2009年2月21日付 聖教新聞  婦人部・女子部最高協議会での名誉会長のスピーチ 上-2

2009年2月21日付 聖教新聞
婦人部・女子部最高協議会での名誉会長のスピーチ 上-2

 フランスの歴史家ミシュレは、『フランス革命史』の中で、「女性は巨大な、真に不敗の力だ」(桑原武夫多田道太郎・樋口謹一駅『フランス革命史』中公文庫)と洞察した。
 歴史家の眼は鋭い。本当に、女性の存在は偉大である。
 創価学会も、信心強き女性の力で勝ってきた。
 地位とか肩書とかで威張って、人にやらせるだけで、自分は何の苦労もしない──そういう男性にかぎって、いざという時は臆病だ。何もできはしない。
 大事なのは、女性である。
 特別な権威とか権力を持っているわけではない、平凡な一庶民の婦人たちが、師弟の心で、不惜の命で、懸命に戦い抜いてくださったから、学会は伸びてきたのだ。
 広宣流布は、女性で決まる。
 この尊き女性をいじめるような人間や組織は、いずれ、必ずダメになる。
 現実に戦ってくださる方を大事にしなければ、発展するはずはない。
 ともあれ、婦人部・女子部を、これまで以上に尊重し、大切にしていく。
 ここにこそ、これからの学会の拡大と勝利の鍵があることを強く訴えておきたい。

ワイダー博士の母が心に刻む箴言
「いまだかつて熱意なしに成し遂げられた偉業はない」

 女手一つで育て上げる

 一、私は今、アメリカの名高い「エマソン協会」の前会長で、詩人として活躍されるサーラ・ワイダー博士との対談を進めている。
 博士との対談では、
アメリカ・ルネサンスの旗手エマソン(1803~1882年)、
そして、その思想に大いなる影響を与えた偉大な女性たち──エマソンの母やおばなどに光を当てながら、文学論から教育論まで、幅広く語り合っている。
 この対談では、エマソンの母ルースが、子どもたちを育てるために、どれほど心を砕き、苦労したかも話題になった。
 エマソンが8歳の年に、父親が亡くなった。母は、残された子どもたちを、女手一つで育て上げていった。
 家計は常に苦しく、食べる物も、着る物も十分になかった。
 子どもたちは、一着のコートを、代わる代わるに着たという。
 しかし、お母さんは決して挫けなかった。経済苦を乗り越えながら、子どもたちの教育に熱心に取り組んだ。エマソンをはじめ4人の子どもたちは、ハーバード大学へ進学した。
 私には、苦労に苦労を重ねながら、わが子を、創価学園創価大学へ送り出してくださっているお母さん方とも重なり合って、胸に迫ってくる。

 母の学ぶ姿が子に学ぷ喜びを

 一、母親のルースが、子どもたちを、いかに愛情豊かに、そして聡明に育て上げていったか──ワイダー博士は、その尊き姿の一端を、紹介しておられた。
 「若き日のエマソンの心に刻まれたのは、多忙ななかでも、常に読書をしている母親の姿でした。
 彼女は、毎日、時間を割いては、重要と思われる書物を読んでいたのです。
 エマソンも、他の子どもたちも、皆、その姿を尊敬していました。彼女のこの姿から、エマソン自身も生涯にわたる読書の習慣を身につけていったのです」
 母の模範の姿が、無言のうちに、子どもたちに、学ぶことの尊さと喜びを教えていったというのである。
 その意味から、わが婦人部の皆様が忙しい活動のなかで、時間を見つけては、御書をひもとく。聖教新聞を開く。世界との対話を学ぶ──。
 そうした姿が、どれほど重要な人間教育の力となっているか。
 創価の女性は、活字文化を興隆させゆく、みずみずしい推進力でもある。
 一、ところで、ワイダー博士は、ご自身が教壇に立たれる名門コルゲート大学での授業で、私の詩を教材に取り上げてくださっている。
 博士は、私が詠んだ母についての詩に深い共感の声を寄せてくださった。
 「"母は太陽"であるという池田博士の詩の表現は、私の心を高揚させてくれる、とても、うれしいものです。
 なぜなら、西洋では、女性はよく"月"に譬えられるからです。"月"は美しくて、私も好きですが、どこか"依存"というイメージを伴います。
 ですから、池田博士、が、女性を"太陽"に譬え、母親を"太陽"に譬えられたことが、私はとても、うれしいのです。
 母親は、子どもにとって"光"を投げかけ、温かさをもたらす存在です。
 子どもたちが育ち、自分たちの人生を歩んでいくとき、母親こそ彼らに光を注ぐ、まさに"太陽"の存在なのです。
 子どもたちが、それぞれの人生で前進できるよう"陽光"で照らすのが母親です。そして事実、太陽こそ、この地上のあらゆる生命の源泉なのです」
 私自身のことにもなって恐縮だが、地域の、また、一家の太陽と輝くお母さんたちへの大いなる期待として、紹介させていただいた(大拍手)。

