10月号 巻頭言

座談会こそ広布の源流

 座談会こそ、「広宣流布の出発」である。
 座談会こそ、「創価の幸福と平和の庭」である。
 座談会こそ、「師弟不二の原点」である。
 座談会こそ、「絶対勝利の源流」である。

 日蓮仏法の最重要の書「立正安国論」は、「しばし談話を致さん」(17ページ)と説き起こされている。そもそも「立正安国論」の全体が、大聖人と新来の客との「座談」そのものであられた。
 「さあ、対話を!」-この生き生きとした魂の脈動こそ、妙法広布の力なのだ。
 御聖訓には、悪世末法だからこそ、良き同志と常に集い合い、語り合い、学び合い、励まし合いながら、たゆみなく前進していくように、繰り返し示されている。
 この明確にして快活なる「一生成仏」の大法則に則った仏道修行こそ、座談会なのである。
 牧口常三郎先生は、戦時中、特高刑事の陰険な監視と怒号にも怯まず、忍難弘通の座談会を一貫して断行なされた。逮捕される直前も、伊豆・下田で座談会を悠然と行われていた。
 先生への弾圧の起訴状では、二年間で二百四十回以上にわたって、座談会を開催したことが、その理由の一つとされている。
 戸田城聖先生が、出獄後、岩窟王のごとく学会再建の火蓋を切られたのも、座談会であった。
 昭和二十一年、戦後最初の座談会で、戸田先生は、殉教の牧口先生と三世永遠に共に戦う決意を天下に宣言なされた。
 ゆえに、この広布推進の座談会は、我ら後継の弟子にとって、初代・二代の「不惜身命」の学会精神をたぎらせ、晴れ晴れと意気軒昂に、真剣勝負で臨みゆく師弟一体の法戦場であることを、忘れてはならない。

 「生命は唯生命に接して燃え上がる」とは、名作『宵の明星』『巨人』等で名高い、ドイツの作家ジャン・パウルの至言である。
 私も、座談会で、師と出会いを結んだ。そして、わが同志と共に、座談会を発火点として、燃え盛る創価破邪顕正の大連帯を、燎原の火のごとく広げてきたのだ。
 昭和二十七年の蒲田支部の「二月闘争」も、
 昭和二十八年の文京支部の「前進また前進」も、
 昭和三十一年の大阪の「“まさか”が実現」の大勝利も、
 そして山口の「開拓指導」の十倍の拡大も、
 全て座談会が起爆剤となった。
松下村塾を擁する歴史の街・山口県萩市の座談会で、三十数人の友人が入会を希望したことも、懐かしき思い出である。
 座談会でお会いしてきた全ての方々、また座談会でお世話になった全ての会場のご家庭に、私は感謝の心を忘れず、強情に題目を送り続けている。
 座談会ほど地道な闘争はあるまい。しかし地道だからこそ、最も確実で、最も強靭な相乗効果を発揮するのだ。これが、この六十年間、日本中、世界中、いずこも座談会によって活路を開いてきた私たちの結論である。
 法華経には、一人の友のため、人知れず仏法を語りゆく善男子・善女人こそ、偉大な「如来の使者」なりと宣言されている。
 座談会で誠実に戦い抜く人こそ、不滅の仏縁を結び、無量の心の財を積みゆく人だ。
 御本仏は、師弟を忘れた虚栄の貴族社会に溺れ、名聞名利に狂っていった背信者を、どれほど厳しく弾かしておられたか。
 皆さまご存じの通り、学会のお陰で偉くなり有名になりながら、鬼畜のごとく心乱れた、あの卑怯な輩は、必ずといってよいほど、座談会には出ていない。恩知らずの彼らは、遊興と堕落の畜生道の世界に落ち込んで、右往左往しているのだ。正義の行動もできず、人生の目的を忘れて! 
 これが退転反逆の徒の方程式である。
 座談会から離れることは、仏菩薩の大福運の安全地帯から離れることだ。諸天善神にも侘しく見放されていくことは間違いない。

 国際宗教社会学会の会長を努められたドブラーレ博士も、座談会に出席された。そして、“創価の座談会こそ「人と人を結ぶ人間の共同体」である。人々に、「安らぎ」と「挑戦する意欲」を贈る、生命の躍動と活力の源泉である”と評価してくださった。
 さらに幾多の世界の学識者も、座談会は、
 「民主主義の哲学」の開かれた広場
 「平和の文化」の最先端のモデル
 「地域の活性化」への希望の灯台
 「世界市民の融合」の多彩なる模範ーと
 多次元から意義づけ、賞賛されている。

 極北の国アイスランドからも、尊い報告があった。女性の本部長をはじめ六人のリーダーが、首都レイキャビクから高く険しい山道を車で八時間かけて走破し、北極圏に接する北緯六十六度の町イサフィヨルズを訪問した。そして四人の同志と、その家族を交え、楽しく座談会を行い、新しい地区を結成したというのである。
 世界広宣流布は、座談会を機軸に大回転している。

 戸田先生は叫ばれた。
 「社会が、いくら暗く殺伐としていても、我らは座談会だけは、絶対に明るい、勇気と確信に満ちた会合であれ!」と。
 座談会に集う勇敢な一歩が、新たな無数の希望も未来と勝利を開くのだ。
 座談会の一隅から響きわたる確信の人間の声こそが、新世紀の勝利の名曲とともに、「対話の文明」の夜明けを告げることを忘れまい。