手として、全国大会に出場したこともあり、活動的で明るく、面倒みもよかった。 一九七二年(昭和四十七年)、県婦人部長となり、山口全県が…

小説「新・人間革命」 共戦 25 2011年12月10日

山本伸一は、直井輝光に、青年には次代の社会を担い、新しい世紀を創る使命があることを、力を込めて語っていった。 「直井君。青年は、その日その日を、面白おかしく生きていればいいという考えではいけないよ。そんな人生は、結局は、むなしいものだ。 青…

小説「新・人間革命」 共戦 24 2011年12月9日

山本伸一は、懇談会で、山口県婦人部長の直井美子に視線を注いだ。 「確か、直井さんのご一家も、山口開拓指導の時に入会したんでしたね」 「はい。そうです。昭和三十一年(一九五六年)十月の最初の開拓指導で、義母をはじめ、一家で入会しました。 夫が本…

小説「新・人間革命」 共戦 23 2011年12月8日

美藤実は、幹部の言葉に、自分の心を見透かされている思いがした。 「うまい儲け話は、どこかに落とし穴があり、必ず失敗するものです。 ところが、そこに手を出してしくじり、借金を背負い込んでしまうと、なんとかしようと焦って、また、うまい儲け話にの…

小説「新・人間革命」 共戦 22 2011年12月7日

美藤実は、有力者の壮年に対する、山本伸一の確信にあふれた指導に魅了された。 「ひとたび信心をしたからには、あの確信、あの信念をもちたいものだ」と思った。 美藤は、翌日も、指導を求めて、朝一番で、伸一が宿舎にしていた旅館に行った。 伸一は、集っ…

小説「新・人間革命」 共戦 21 2011年12月6日

地域の有力者は、山本伸一の厳しい言葉にたじろぎ、あっけに取られたように、目をぱちくりさせていた。 伸一は、諄々と語り始めた。 「ここにおられる、同志の多くは、経済的に窮地に立ったり、病で苦しまれています。 しかし、その苦悩をいかに乗り越えてい…

小説「新・人間革命」 共戦 20 2011年12月5日

メガネをかけた老紳士が、立ち上がって山本伸一にあいさつした。 「防府の美藤実です。昭和三十二年(一九五七年)一月の山口開拓指導で、防府に来られた山本先生を、当時、三田尻駅といっていた防府駅まで、お迎えにまいりました」 「よく覚えています。と…

小説「新・人間革命」 共戦 19 2011年12月3日

山本伸一の話に、伊郷時子は?必ず、仏法で宿業を打開してみせる!?と奮い立った。 夫の忠治も、信心をしてみようと思った。 奮起した時子は、早速、三人の友人に声をかけ、山本伸一らが宿舎にしている旅館での座談会に連れて行った。 三人は、伸一の話を、…

小説「新・人間革命」 共戦 18 2011年12月2日

山内光元と妻の照子は、山口開拓指導で山本伸一から、広宣流布の使命に生き抜くことの大切さを学んだ。 労働運動の闘士であった光元は、広宣流布運動の闘士となり、下関の創価学会発展の中核となってきたのである。 山本伸一は、山口文化会館での懇談会で、…

小説「新・人間革命」 共戦 17 2011年12月1日

末法の衆生の機根は、本未有善(本と未だ善有らず)である。釈尊に縁がなく、成仏得道の種子が植えられていない。 そうした衆生をいかにして化導するか。 天台は、『法華文句』に「而強毒之」(而も強いて之を毒す)と述べている。 正法を聞くのを好まない者…

小説「新・人間革命」 共戦 16 2011年 11月30日

山口開拓指導に参加し、懸命に折伏に励みながら、相手を入会させることができずに悩んでいる同志のことを思うと、山本伸一は、胸が痛んでならなかった。 彼は力説した。「私たちは、必死になって仏法を語ったのに、相手が信心しないと、がっかりして、落ち込…

小説「新・人間革命」 共戦 15 2011年 11月29日

山本伸一は、仏法の法理のうえから、人間として生を受けた、尊い意味を訴えた。 山内光元は、悲観的にとらえていた宿命という問題の闇が払われる思いがした。 山口開拓指導には、全国の二十六支部から同志が派遣されていた。仙台など、東北から来た人もいる…

