2008年8月22日付 聖教新聞  全国代表協議会での名誉会長のスピーチ 3

2008年8月22日付 聖教新聞
全国代表協議会での名誉会長のスピーチ 3

母から子へ正義を伝えよ
勇気の連帯で人間性の砦を守れ
われらの合言葉は「知恵を出せ!』『団結で勝て!』 革命家ロッシィ

 一、戸田先生は、弟子の私と話すことを楽しみにされていた。
 「三国志」の諸葛孔明が、とりわけお好きであった。
 「孔明のように立派に戦って戦って、戦い抜いていけ」。こう眼光鋭く語られた。
 また、「孔明の偉いところは、劉備の誠意に応え、その後継者を最後の最後まで護り切ったことだ」とも言われた。
 戸田先生のおられるところが、常に広宣流布の本陣であった。
 真夜中に、「相談がある。今から来てくれないか」と、ご自宅に呼ばれたこともある。
 私は、先生のどんな一言も、ゆるがせにしなかった。
 すべてを、自分にいただいたご指導と思って厳粛に受け止め、胸に刻んだ。
 先生の話を、人ごとのように聞いている人間もいた。
 そうなってしまえば、もう師弟とはいえない。微妙な一念の違いが、一切を決めてしまうのだ。

 勝つために師弟がある
 一、弟子として、私は、一心不乱に、戸田先生を護り、宣揚してきた。今も戸田先生にお仕えする心で生きている。
 師匠に何かをしてもらおう。そう思って待っているだけでは、成長はない。
 弟子が師匠のために何ができるかだ。
 師匠に喜んでいただける戦いをしよう。これが本当の弟子だ。
 その心に徹し抜いたからこそ、私は、熾烈な広宣流布の戦いを厳然と勝ち開くことができたのである。
 仏法は勝負だ。勝たねばならない。
 使命ある皆さんは、悔いなき人生を歩んでいただきたい。絶対に勝っていただきたい。
 そのために、師弟があるのだ。見栄とか飾りのためではない。
 仏法の師弟に生き抜く人生ほど、強いものはないのである。
 古代ローマの哲人皇マルクス・アウレリウスの言葉を、尊き創価のリーダーの皆様に贈りたい。
 「最高に美しく生き抜け。その力が魂の内にあるのだ」(水地宗明訳『自省録』京都大学学術出版会)

 光る女性の活躍
 一、さて、『永遠の都』では、美しく強き女性、ドンナ・ローマの活躍が、物語のクライマックスとなる。
 「人間性こそ、この世でもっとも神聖なものです」(新庄哲夫訳、潮出版社)とは、この物語の重大なテーマである。
 その「最も神聖な人間性」を最大に発揮していくのが、このドンナ・ローマである。
 戸田先生は、女子部に対して、「ドンナ・ローマの崇高な心から学んでいきなさい」と語りかけられた。
 物語では、ロッシィに代わって、一切の責任を担った彼女が、凛然たる姿を法廷で示し切っていく。その勇気に呼応して、全国の各州から、民衆が陸続と押し寄せる。そして、ついに革命は成就していったのだ。
 彼女は"政治家が百年かかって達成することを一日でやってのけた"とも評された。
 彼女は、勝利と幸福を得てまもなく、病で亡くなってしまった。しかし民衆は、彼女を「偉大な殉教者」と讃え、尊敬し、仰いでいったのである。

御聖訓「女性の信心の真心は いかなる権力・財力よりも強い」

 私は運命に惑わされない
 一、女性革命家といえば、周恩来総理の戦友として生き抜かれた「中国人民の母」●穎超先生が鮮やかに思い浮かぶ。
 私たち夫婦は、●穎超(とうえいちょう)先生と8度にわたって出会いの思い出をつくらせていただいた。
 ●先生の忘れ得ぬ言葉がある。
 「真の革命家とは、勝っているときも、勝利に酔いしれたりしない。そして、困難のさなかにあるときも、怯まずに、敵の砲火に向かって前進していくのだ」
 ●先生は、周総理が病で入院された、生涯で最も辛い時期にも、こう語られている。(※●とう=登+こざとへん)
 「いかなる苦難を受けようとも、私は決して運命に惑わされない。真の幸福は、革命によって成し遂げられるからだ」
 そして、自分自身の悲哀を人には見せず、多くの人を励まし、奮い立たせ、力づけていったのである。
 一、ここで御聖訓を拝したい。
 日蓮大聖人は、ある女性門下(王日女)の真心の供養に心から感謝され、門下の信心を、次のように讃えておられる。
 「ある貧しい女性が(仏に灯を供養するために)自分の髪を剃って、(その髪を売って)油にしました。すると須弥山を吹き抜くほどの強い風も、その火を消すことはできませんでした。
 ですから、(あなたが真心から供養された)この二百文、三百文というお金は、日本国を治める人(最高権力者)が国を寄進し、七つの宝で飾られた塔を、?利天(=欲界の六っの天のうちの一つ。地上から八万由旬の高さ)に届くほど高く組み上げて供養するよりも、すぐれているのです」(御書1263ページ、通解)
 一人の女性の信心の真心ほど、強く尊いものはない。どんな権力も、どんな財宝も、絶対にかなわない。そう大聖人が御断言しておられるのである。

