2008年1月16日付 聖教新聞 新時代第14回本部幹部会

2008年1月16日付 聖教新聞
新時代第14回本部幹部会 
広布第2幕第1回 全国婦人部幹部会での名誉会長のスピーチ


 王道と覇道 
 一、「赤壁の戦い」の時、孔明は数えで28歳。
 思えば、私が「大阪の戦い」で大勝利を打ち立てたのも、ちょうど28歳の時であった。
 きょうは、28歳の人はいるだろうか。〈元気よく返事が〉
 皆さんのような若い時に、どれだけの戦いをし、成長を遂げ、歴史を残すことができるか。これで、人生は決まる。
 かつて戸田先生は、『三国志』には「覇道」と「王道」の戦いが描かれていると教えられた。
 「覇道」は、いわば権力によって民衆に君臨するいき方である。
 それに対して、「王道」は、人間主義の力によって民衆を守り、戦いゆくいき方である。
 この「王道」を貫いたのが諸葛孔明であった。
 そして、学会こそ、現代にあって、真に「王道」を進みゆく団体である。このことを、きょうは言い残しておきたい。
 私は、命をかけて戸田先生に尽くし、学会を発展させてきた。それが、最大の誇りである。
 卑劣な迫害も受けた。忘恩の退転もあった。
 しかし私は、学会の「王道」を守るため、難を一身に受けて戦い抜いてきた。
 永遠に正しい、「王道」の学会を──それが私の願いである。
 これからも、愛する青年のため、新時代に輝く最高の正義の城を、完璧に築き上げていく決心である(大拍手)。
 一、ここで、諸葛孔明の指揮から学ぶべき点を、思いつくまま何点か挙げたい。
 一つは「人材の登用」である。
 「人材を推挙するほど忠義で利益になることはない」と、孔明は述べている。
 孔明は、身分の序列などにとらわれず、力のある人間、優れた人間を抜擢し、適材適所に配置していった。
 また、自分の好き嫌いで人を判断するのではなく、正しく人物を評価することを訴えている。
 次に、「団結の重視」である。
 孔明は、戦いにあたり、全軍の心を一つに団結させるべきだと論じている。
 また、団結を乱す輩は、厳正に処罰した。
 さらに「情報の収集」である。
 人々からの報告を大切にするとともに、建設的な意見を出すよう、自ら人々に呼びかけている。
 傲慢にならず、油断せず、多くの人の意見を謙虚に聞いた。そして、情報の真偽についても、冷静に見極めていった。
 また、「味方をつくった」ことである。
 周辺の少数民族とも、積極的に連帯を結んだ。
 無駄な争いはしない。
 むやみに敵を増やすようなことはしない。それが、彼の作戦の一つであった。
 そして孔明は、「号令がはっきりしていた」。
 “これをやろう”と、戦いのホシを明快に示した。
 さらに孔明は、「自ら先頭に立って働き、全責任を負った」。
 自分は楽をして、人にばかりやらせるのは、リーダー失格である。一番の組織悪である。
 自ら先頭に立ち、自分が道を開いて、その上で、指揮を執るのである。
 ともあれ、戸田先生は諸葛孔明を論じて、深き心で言われた。
 「学会は、人材の城でなくてはならない」
 「広宣流布のときには、孔明の如き人材が、世界から出てくるのだ」
 どうか、全員が「創価諸葛孔明」となり、新時代を開く名指揮を執っていただきたい。〈「ハイ!」と力強い返事が〉
 〈諸葛孔明については編集部でまとめる際、陳寿著・裴松之注・井波律子訳『正史 三国志5』ちくま学芸文庫、章映閣著・村山孚訳『《史伝》諸葛孔明徳間書店などを参照した〉