小説「新・人間革命」 共戦 14 2011年 11月28日

山内光元は、妻の照子の話に、口元をほころばせた。 「ほう、神札は駄目だというのか! 面白いことを言う宗教だな。それは、正しいぞ。 愉快だ。実に愉快だ。 俺は子どものころ、よく神札を作っていたから知っているが、ああいうものでは救われるわけがない…

小説「新・人間革命」 共戦 13 2011年 11月26日

労働運動に嫌気が差した山内光元は、半ば、自暴自棄になっていた。 〝結局、世の中は、もともと不平等にできているんだ! どこに生まれるか。平和な国か、戦争に明け暮れる国か。先進国か、発展途上国か。大都市か、田舎か――それだけで、運命の大枠は決まっ…

小説「新・人間革命」 共戦 12 2011年 11月25日

山本伸一の指導に、山内光元は答えた。 「はい! 終生、戦い続けます」 強い決意のこもった声であった。 伸一は、にっこりと頷いた。 山内は、小柄な体に熱い情熱を秘め、下関の人びとの幸せのために奔走し抜いてきた。 彼は、山陰地方の神主の家に生まれ、…

小説「新・人間革命」 共戦 11 2011年 11月24日

懇談会には、下関支部の初代支部長、総支部長を歴任してきた山内光元の、いかにも好々爺といった印象の、温厚な笑顔もあった。 山本伸一は、声をかけた。 「山内さん。お元気になられて本当によかった。心配しました。お会いできて嬉しい」 山内は、一昨年の…

小説「新・人間革命」 共戦 10 2011年 11月23日

会館は、同志の浄財によって、つくられたものだ。したがって、どこまでも大切に使用することが鉄則である。 山本伸一は、すべての幹部が、その精神に徹し切ってほしかったのである。 午後五時前からは、伸一が出席して、県の日を記念する代表者勤行会が開催…

小説「新・人間革命」 共戦 9 2011年 11月22日

山本伸一は、山口県長の梅岡芳実に、県内各地の中心幹部や、創価班、牙城会、白蓮グループなどの責任者の、氏名や仕事などについても尋ねていった。 そして、一人ひとりに励ましの伝言を託した。 「皆さんに、私の言葉を伝えるのは、時間もかかるし、大変な…

小説「新・人間革命」 共戦 8 2011年 11月21日

小郡駅に降りた山本伸一を、山口県長の梅岡芳実ら、地元の幹部が迎えてくれた。 梅岡は、一九七三年(昭和四十八年)九月に県長となり、山口創価学会の建設に奮闘してきた四十歳の壮年である。伸一は言った。 「さあ、広布回天の新しい歴史を開こう! 第二の…

小説「新・人間革命」 共戦 7 2011年 11月19日

五月度本部幹部会を終えた翌十九日午後、山本伸一は、福岡の博多駅から、新幹線で山口の小郡駅(現在の新山口駅)に向かった。 彼の山口県訪問は、一九六七年(昭和四十二年)三月に萩市、八月に下松市、防府市を訪れて以来、十年ぶりである。 今回の訪問で…

小説「新・人間革命」 共戦 6 2011年 11月18日

山本伸一は、このころ、各地で若手の壮年、婦人の県・圏幹部が数多く誕生していることから、年配の功労者への姿勢について語っていった。 「創価学会が、はつらつと躍動する、世界的な大仏教団体として発展してきた陰には、幾十万人もの、無名の民衆である先…

小説「新・人間革命」 共戦 5 2011年 11月17日

九州平和会館での本部幹部会で、山本伸一は、広宣流布の流れは、草創期の「渓流の時代」から、今や「大河の時代」になり、やがて、二十一世紀に向かって「大海の時代」となっていくことを述べた。 そして、広宣流布の活動は、時代の変化を見極め、その時代に…

小説「新・人間革命」 共戦 4 2011年 11月16日

五月十八日昼、福岡は見事な五月晴れであった。九州の幹部たちは、さわやかな青空のもとで、本部幹部会が開催できるとあって、どの顔も晴れやかであった。 山本伸一は、九州平和会館の窓辺に立ち、彼方を仰ぎながら、側にいた九州担当の副会長に言った。 「…