 創価とは「正義の中の正義!」
 一、さらに『永遠の都』には記されている。
 「正義という永遠の精神が存在するのだ。諸君の子にそれを教えたければ、母親たちはそれを守らなければならぬ」(前掲の新庄訳)
 この一節の通り、正義の精神を体現して、日々、希望と幸福の連帯を拡大しておられるのが、わが創価の女性の皆様方である(大拍手)。
 戸田先生が、第2代会長に就任して、各部に先駆けて結成したのが婦人部であった意義は、あまりにも深い。
 「創価」とは、「正義の中の正義」である。
 この究極の「永遠の精神」を母から子へ、婦人部から未来部へ、厳として守り伝えていかねばならない。

 「断じて同志を裏切るな!」
 一、インドの非暴力の闘士マハトマ・ガンジーは叫んだ。
 「魂は、良き同志なしでは枯渇する」と。
 その通りである。
 戸田先生が、『永遠の都』を通して、青年の生命に打ち込まれたことは、何か。
 それは二人の青年革命家ロッシィとブルーノが示した絶対の同志愛であった。
 断じて同志を裏切るな! 絶対に師匠を裏切るな!──この一点を、戸田先生は、青年の魂に刻みつけられたのである。
 清廉潔白の指導者ロッシィを、何とかして陥れようとする、数々の謀略の中で、逮捕された同志ブルーノ。
 しかし、ブルーノは、いかなる拷問を受けても、屈しなかった。
 陰険な虚偽の策略にも耐え抜いた。
 そして、ついに、指導者ロッシィの正義と真実を叫び切って死んでいったのだ。
 それは、戦時中、軍部権力の弾圧で投獄された牧口先生に、最大の感謝と喜びを込めてお供した戸田先生の真情と、深く響き合っていた。
 戸田先生は、獄中で"罪は自分一身に集まり、牧口先生は一日も早く帰られますように"と、祈り続けておられた。
 そして、牧口先生の獄死の知らせに、広宣流布巌窟王となって、仇討ちに一人立ち上がられたのである。
 この峻厳なる「師弟不二」の結合の中にこそ、いかなる大難にも崩されぬ金剛不壊の正義の大域がある。
 ここにこそ、生死をも超えた、荘厳なる永遠不滅の生命の都が開かれるのだ。

 常に師と共に!
 一、大聖人は、流罪の地・佐渡で、弟子の最蓮房に仰せになられた。
 「日蓮は、日本国の一切衆生法華経を信じさせて、仏に成る血脈を継がせようとしているのに、かえって日蓮を種々の難に遭わせ、揚げ句の果ては、この島まで流罪した。
 ところが、あなた(最蓮房)は、日蓮の弟子となって付き従い、また難に遭われている。その心中が思いやられて、心を痛めています」(御書1337ページ、通解)
 「あなたは、過去の宿縁に運ばれて、このたび、日蓮の弟子となられたのであろうか。釈迦仏・多宝如来こそ、ご存じであると思われる。
 『いたるところの諸仏の国土に、常に師とともに生まれる』との経文は、決して嘘ではあるまい」(同1338ページ、通解)
 この御聖訓の真髄を身読なされたのが、戸田先生である。
 その戸田先生と不二の実践に徹し抜いたのが、私である。
 牧口先生と戸田先生、そして戸田先生と私が歩み抜いてきた、この「師弟不二の道」こそ、「絶対勝利の道」であり、「永遠勝利の道」なのである。
 一、今回、私は、デューイ協会のガリソン会長、ヒックマン前会長と、新たな対話を開始した。
 その中で、ガリソン会長が、ぜひとも語り合いたいと希望されていることがある。それは戸田先生と私の出会いに象徴される、師弟の「永遠性」である。
 師匠という大いなる存在と結びつくことによって、人は「永遠性」の次元に入っていくことができる。
 そしてまた、師弟一体で、未来の可能性を信じて行動していく中に、その「永遠性」を継続していく力があると、博士は洞察されているのである。
 世界の教育界の最高峰が、「創価の師弟」に人類の未来の希望を見いだしていることを、知っていただきたい(大拍手)。
 一、ともあれ、リーダーならば、大勝利の歴史をつくることだ。
 大きな会合で、人に号令するのではない。信心即行動で、小さな会合を回り、一軒一軒訪ね、一人一人と会い、信心の激励をして歩く。それが広布の大勝利の源泉である。勇気を奮い起こすのだ。
 「不可能とは、臆病者の言いわけである!」(『波瀾万丈のナポレオン』潮出版社)とは、常勝将軍ナポレオンのモットーであった。

 立派な指導者に
 一、革命児ロッシィは、渾身の力で叫んだ。
 「知力を養え! 知力を養え! 団結せよ! 団結せよ! これがわれわれの合言葉であり、われわれの戦う武器なのであります」(前掲の新庄訳)と。
 師弟不二なれば、「随縁真和の智慧」は限りなく湧き出でる。
 師弟不二なれば、「異体同心の団結」は限りなく光り輝く。
 戸田先生は、「永遠の都」の建設を夢見て、一青年である私に託した。今、創価の永遠の都は、全世界に築かれた。
 イタリアにも、仏法は大きく広がり、師弟不二の青年たちが、ロッシィのごとく、ブルーノのごとく、ドンナ・ローマのごとく立ち上がっている。
 一人の青年が立てば、永遠の都は必ずできる。皆さんも、わが使命の天地で、歴史に残る広宣流布の指導者、創価学会の指導者になって、人生を飾っていただきたい。
 このことを誓いあって、記念のスピーチとしたい。長時間、ありがとう!(大拍手)
 (2008・8・15)

全国代表協議会での名誉会長のスピーチ 3〔完〕



ブログ はればれさんからのコピーです。