◇ 5・3祝賀協議会での名誉会長のスピーチ 中    (2010.4.20 新宿区内)

「世の中の空気を新しくせよ」
 一、埼玉県が生んだ「日本の近代経済の父」渋沢栄一氏は、戸田先生も敬愛されていた大実業家である。
 氏は語っている。
 「新人が出て絶えず世の中の空気を新しくし、向上進歩を計る処に国家社会の進歩発展があり、人類の幸福増進も亦此処に育くまるるのである」(『経済と道徳』渋沢翁頌徳会、現代表記に改めた)
 わが学会には、新しい息吹に満ちた青年が陸続と育っている。創価の青年こそ、社会の発展の原動力であり、人類の幸福の推進力なのである。後継の人材を立派に育て上げ、未来へ永続する発展の流れを開いてこそ、真の勝利の指導者である。
 このことを、決して忘れないでいただきたい(大拍手)。
 
人生も広布も歩いた人が勝つ
 
4.20本紙創刊59周年を祝賀
新聞よ歴史の先頭を行け
恩師の願い
「聖教を日本中、世界中に人に」
 
無冠の友に心から感謝
友人の声
「配達する方々が素晴らしい?
挨拶、笑顔、振る舞いが爽やか」
 
 一、昭和26年(1951年)の4月20日、「広布の言論城」たる、わが聖教新聞が創刊されてから59星霜。
 「日本中、世界中の人に読ませたい」との恩師・戸田先生の願いの通り、皆様方のおかげで、聖教新聞は、世界に冠たる大新聞へと発展することができた(大拍手)。
 その最大の功労者は誰か?
 猛暑の夏を越え、厳寒の冬を耐え抜いて、来る日も来る日も読者のもとへ正義の声”“幸の便りを届け続けてくださった「無冠の友」──配達員の皆様にほかならない。
 また、配達員のご家族の皆様、販売店、印刷・輸送に携わってくださる方々、そして全国の新聞長、通信員、さらに聖教を守り、支え、応援してくださるすべての皆様方に、心から御礼を申し上げたい(大拍手)。
 
庶民英雄 万歳!
 一、3年前(2007年)の9月、聖教新聞は創刊「1万6000号」を迎えた。
 その9月7日付は、新時代第10回の本部幹部会を報ずる紙面であった。
 「我らこそ生命の世紀の希望!」「本門の弟子よ 未来を頼む」との力強い見出しが躍る1面に、私はペンで綴った。
 「聖教新聞 広布勝利の新聞! 一万六千号 万歳! 万歳!」「尊き配達員の 庶民英雄 万歳!」と記させていただいた。
 仏の誉れのお使いとして、毎日毎朝、一軒、また一軒と希望の便りを届けてくださる皆様方である。
 その尊い姿を思い浮かべつつ、「絶対に無事故であれ!」「ますます健康幸福であれ!」と、私も妻も、皆様と一緒に歩き、一緒に配達させていただく思いで、懸命にお題目を送っている。
 聖教新聞は現在、1万6900号を超えた。
 今年の7月12日には、また一つ大きい山を登攀して、創刊「1万7000号」の金字塔となる予定である。そして明年は、創刊60周年の佳節を迎える。
 「聖教新聞創始者・戸田先生の命そのものである正義の言論城よ、さらに偉大な民衆勝利の大城と輝け」と、私は叫びたい(大拍手)。
 
