2008年11月25日付 聖教新聞 11,18記念代表協議会での名誉会長のスピーチ 下-2

2008年11月25日付 聖教新聞
11,18記念代表協議会での名誉会長のスピーチ 下-2

創立日 君たちありて 大前進
栄光!わが歴史を創れ
「精神の力」で勝つのが「21世紀のナポレオン」
ナポレオン 私の仕事に限界はない 人間は行動で判断せよ

 永遠の師弟城を
 一、師・紅葉は、病床にあってもなお、弟子・鏡花の原稿を添削し続けてくれた。
 この師の添削を受けた、最後の作品が『薬草取(やくそうとり)』である。
 主人公の若き医学生が、医者では治しがたい重病に伏せた恩人を救うため、医王山(いおうざん)と呼ばれる場所へ、命がけで「薬草」を取りに行く物語である。
 この作品には、法華経の薬草喩品(やくそうゆほん)や薬王菩薩本事品(やくおうぼさつほんじほほん)が記されている。主人公も、この法華経を抱き、読誦している。
 「思うお方の御病気はきっとそれで治ります」(川村二郎編『鏡花短篇集』岩波文庫
 ついに薬草を手に入れた、この最終部の言葉は、師を思う弟子・鏡花の願いと、そのまま重なる。
 鏡花は、後々まで、自らの書斎に、師の写真と全集とを飾った。師が生命を注いだ文章に接することが、師に接することになるからである。
 そして終生、深い真心を込めて、敬慕の念を捧げ続けたことは、知る人ぞ知る逸話である。
 その師弟の情は、人々の心を打たずにはおかなかった。
 弟子・鏡花は、師の遺徳を傷つける人間は断じて許さなかった。師を冒涜する言動に対しては、まさしく飛びかかっていって抗議をしたと言われる。
 鏡花は、師について書き記している。
 「(先生の)目は徹夜不眠の血に鋭く輝いて、而して口許には優しく莞爾と微笑まれた。......私は襟を正して言う。今も(先生が)まのあたりに在(いま)す気がする」
 「片時、と雖も忘れざりしは、先生にておわします」(ともに前掲『鏡花全集第28巻』)
 師弟の道に徹し抜いた人生は、それ自体が荘厳な文学であり、不滅の芸術となる。
 私自身、一点の悔いもなく、師匠にお仕えし、お護りし抜いた。
 それは、幾多の歴史上の師弟にも負けないという自負がある。
 だからこそ、戸田先生の構想をすべて実現して、今日の大創価学会ができあがったのである。
 連載を再開した小説『新・人間革命』も、師弟の叙事詩にほかならない。
 そしてまた、正義の「言論革命」を成し遂げゆく聖教城も、「永遠の師弟城」であると宣言しておきたい(大拍手)。

「歴史は前にしか進まない!」
 一、月刊誌「第三文明」では、明年の新年号より、現在のナポレオン家の当主である、プランス・シャルル・ナポレオン公と、私の本格的な"ナポレオン対談"が始まる(大拍手)。〈対談のタイトルは、「21世紀のナポレオン──歴史創造のエスプリ(精神)を語る」〉
 大いなる人間、大いなる歴史を仰ぎ、学んでいくことは、大いなる自分自身を築くことである。
 その意味でも、"人類史の巨人"ナポレオンをめぐって、とくに「文化人」「建設者」としての側面に光を当てて、大いに語り合っていく予定である。
 ナポレオンの魅力の一つに、新しき歴史を創造せんとして、前進また前進を貫いた、不撓不屈の生命力、比類なき行動力が挙げられる。
 思えば、戸田先生が逝去された直後、私は意気消沈する同志を励まそうと、「若き革命家・ナポレオン」と題する一文を、聖教新聞に寄せた。
 その中で、私は綴った。
 「『前進!』──これが、全ヨーロッパを震撼せしめた、若き、悍馬にまたがった、ナポレオンの一生を貫く姿であった」
 この点、ナポレオン公も、こう呼応してくださった。
 「『前進!』──これは、わがナポレオン家の歴史と精神を表す言葉でもあります。
 人類は、弛みなく前進を続けていかなければなりません。歴史は前に向かってしか進まないのです」
 "歴史は前に向かってしか進まない"──善の勝利への「前進」こそ、我らの使命である。
 ナポレオンは叫んだ。
 「人間はその行動に基づいてのみこれを判断しなければならない」(オクターヴ・オブリ編、大塚幸男訳『ナポレオン言行録』岩波文庫
 価値創造の「行動」こそ、人生の誉れである。
 〈ナポレオン公は、こうも語っている。
 「私は池田会長に、ナポレオンに通ずる『卓越した行動力』『偉大な人間力』を見出すのです。
 池田会長は『前進の人』であり、『精神の人』であり、『平和の人』です」
 「私は、池田会長の全身に漲っている『生命の力』『知性の力』『精神の力』に圧倒されました。池田会長に『21世紀のナポレオン』を見る思いがいたしました」〉

ナポレオン 
 不幸を乗り越えるのが高貴で勇気あることだ

 「不屈の闘志」こそ実地稚の魂!
 一、ナポレオンの人生は、決して栄光や勝利ばかりではなかった。失敗もあった。挫折もあった。
 皇帝の座を追いやられて、二度も島に流罪されるという悲劇も味わった。
 しかし、ナポレオンは、いかなる境遇にも断じて負けなかった。エルバ島に流された時、彼は、断固たる志をもって立ち上がり、もう一回、復活した。
 この不屈の闘志に、英雄の英雄たる魂の発光があると、私は思ってきた。
 最大の苦難や逆境の時にこそ、その人物の真価がわかる。
 ナポレオンは、最後に流刑された絶海の孤島セント・ヘレナにおいても、こう叫んでいる。
 「不幸を乗り越えるのが高貴で勇気あることなのだ! この世では、誰もが、その運命を全うする義務があるのだ!」(ラス・カーズ編、小宮正弘訳『セント・ヘレナ日記抄』潮出版社
 わが人生を開いていくのは、この雄々しき気概である。決然たる勇気である。
 重ねて、ナポレオンの獅子吼を贈りたい。
 「仕事こそ私の本領とするところだ。私は仕事をするように生まれついているのだ。
 私は自分の足の限界は知っていた。眼の限界も知っていた。しかし仕事となるとその限界はまるで知らなかった」
 「数よりも精神力が勝利を決定する」(ともにアンドレ・マルロー編、小宮正弘訳『ナポレオン自伝』朝日新聞社
 一、結びに、私と同じ心で戦い進む、わが愛弟子たちに一句を贈りたい。

 創立日
  君たちありて
      大前進

 長時間ありがとう!
 すべてに立派な総仕上げをしていこう!
(大拍手)    (2008・11・19)


11,18記念代表協議会での名誉会長のスピーチ 下〔完〕


ブログ はればれさんからのコピーです。