大白蓮華 2011年 6月号 巻頭言

「月月・日日につより給へ」

創価学会名誉会長  池田 大作

 太陽の
  心輝け
   逞しく
 今日も明日も
  偉大な女王と

「いかなる運命にも立ち向かい、断固と打ち勝つことは、何と胸の高鳴ることでしょうか」
 これは、フランス文学の名作『魅せられたる魂』(ロマン・ロラン著)のヒロインの叫びである。

 人生は、過酷(かこく)な宿命(しゅくめい)との戦いだ。嵐に翻弄(ほんろう)されてしまうか、勇敢(ゆうかん)にあらがい、乗り越えてみせるか。
 その究極の力こそが、正しき信仰である。
 なかんずく、諸経において差別されてきた女性たちの永遠の幸福の道を広々と開いたのが、法華経である。

 日蓮大聖人から直接、法門を伺(うかが)うことのできた佐渡の千日尼(せんにちあま)が、心の支えとし、大切にした仰せがある。
法華経は女人(にょにん)の成仏を・さきとするぞ」(1309ページ)との御文である。
 何よりも「女性の幸せ」を願われる大聖人の御心に応えて、千日尼は地域の悩める友のために、ある時は包容し、ある時は毅然(きぜん)と対話を繰り広げたのである。国府尼(こうあま)ら同志とのスクラムも、誠に麗(うるわ)しかった。
 流難(るなん)の大聖人を、夫・阿仏房(あぶつぼう)と共に命がけでお守りした勇気ある信心は、「いつの世にか・わすらむ」(1313ページ)と賞賛(しょうさん)されている
 大聖人が佐渡から戻られた後も、千日尼は毎年、阿仏房を送り出して真心を尽くした。夫亡き後は、わが子を遣(つか)わし、その後継の姿を「一向(いっこう)法華経の行者となりて」(1322ページ)と、大聖人は喜んでくださった。

 千日尼は一つ一つに心を込め、「弥(いよいよ)信心をはげみ給うべし」(1308ページ)との御聖訓どおりに生き抜いた。
この「いよいよ」の信心は、創価学会の婦人部に脈々と受け継がれている。

 恩師・戸田城聖先生は語られた。
日蓮仏法は『本因妙(ほんいんみょう)』である。過去がどうあれ、現実がどうあれ、仏になるための本因(根本の修行)を “今から” 積むことができる。
 勝負は常に “これから” だ。勇気で前へ前へ、勝ち進んでいくのだ!」
 創価の女性たちは、大変な時こそ、強盛に妙法を唱え、旭日(きょくじつ)の生命力を漲(みなぎ)らせながら、ありとあらゆる不幸の闇(やみ)を照らし晴らしてきた。
「変えられない宿命など絶対にない。誰もが必ず幸福になれる」――このことを、晴れ晴れと証明し抜いて今や、世界一の平和の連帯を築いたのが、婦人部の60年の歴史であると、私は声を大に叫びたい。

 昭和32年、東北の会合に向かう道すがら、忘れ得ぬ出会いを刻んだ秋田の母がいる。
 その5年後、母たちの住む鉱山街で信仰への理不尽な弾圧が吹き荒れた。しかし母たちは「今こそ宿命転換の時」と定めて正義を叫び切り、見事に勝利した。

 多宝の母は、今も凛(りん)として語る。
「勝つまで一歩も退かない執念。太陽のような心の温かさ。これが、東北婦人部の強さです。宿命を使命に変えて、千倍も価値ある人生を生きられます」

 国連のチョウドリ元事務次長は、「最大の障害をも乗り越える能力が人間にはある」という創価の師弟の信念が、人々に活力と奮起を贈り続けると論じてくださった。

「月月・日日につよ(強)り給へ」(1190ページ)。
 この勇気の魂を光らせながら、母たちはたゆみなく前進する。
「今日も元気で」を合言葉(あいことば)に!

 永遠の
  幸の命の
   君なれば
  何をか恐れむ
   生きて生き抜け

大白蓮華 2011年6月号)