2007年12月16日付 聖教新聞 各部代表協議会での名誉会長のスピーチ 下-1

2007年12月16日付 聖教新聞
各部代表協議会での名誉会長のスピーチ 下-1

友よ築け! 人生最高の金字塔を

ハーバード大学ガルブレイス博士
世界は人材開発競争の時代
ロシアの教育者 ダイヤの如く光れ 人は出会いによって磨かれる

一、日蓮大聖人は、仰せになられた。
 「第六天の魔王が、私の身に入ろうとしても、かねての用心が深いので身に寄せつけない。ゆえに、天魔は力及ばずに、王や臣下をはじめとして良観などの愚かな法師たちに取りついて、日蓮を怨(あだ)むのである」(御書1340ページ、通解)と。
 仏法は、永遠に「仏」と「魔」との戦いである。
 「魔」というものは、自分自身の心に巣食い、身近なところに忍び寄ってくるものだ。
 だからこそ、「油断大敵」である。
 「月月・日日につよ(強)り給へ」(同1190ページ)の信心で、「さきざきよりも百千万億倍」(同1160ページ)の用心で、あらゆる魔を打ち破っていくのだ。
 断じてスキがあってはいけない。御本仏が"百千万億倍の用心をしていきなさい"と仰せなのである。これが根本でなければならない。

 青春の新記録を
 一、戸田先生亡き後のことである。
 ある指導者のところに、あいさつにうかがうと、「あなたのことは、戸田会長から聞いていました」と、大変に丁重に迎えていただいた。
 大事な人、大事な所に、一つ一つ、先生の的確な手が打たれていた。
 弟子を思う師匠の深き心を、改めて実感したものである。
 本当に、偉大な先生であられた。
 威張る人間には、徹して強い態度で応じられた。庶民には、慈父の優しさで振る舞われた。
 言葉には英和が光り、教養が格段に深かった。
 ただし、獄中に2年間いて、時が合わず、戦後は、事業に失敗される。
 折伏も進まず、学会の再建も、思うように、はかどらなかった。
 当時、私は20代。
 無名の一青年である。
 戸田先生に仕えた私は、猛然と働いて、借金を返済し、事業を軌道に乗せていった。
 そして次は、学会を何とかしようと立ち上がった。
 蒲田で、文京で、札幌で、大阪で、山口で、行く先々で、折伏に突き進んだ。
 尊き同志と心を一つにして、拡大の新記録をつくったことは、皆さんがご存じの通りである。

 美しき魂の結合 
 一、戸田先生は、私たち青年を「革命児」として訓練してくださった。
 学会が初めて支援した選挙戦(1955年)。
 先生は、私を、大田と鶴見の責任者に命じられた。ともに最高当選を果たした。
 そして、絶対に勝てるはずがないと言われた、大阪の参院選(1956年)では、「まさかが実現」と世間も驚く大勝利を勝ち取ったのである。
 あの戸田先生のうれしそうなお顔は、生涯、忘れることはない。
 皆さんも、戦うならば、何かの歴史を残してもらいたい。
 「私はやり切った!」「微塵も悔いはない!」「一人残らず全員が勝った!」と心から満足できる、人生最高の金字塔を打ち立ててもらいたいのである(大拍手)。
 格好でも、口先でもない。
 行動であり、忍耐であり、執念である。
 私は、厳然と結果を出して、学会を護り、同志を讃り、師匠をお讃りした。
 晩年、戸田先生は、私に言ってくださった。
 「お前がいてくれたから、俺は幸せだった」と。
 厳粛な、神々しいまでに美しい、魂の結合であった。
 これが、創価の師弟である。
 この魂を、皆に受け継いでいただきたいのだ。

社会人に必要とされる3つの基礎力 経済産業省
 前に踏み出す力
 考え抜く力
 チームで働く力

インドネシアの作家
未来は、だれにも分からない。しかしなさねばならぬことがある。すなわち、闘うということだ!

