◇ 名誉会長講義 御書と師弟 第1回 三変土田 上 2008-12-11

◇ 名誉会長講義 御書と師弟 第1回 三変土田 上 2008-12-11



御聖訓 心の一法より国土世間も出来する事なり(総勘文抄、563ページ)



わが一念で仏の国土に!

世界を変えゆく生命の光



 「大作、行ってこい! あの地に広宣流布の旗を堂々と打ち立ててくれ!」

 恩師・戸田城聖先生の命を受け、私は若き日、電光石火で転戦しました。蒲田へ、文京へ、大阪へ、山口へ、札幌へ、夕張へ。

 いずこでも、その地の「三変土田」すなわち国土の宿命転換を祈り戦った。戦い走った。行くところ向かうところ、私は大地に妙法をしみこませる一念で、唱題を重ねた。大地から地涌の菩薩を呼び出す誓願で、対話を続けた。そして厳然と師の構想を実現してきました。

 法華経に説かれる「三変土田」。その通りの実践が、我ら創価の同志の「人間革命」の行動です。「三変土田」の本質は、一人一人の生命を変えることに他ならないからです。

 「正義」が勝てば、「国土」は変わる。ゆえに「三変土田」とは、正と邪の熾烈な闘争なのです。

 創価学会の大興隆が大いなる力となって、日本は敗戦の焦土から発展を遂げた。この点に、大歴史家のトインビー博士も刮目されておりました。妙法流布こそ、この地上を平和の楽土に転換しゆく根本のエネルギーです。皆様は、私とともに、この誉れの大使命を担って日夜戦ってくださっている。それが、どれほどすごい人生であるか。大福徳の道であることか。

 「心の一法より国土世間も出来する事なり」(御書563ページ)との御聖訓は、仏法の奥義です。「一念」は即「三干」の次元に広がる。人間の「心の一法」の在り方しだいで、国土が善くも悪くもなる。

 人類の精神史は、この「心の一法」の探求の歩みでもあったといって過言ではない。戦争も、飢餓も、地球環境の間題も、煎じつめれば、すべて人間の「心の一法」に帰着するからです。



 国土にも「境涯」が



 一念三千の法理に照らせば、国土にも「境涯」があります。「依正」──「依報(環境)」と「正報(主体)」は不二ですから、そこに住む人間の境涯が乱れれば、国土も荒んでしまう。人間の境涯が強く高く輝けば、国土も光を放っていくのです。

 この青き地球を、平和と繁栄と幸福の光で包むには、「心の一法」を究め、深め、磨いていくことが、絶対に不可欠です。科学技術や情報技術も、この根本を疎かにすれば、人間の幸福に生かすことはできない。国土をも栄えさせゆく「心の一法」──その究極が、妙法への信心です。

 戸田先生は「広宣流布への信心があるところが、仏の国土なのだ」と断言されました。

 わが尊き地域本部(団地部・地域部・離島部・農村部)や社会本部(社会部・専門部)の方々をはじめ、学会の同志の奮闘は、力強く地域を、社会を支え守っています。皆様方が、一人ももれなく幸福と健康に輝く人生を勝ち飾ることが、そのまま一国の宿命転換の道となる。

 庶民が立ち上がり、青年の熱と力を引き出すことが、国土全体の繁栄につながります。

 その意味において、私とともに「"まさか"が実現」の歴史を打ち立てた関西をはじめ、宿縁深き同志が、幸福・勝利の人生を歩んでおられることが、私の何よりの喜びであります。

 古くから、「天下の台所」と呼ばれてきた大阪。そして大関西。ある学者は、昭和二十年代から三十年代初頭の関西の庶民の熱気が、日本の高度経済成長の推進力になった、と着眼されていました。わが常勝関西が日本を動かしてきたのです。私がお会いした経済学者のサロー博士や、アメリカのシーファー大使など、多くの識者も異口同音に感嘆しているように、関西の力は、まだまだ無限です。