アメリカの人権活動家 命ある限り人生の可能性を信じよ
ロシアの大文豪 高みへ!人間には飛翔する羽がある

アメリカの第3代大統領
 短い若い時代をいかに活用するか それによって我々の将来は決まる

 「勝たなければ永続できない」 
 一、ここで世界の先哲の言葉を紹介したい。
 釈尊は語った。
 「他者の後を行くのでなく、他者の前を行く人。そのような人こそ聖者であると賢者は知る」
 自分が道を開く。自ら率先して行動する。それが聖者の条件だというのである。
 アメリカの第3代大統領ジェファソンは、娘にあてた手紙に綴った。
 「短い若い時代をいかに活用するかによって、我々の将来は決まるのだ」(明石紀雄著『モンティチェロのジェファソン』ミネルヴァ書房
 青春時代は、あっという間に過ぎ去ってしまう。だからこそ、徹して学び、自身を鍛え、人生を勝利するための土台を築いていくことだ。
 古代ギリシャの哲学者プラトンが、弟子たちに送ったとされる書簡には、こう記されている。
 「邪悪で不正な者どもに対して防衛できる知、ないしは一種の撃退能力というものも、必要でしょう」(長坂公一訳「書簡集」、『プラトン全集14』所収、岩波書店
 悪や不正とは断じて戦う。言論の弾丸で打ち破る。そういうリーダーであっていただきたい。
 ドイツの大文豪ゲーテは述べている。
 「実践または忍耐によって改善することのできぬような境遇は存在しない」(小口優訳『箴言と反省』春秋社、現代表記に改めた)
 仏法では「宿命転換」を教えている。どんな苦難も必ず乗り越え、幸福の方向へと変えていくことができる。
 信心によって、自分自身の宿業を転換していくことができるのだ。
 また、第2次世界大戦における、連合軍の「ノルマンディー上陸作戦」の名将であったモントゴメリーは言った。
 「いかに偉大な指導者であっても、勝たなければ永続するものではない。戦いがすべてを決めるのである」(高橋光夫・舩坂弘訳『モントゴメリー回想録』読売新聞社
 ナチスと戦ったドイツの大文豪トーマス・マンは手紙の中で記した。
 「何はともあれ、まず勝利することだ」
 私たちの平和と幸福のための闘争もまた、断じて勝ち続けなければならない。
 仏法は勝負であり、人生も勝負だ。
 負ければ惨めであり、不幸である。反対に、勝てば楽しいし、皆が喜ぶ。新たな道を開くことができるのである。

フランスの思想家 宗教を一切忘れてしまうとやがて人間の義務を忘れる

 嘘を許すな 
 一、フランスの思想家ルソーは綴った。
 「宗教というものをいっさい忘れてしまうとやがては人間の義務を忘れることになる」(今野一雄訳『エミール(中)』岩波文庫
 その通りだ。精神性や哲学を失ってしまえば、人間は人間でなくなってしまう。動物のような生き方になってしまうだろう。
 一流の思想家の洞察は、まことに鋭い。
 ロシアの文豪チェーホフ。彼は、小説の中で登場人物にこう語らせている。
 「悪徳を甘やかすなと言うのさ」(『チェーホフ全集8』神西清訳、中央公論新社
 悪徳を許せば、その悪影響は、どんどん周りへと広がっていく。
 彼は、小説でこうも綴っている。
 「嘘ばかりついてきたんで、骨の髄まで腐れはてちまった」(『全集6』原卓也訳、同)
 「嘘ほど人間を卑しめるものはありませんからね」(『全集5』同)
 嘘というのは恐ろしい。周りを欺くだけでなく、自分自身の人間性をも破壌する。
 同じくロシアの文豪トルストイは記した。
 「人間は本来、高みへ、高みへと飛翔していける羽をもっているのだ」
 いい言葉である。
 高みへ、高みへと昇りゆく力。それが妙法であり、私たちの信心である。

 皆、健康で! たゆまず進め 
 一、ドイツの大詩人ゲオルゲを、ご存じだろうか。
 かつて、この詩人の展示会をSGIのドイツ総合文化センターで行った。その際、統一ドイツのヴァイツゼッカー初代大統領が、会館を訪れてくださったことは忘れ得ぬ歴史である。
 今、世界の多くの指導者や識者が学会の人間主義の運動に賛同し、高い評価を寄せてくださっている。
 私は、これまで世界平和のために、あらゆる手を打ってきた。決して簡単なことではなかった。それが今、大きく花開いている。
 戸田先生は私を本当に大切にしてくださった。私は、先生の不二の弟子として、世界広布を前進させてきた。すべて先生のおっしゃるとおりにやってきた。
 真実の師弟ほど、荘厳なものはない。偉大なものはない。
 どこの世界でも、大きな団体でも、こうした"根幹"がしっかりしているところは強い。歴史に残る存在となっている。
 ドイツの詩人をはじめ、私は青春時代から多くの詩や文学に親しんできた。
 戸田先生からも「今、何を読んでいる?」「何が書いてあった?」「感想を言ってみなさい」としょっちゅう聞かれた。
 飛行機でも列車の中でも、すべてが教育の場だった。ほっとするひまなどなかった。
 ともあれ、ゲオルゲは、こう綴っている。
 「滔々と流れぬ限り水はともすれば濁るのだから/私たちの精神はしばしばおのれの限界を突破する」富岡近雄訳『ゲオルゲ全詩集』郁文堂)
 停滞は、よどみを生む。戦わなければ、私たちの精神は濁ってしまう。常に前へ、前へと進みゆくことだ。
 以上でスピーチを終わりたい。
 新年の幹部会、ありがとう!(大拍手)
 皆、健康で、成長して、勝利者になっていただきたい。私もー生懸命に祈っていきます。諸君も頼むよ!
 〈ここで名誉会長の導師で唱題を行った〉
 長時間、本当にご苦労さまでした。
 いい1年間でありますように!
 勝利の年に!
 きょうは、本当にありがとう!(大拍手)
 (2008・1・10)

 ※編集部として、名誉会長の了承のもと、時間の都合で省略された内容を加えて掲載しました。

新時代第14回本部幹部会 第1回 全国婦人部幹部会でのスピーチ〔完〕


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