2008年10月号 大白蓮華 巻頭言
「励まし」は常勝の行進曲
創価学会名誉会長 池田 代作
いざ 共に
最高無上の
人生を
肩組み励まし
堂々 歩めや
「何が起こっても、その出来事は君の魂にとっては、とるに足らぬものである。君よりも偉大なものは誰もいない」
これは、インドの大詩人タゴールの一節である。自ら幾多の苦難を創造の力に転じていった文豪の励ましは、深く、そして強い。我らの生命は、何ものにも侵されぬ尊極なる宝塔だ。どのような試練があっても、必ず変毒為薬し、勝ち越えていくことができる。その「前進勝利の勢いは、友と友の励まし合いから生まれる。
法華経二十八品の最終章は「勧発品(普賢菩薩勧発品第二十八)」である。「勧発」とは、人々に仏法を「勧めて」、信心を「発させる」こと。すなわち、「励まし」である。法華経は『励まし」で結ばれるのだ。
この「励まし」から出発するのが、創価の行進である。だから明るい。妙法の法理に則った励ましこそ、常勝の推進力なのだ。
激変と
大混乱の
この社会
我らの行進
歌声 愉快に
御聖訓には、妙法蓮華教は「一切衆生の心中の仏性を唯一音に換び顕し奉る功徳・無量無辺なり」(557ページ)と明かされている。
万人の心の中には、何よりも尊い仏の大生命が厳然と具わる。その仏の命に向かって、一人また一人と語りかけ、呼び覚まし、引き出していく。これが我らの広宣流布の対話運動である。真剣に祈り、勇敢に声をかけた分だけ、仏縁が結ばれ、広がるのだ。
日蓮大聖人は、乱れた時代に「立正安国」の旗を掲げられて、「民の力」を強めゆくことを強調された。まさに現代世界の志向する民衆の「エンパワーメント(力を開花すること)」にも通じる。
私が対談した世界的な経済学者ガルブレイス博士も言われた。「人間さえしっかりしていれば、どんなに厳しい現実や逆境に出会っても、必ず彼らが鮮やかな反転と復興と飛躍の原動力となって、その社会を見事に繁栄に導く」。その源泉も励ましである。
負けるなと
断じて勝てよと
師の声は
弟子の我らの
命に流れむ
わが師・戸田城聖先生は、大変な人をこそ徹して励まされた。「大聖人の仏法は、逆境にある人が幸福になる宗教である。不幸な人ほど、それを乗り越えた時、すごい力が出る。その人こそ、本当に人々を励ますことができ、味方になれるのだよ」
師匠の烈々たる励ましに、弟子は奮い立ち、戦い勝っていった。そして今度は自分が、多くの苦しむ友を励ましていったのだ。
アメリカ実践哲学協会のマリノフ会長は語られた。
「人生に何かを成し遂げた師匠と一緒にいるだけで、自分を高めていける。人間の触れ合い力の素晴らしさが、そこにある」「励ます」という英語「エンカレッジ」には、「カレッジ(勇気)」を吹き込むとの意義がある。師匠の励ましに応えゆく弟子の生命は、何ものをも恐れず、何ものにも負けない勇気の炎となる。
師弟不二の呼吸から、絶対勝利への「師子王の心」が脈打つのだ。
善意の人々を傷つけ誑かし、活力を奪う邪悪な声が渦巻く濁世にあって、女子部の「エンカレッジ運動」をはじめ、創価の女性の励ましの声は、なんと清々しい正義と希望の響きであろうか。なかんずく「負けたらあかん」との関西の母の叫びは不滅である。ともあれ励ましの声こそ、最強最大の武器といってよい。蓮祖は、日眼女(四条金吾夫人)に仰せになられた。
「一切の一はにくまばぬくめ、釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏・乃至梵王・帝釈・日月等にだにも、ふびんと・をもはれまいらせなば・なにかくるしかるべき」(1135ページ)
正法正義に生き抜く我らには、ありとあらゆる仏天からの無敵の励ましがあり、厳護がある。いかなる激戦にあっても、我らが勝利、勝利の金字塔を打ち立てゆくことが、万年の未来にわたって、人類への「励まし」と耀くことを、誇り高く自負したいものだ。
断固たる
決意と使命で
指揮ぞ執れ
常勝創価の
晴れの歴史を