2007年 9月号 巻頭言 平和は究極の広宣流布

平和は究極の広宣流布
             創価学会名誉会長  池田 大作

  人類に
    正義の平和を
        築かむと
      地より湧きたる
        不思議な君たち

 連祖大聖人は、厳然と仰せになられた。
 「大悪は大善の来るべき瑞相なり、一閻浮提うちみだすならば閻浮提内広令流布はよも疑い候はじ」(1467ページ)
 人生であれ、社会であれ、思いもよらぬ大悪が襲いかかろうと、断じて屈しない。いな、必ず大善へ転換する。これが妙法である。
 末法は「闘じょう堅固」。争いや諍いが、容赦なく渦巻く時代だ。この最も厳しく、最も難しい娑婆世界で、一閻浮提に広宣流布しゆくため、我らは勇み立ち上がった。悪世だからこそい、仏の勇気が光る。濁世だからこそ、仏法の智慧が光るのだ。
 「日蓮がひかうればこそ今までは安穏にありつれ」(919ページ)。この蓮祖の祈りに連なり、地球の安穏を護りゆく砦が、わが創価学会である。

  権力は
    魔性なりせば
        快活に
     若き利剣で
         見事破れや

 「われわれ世界の民衆は、生存の権利をもっております。その権利をおびやかすものは、これ魔ものであり、サタンであり、怪物であります」。1957年(昭和32年)の九月八日、わが偉大なる師・戸田城聖先生は、秋晴れの横浜・三ツ沢の競技場で、5万人余の同志とともに師子吼なされた。
 誰人たりとも幸福に、そして平和に生きゆく本然の権利がある。この権利を脅かし、人びとを不幸と混乱に陥れる働きが、「元品の無明」に他ならない。その最悪の一凶たる核兵器に、恩師は全生命を賭して挑んだ。そhして「絶対悪」として断破されたのだ。
 インドの哲人ラダクリシャナン博士は、感嘆されている。「『人類が原水爆に対し、勇気をもって戦うのだ』という、当時、誰も言えなかったことを、ただ一人、発言された。この宣言こそ、人類にとって最も偉大なる意志決定だったのであります」


  世界一
    心と心の
      スクラム
     平和の世紀の
       幸福女王は

 尊き母たちの笑顔に光がある限り、人類に暗黒の絶望はない。常に平和の太陽は赫々と昇る。「アメリカの良心」と謳われ、戦後、広島の復興に尽力した、わが友カズンズ氏は、「世界平和に関するもっとも重要な問題点は、個々の人間が無力感を持っていることだ」と結論された。
 現代に根深く蔓延する、この無力感を打ち払う希望の響きが、創価の崇高な女性の対話の行動に漲っている。
 平和は遠くにあるのではない。生命の尊厳を踏みにじり、人間の幸福を妨げる眼前の魔性を、一日また一日、信心の剣で断ち切っていくことだ。今、自分がいる場所で「仲良き世界を!」と努力しゆく聡明な心の波動から、充実と満足の平和が広がる。「心こそ大切なれ」(1192ページ)。そして「心の一法より国土世間も出来する事なり」(563ページ)とは、広宣流布という究極の「平和哲学」である。
 「破壊」と「分断」の悪の力が強ければ強いほど、それを凌駕する「建設」と「結合」の善の力を、断固と強めていくことだ。
 ご存知の通り、私は、この決意を滾らせて、1968年の9月8日には、学生部総会で「日中国交正常化」の提言を行った。さらにまた、ロシアと日本、ロシアと中国の懸け橋を願って、モスクワに第一歩を記したのは、1974年の9月8日である。
 核廃絶への科学者の決意を結集した「パグウォッシュ会議」のスワミナサン会長は、私に語ってくださった。
 「SGIの『人間革命』とは、あらゆる生命が神聖と見なされる新たな価値体系への変革です。私たちは、この『人間革命』への連帯、国際的な連合体を築かねばなりません」
 「原水爆禁止宣言」は青年への絶対の信頼の叫びだ。次の50年へ、わが信じる青年と、第二幕の平和の大行進を開始したい。

 世界中
   平和を願いて
      今日もまた
     広宣流布へと
        戦う尊さ