 人材を育てたところが勝つ 
 一、きょうは、経済界の最前線で活躍されている代表も出席されている。
 「一切の法は皆是れ仏法なり」(御書564ページ)である。
 「一切世間の治生産業は皆実相と相違背せず」(同1070ページ等)である。
 大聖人は、「御みやづかい(仕官)を法華経とをぼしめせ」(同1295ページ)と結論されている。
 この「仏法即社会」「信心即仕事」の正道を堂々と歩まれている皆様方の労を、私は心からねぎらいたい(大拍手)。
 私が対談集を発刊した、世界的な大経済学者でハーバード大学名誉教授であられたガルブレイス博士は、世界は「人材開発競争の時代」と達観しておられた。
 人材を集め、人材を育てたところが勝つ。
 この人材の要件として、「基本」「基礎」が大事であることは、いうまでもない。
 この点、経済産業省では、社会人に必要な"三つの基礎力"(社会人基礎力)と、その基礎力を構成する"12の能力要素"を提示している。
 〈同省によれば、「社会人基礎力」とは、職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力をさす〉
 その第1は、「前に踏み出す力」(一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力)。
 その能力要素として、「主体性」「働きかけ力」「実行力」。
 第2に、「考え抜く力」(疑問を持ち、考え抜く力)。
 その能力要素として、「課題発見力」「計画力」「創造力」。
 第3に、「チームで働く力」(多様な人とともに、目標に向けて協力する力)。
 その能力要素として、「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロールカ」。
 いずれも、人材の重要な要件である。
 そして今、そうした一切の力を育む薫陶が、仏道修行、すなわち、学会活動のなかに含まれていることを、多くの慧眼の士が指摘しておられる。
 また、うれしいことに、学会で訓練を受けた一騎当千のリーダーたちが、それぞれの職場で見事な貢献の実証を示し、深い信頼を勝ち取っている。

 ダイヤモンドの不思議な性質 
 一、今年の7月、私が「名誉教授」称号を拝受したロシアの極東国立工科大学のトゥルモフ最高顧問(前総長)は言われていた。
 「ダイヤモンドには、人間と同じように不思議な性質がある。一つとして同じものはなく、その一つ一.つが、かけがえのない存在である」と。
 さらにトゥルモフ最高顧問は、ダイヤモンドは研磨されることで光を増すことに触れ、「ダイヤモンドのように、人々は自分の生き方と、人生で出会う人々によって磨かれる」と述べておられた。
 その通りである。
 人間は人間によってしか磨かれない。その金剛の「人材錬磨」の最高の青春の舞台こそが、学会活動である。
 青年は、勇んで訓練を受けながら、思う存分に自らを鍛え上げていただきたい。
 「鉄(くろがね)は炎(きたい)打てば剣となる賢聖は罵詈して試みるなるべし」(御書958ページ)との佐渡御書の一節を、よくよく心肝に染め抜くことだ。

 絶頂の時が危険 
 一、戸田先生は、よく青年に語られた。
 「あれだけ有名な会社が倒産したのは、なぜなのか。
 あの栄えた大国が滅亡に至った理由は何か。
 それを追究し、知っておかなければ、偉大な指導者にはなれない」
 歴史は、とくに金銭の乱れ、浪費や贅沢、不正が、破綻の兆候であり、没落の前兆であることを示している。
 古代ローマの歴史家ポリュビオスは、鋭く警鐘を鳴らしていた。
 「国家が次々に現われる重大な危機を切り抜けて、無敵の覇者になり絶頂に達すると、当然のことながら、長く続く繁栄に浮かされて生活はしだいに贅沢に傾き、人々は官職獲得などさまざまな競争に過度に熱を上げるようになる」(城江良和訳『歴史2』京都大学学術出版会)
 「いずれ将来この病弊が進行するとき、劣悪への変化の最初の兆候となるはずのものは、官権への欲望と無名であることの不満であり、それに加えて日常生活のなかの虚栄と奢侈である」(同)
 これは、歴史の鉄則といってよい。
 フランスの大文豪ヴィクトル・ユゴーは、「虚栄は浪費である」(豊島与志雄訳『レ・ミゼラブル岩波文庫)と喝破した。

 堅実な前進に勝るものはない。
 アメリカの大哲学者デューイ博士は、厳しく言い放っていた。
 「代表者としての立場に伴う権力と威厳を、個人的な利益を追求するために、また、自分の快楽を得るために、そして、私的な財産を増やすために使う人も出る」「そうした行為は裏切りである」
 これが、人間社会の宿命的な流転である。
 それを敢然と大転換していくことが、広宣流布の一次元である。

各部代表協議会での名誉会長のスピーチ 下-2に続く


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