お母さんに励ましを!
ワイダー博士「朗らかに!人を育てるのは愛情 完璧でなくていい」

 人と人を結ぶ婦人部に喝采

 一、ワイダー博士は、ご自身の亡き母君を、ことのほか敬愛しておられる。
 その母君が残された教えを、博士は、こう語っておられた。
 「私の母は、熱意あふれる人でした。エマソンの『いまだかつて、熱意なしに成し遂げられた偉業はない』との言葉を、まさに身をもって実践した人でした」
 「私が母を深く尊敬する理由の一つは、母が"この世の中で、どんなことを行い、どんな職業に就くにせよ、人々に良い影響を与えなければならない"という信念を持っていたことです。
 これは、一人の教師として、また一人の親として、私の大切な考え方になっています」
 そして博士は、母君から学ばれた、ご自身の哲学に照らして、「人と人を結びつけ、多くの人々に励ましを贈り続けておられる創価学会の婦人部の皆さんは、本当に素晴らしいですね」と、高く評価されているのである。
 〈なおワイダー博士から、次のような祝福の声が寄せられた。
 「このたびの奥様のお誕生日を、心より、お祝い申し上げます。
 私は、2006年の7月3日、池田博士と奥様にお会いする栄誉をいただきました。
 博士と奥様は、共に戦う同志として、私の前に立っておられました。
 その時、"奥様は、池田博士と共に、長年にわたり、平和のために献身してこられたのだ。いつも博士と共に、おられたのだ"との感慨がわいてきました。そして、お二人のお姿を拝見し、"人生の真の意義は、こうした関係の中にこそあるのだ"と私は悟ったのです。
 さらにまた、"お二人は、それぞれの特質を、いかんなく発揮されながら、瞬間瞬間を支え合って生きておられるのだ″と、実感したのです」〉

 ヤング・ミセスへ

 一、なお、対談のなかで、ワイダー博士は、小さなお子さんを育てる若いお母さん方にも、ご自身の子育ての体験から、心からのエール(声援)を贈っておられる。
 「お母さん方に対して、励ましが必要です。子育ては、どれほど心身を消耗するものか。それを、私は、よく知っているからです」
 「アメリカにも、他の国々にも当てはまることですが、母親たちは、あまりにも完璧さを求められています」
 「しかし、子どもたちが心に留めるのは、母頼が注いでくれた愛情、払ってくれた心遣い、そして何をしてくれたかです。
 時には母親として、『ああ、私は忍耐が足りなかった、もっと我慢してやればよかった』と思うこともあるでしょう。でも、それでよいのです」
 ともあれ、日々、奔走するヤング・ミセスの皆様方に、私と妻からも、「自分で自分を励ましながら、朗らかに、ともかく朗らかに前進を!」とエールを贈りたい(大拍手)。
   (中に続く)

婦人部・女子部最高協議会での名誉会長のスピーチ 上〔完〕


ブログ はればれさんからのコピーです。