 ともあれ、必死の一人の力は、百万軍に勝る。

 「心の一法」を変革し、自分が変われば周囲が変わる。周囲が変われば世界が変わる。

 混迷の闇が深いほど、仏法の智慧が光ります。勇気が光ります。私たちの前進は、日本、そして世界の輝ける未来を開く前進です。ゆえに、断じて歩みを止めてはならない。

 戸田先生は叫ばれました。

 「『仏法は勝負』である。本当の仏法は社会での大闘争の中にある。仏法を現実社会の中で行じ、人間のため、国のため、世界のために戦ってこそ、真の大聖入門下であり、真の革命児ではないか。これが創価学会だ」



 3回にわたる浄化



 さて「三変土田」とは何か。これは、今いる国土を仏国土に変えていくという変革の法理です。法華経の見宝塔品第11に説かれています。「三変」とは、三度にわたって変えること。「土田」とは、国土・土地・場所の意味があります。

 法華経には「虚空会の儀式」が説かれます。すなわち、輝きを放つ巨大な宝塔が大地から出現し、全宇宙から諸仏が集まって、虚空(空中)で釈尊の説法が行われます。

 ところが、最初は、宝塔の中にいる多宝如来は姿を現しませんでした。宝塔の扉は固く閉ざされたままです。この扉を開く条件として、諸仏が来集することが必要であった。そのためには「仏が集うにふさわしい国土(仏国土)に浄めることも必要となる。そこで釈尊が、三回にわたって国土を浄めたことを「三変土田」というのです。

 一回日──釈尊は眉間から光を放って、無数の国士にいる仏たちを見ました。それぞれの国土では、さまざまな仏と菩薩が妙音(みょうおん)をもって法を説いていた。この仏たちが、それぞれに従う菩薩に「私は今、まさに婆婆世界の釈尊の所へ行く! そして多宝如来の宝塔を供養するつもりだ」と告げる。

 宝塔が涌現したことを知るや、釈尊多宝如来にお会いするために、無数の仏たちが続々と結集してくるのです。

 無数の国土とは、現代的に言えば他の無数の星々といえるかも知れない。宇宙のすみずみで活躍してきた諸仏が、弟子たちを引き連れて、この地球上の霊鷺山に集ってくるのです。何と雄壮なスケールでしょうか。

 この仏菩薩を迎えるために、釈尊は大地を瑠璃で彩り、宝の樹で荘厳しました。

 芳しい香りが広がり、曼陀羅華で敷き満たされます。この浄土に大宇宙から集まった諸仏は、一人ずつ「師子の座」に座る。これが一回日の儀式です。

 二回目──最初の浄化が行われても、全宇宙からやってきた緒仏は膨大な数で収まりきれません。そこで釈尊は、さらに八方のおのおの二百万億那由他もの国土を浄めます。それら無数の国土は、すべてつながって、想像を絶する広大な一つの仏国土が出現します。

 しかし、ぞれでも、全宇宙の仏が集まるには十分な広さではなかった。

 三回目──二回目と同様に、八方のおのおの二百万億那由他の国土を浄化し、すべての国土がひと続きとなった、さらに壮大な仏国土が出現します。

 三回の浄化の結果、この娑婆世界と、合わせて八方の四百万億那由他もの国土が全部一つの仏国土と化して、そこに十方の分身仏が満ちあふれるのです。

 これで条件が整い、ついに宝塔の扉が開かれます。多宝如来が見守る中、大衆が空中に導かれ、虚空会の説法が始まる。

 釈尊は大音声で告げました。

 「誰か能く此の娑婆国土に於いて、広く妙法華経を説かん。今正しく是れ時なり」

 未来の弘教の呼びかけです。



 未来を担う人材群



 「三変土田」の本質とは、宇宙大の広がりをもって、無数の弟子が勇んで師のもとに馳せ参じる荘厳な師弟のドラマといってよい。ここから、遠大な未来の広宣流布誓願の人材群が打って出るのです。

 師弟こそ、一切の原点です。

 師弟こそ、勝利の源流です。

 この虚空会の儀式の開幕は、法華経の「本門」への起点となっています。久遠の師弟が織りなす「本門の舞台」を開いたのが、この「三変土田」です。

 仏限・法眼で見れば、今、日本そして世界のあらゆる所で、仏国土が築かれつつあります。絢爛たる民衆凱歌の「本門の舞台」が実現しているのです。

 いよいよ、「本門の弟子」が躍り出る時代が到来しました。