縁する全ての人を幸せに!
 一、私も少年時代、新聞配達を経験した。
 荘厳な朝の光に包まれ、新鮮な空気を吸いながらの配達は、何ともいえず爽快だった。
 時には、眠い日や体調が悪くて休みたいと思う朝もあった。特に雨や嵐の日は、つらかった。雪で滑って、新聞が地面に散らばってしまったこともある。
 だが、大変な時こそ、「自分は人が経験していない修行をしているんだ」とファイトがわいた。
 新聞配達は苦労も多いが、一方で、新鮮な発見と出会いに満ちている。
 配達をして初めて知る街の風景、春夏秋冬、移り変わってゆく自然、そして配達先や道行く人々との新しい出会いがある。
 私自身、配達をしていた時、温かく励ましていただいた、配達先の若いご夫婦との出会いは、今も忘れない。
 アメリカの民衆詩人ホイットマンは謳っている。
 「ぼくは思う この道の上で出会うものなら何であれ ぼくはきっと好きになり」「ぼくは思う ぼくと会う人は誰であれ きっと幸福になるにちがいないと」(酒本雅之訳『草の葉(上)』岩波文庫
 縁するすべての人を幸せに──真心あふれる「無冠の友」の振る舞いには、友人読者からも、感動の声が寄せられている。
 「聖教新聞は中身もいいが、配達する方々が実に素晴らしい。あいさつ、笑顔、振る舞いが、とてもさわやかだ」と。
 海外からお迎えした高名な学者の先生が、若き日、日本に留学中、声をかけてくれた聖教配達員の方の振る舞いに感動した思い出を語ってくださったことも、忘れられない。
 一、配達や集金は、地道な陰の戦いに見えるかもしれない。
 だが、見る人は必ず見ているものだ。
 「無冠の友」こそ、実は「創価学会の顔」なのである。
 清々しいあいさつ、明るい笑顔から、学会理解、仏法理解の輪が広がっていくのだ。
 その意味で「配達即折伏」であり、「配達即広宣流布」である。
 また、人生は快晴の日ばかりではない。雨の日もあれば、嵐が吹き荒れることもあるだろう。
 しかし、無冠の友の皆様は、人々に「福徳」と「希望」と「勝利」を届けておられる。
 その皆様の人生が、因果の理法に照らして「福徳」に満ちあふれないわけがない。
 「希望」に輝かないわけがない。
 必ず「勝利」の人生を歩むことができる。
 日蓮大聖人は「陰徳あれば陽報あり」(御書1178㌻等)と記しておられる。
 尊き折伏の行者に、何よりも御本仏の「冥の照覧」は絶対に間違いない。
 
毎朝の配達距離は地球16周分!
 一、創刊前、新聞の名前をどうするか、検討した時のことである。
 戸田先生は「将来のことを考え、たとえば『宇宙新聞』なんてどうだい」と笑いながら言われていた。
 先生の心意気は気宇壮大であられた。
 それから18年後の1969年(昭和44年)。アポロ11号で人類初の月面着陸に成功し、歴史的な足跡をしるしたアームストロング船長は言った。
 「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては巨大な一つの飛躍だ」(『人類が月を歩いた アポロ11号の全記録』毎日新聞社)。あまりにも有名な言葉である。
 私たち個人の一歩の歩幅は、1㍍にも満たない。しかし、日本全国の無冠の友が毎朝、配達のために移動する距離は、合計すれば、およそ地球16周分にも及ぶとうかがった。
 さらには、販売店、輸送業者の皆様の移動距離も含めると、何と地球から月の間を往復できてしまう計算になるのである。
 これが毎日積み重なれば、皆様が弛みなく歩み通された「幸福の道」「栄光の道」「勝利の道」は太陽系の彼方にまで至るだろう。
 宇宙のリズムに則った皆様の活躍もまた、地球大、いな、宇宙大のスケールで展開されているのである(大拍手)。
 一、西アジアコーカサス地方南部に広がる「文化の大国」アルメニア箴言に、こうある。
 「多くを知るのは、より長く生きた人ではなく、より多く自分の足で歩いた人である」
 人生は、歩いた人が勝つ。いわんや広宣流布のために歩いた分だけ、生命の威光勢力が増す。境涯が広がる。福運が積まれる。
 今、全国の同志が、広宣流布の勝利のために、深く祈り、大きく動き、はつらつと歩んでくださっている。
 その歩みを、仏天は厳然と守り讃えておられる。