2008年 大白蓮華5月号 巻頭言  「言論」は勇気の大城

                            2008年 大白蓮華5月号 巻頭言
              「言論」は勇気の大城
                                 創価学会名誉会長 池田 大作
  惑わずに
    断固 生き抜け
        この道を
     信なき言論
         煙の如しと

 「私の叫びは戦の叫びである」と、アメリカの民衆詩人ホイットマンは謳った。
 我らの叫びは、広宣流布の叫びだ。それは、人間生命の最極の尊厳を勝ち取りゆく思想戦であり、言論戦といってよい。
 仏の眼に照らせば、末法の世は「闘じょう言訟」である。邪悪な誹謗や中傷が絶えることはない。ゆえに、煙のような“信なき言論”を、冷徹に見破り、厳然と打ち破っていくことだ。
 「広宣流布とは、書きに書きまくり、喋りに喋りまくらなければならない大運動だ。破折すべきは、徹低して破折せよ!正義が、嘘八百に負けてたまるものか!」
 これは、わが師・戸田城聖先生の重大な遺訓であった。

  破邪顕正
    破権門理の
      剣もちて
       若き英雄
         君が舞台を

 「いかなる大善をつくり法華経を千万部読み書写し一念三千の観道を得たる人なりとも法華経の敵をだにも・せめざれば得道ありがたし」(1494ページ)
 連祖が、壮年門下の南条兵衛七郎の魂魄に刻みつけられた御聖訓である。民衆の幸福を阻む法華経の敵には、敢然と破邪顕正の言論を放つことだ。その勇気なくして仏にはなれない。
 従藍而青の決意で、父の信心を受け継いだのが、若き南条時光であった。傲慢な暴論、邪論には、強かに切り返せ!打ち返せ!厳愛の師の叱咤に応えて、時光は決然と戦った。その勇猛なる魂を、今、わが創価の青年部は滾らせている。
 正邪を明らかにしゆく広宣の対話は、常に真剣勝負だ。臆病な沈黙は敗北である。生き生きと大確信に燃えて、語り切った方が勝つ。すなわち、法華折伏・破言門理の精神である。
 
 雄渾の
   高貴な創価
       同志らは
     いやまし雄叫び
        世界に響かむ

 悪逆のナチスと戦ったドイツの劇作家ブレヒトは言った。「真実は戦闘的なものである」「真実は真実でないものとの闘争の中で、書かなければならない」と。
 この言論の真髄の命が光る「大白蓮華」も、ここの七百号の歴史を刻んだ。戦時中、軍部権力によって廃刊されるまで、大白の前進たる「価値創造」を発刊され続けた創価の父・牧口常三郎先生も、いかばかりか喜んでくださるであろうか。
 戸田先生は、「大白蓮華」の創刊に際し、「会員が機関紙を愛し、熟読する限り、常に新たな組織の伸長が見られる」と心に期しておられた。今や、世界の広宣流布が機関紙と共に前進している。
 創価の言論は、ヒマラヤの麓の街にも、アフリカのナイル川の源流の地域にも、そして南米の南極に一番近い島にも、尊き「無冠の友」によって届けられているのだ。
 大聖人は、千日尼を労われながら、仰せになられた。「一の師子王吼れば百子力を得て諸の禽獣皆頭七分にわる」(1316ページ)と。
 三十余年間、聖教新聞の配達を続けてくださった関西の母が語られた。この間、最もつらかったことは何か。それは、第三代会長の辞任を告げる新聞を配ったことである。そして、その朝、涙ながらに誓った。わが地域には三代の師に直結する正義の連帯を大発展させてみせる、とー。こうした母たちの声が、創価の大城を護り広げてくださったのだ。
 私が対話したアメリカの高名な心理学者マーセラ博士は、「一つの声が、社会を変える力を持つのです。ガンジーも、創価の師弟も、それを実証しました。究極していえば、“言論”は“剣”よりも強いのです」と論じてくださっている。
 我らが語った分だけ、世界は変わる。その誇りを忘れまい。

  偉大なる
    広宣流布
       言論を
     勇気と正義で
       三世に残せや