大白蓮華 2012年(平成24年) 4月号 巻頭言

友好の陽光(ひかり)! 信頼の花また華を!


 わが人生
  一生 飾らむ
    勝利して
  春さながらの
   太陽 浴びゆけ


「語り合うことが大事です。そこから新しい発見が必ず生まれます」
 私の大切な友であるモスクワ大学のサドーヴニチィ総長の言葉である。

 春の陽光が凍(い)てついた大地を蘇(よみがえ)らせるように、生き生きとした対話がはずむところ、お互いの心に新鮮な活力を漲(みなぎ)らせて、信頼の花また華を咲かせていくことができる。

立正安国論」では、天変地夭(てんぺんちよう)の世を憂(うれ)える「客人」が問いを発する。

「所詮(しょせん) 天下泰平(てんかたいへい) 国土安穏(こくどあんのん)は君臣(くんしん)の楽(ねが)う所 土民(どみん)の思う所なり」(御書26ページ)

「若(も)し災(わざわい)を消し 難を止(とど)むるの術有らば聞かんと欲(ほっ)す」(同)

 一体どうすれば、現実の社会に渦巻く苦悩や災難を乗り越え、民衆の安穏と幸福を開くことができるか。

 心ある人々ほど真剣に、確かな答えを求めてやまない。その希望の道を共に見出し、その打開の智慧と力を共々に引き出していくことこそ、我らの「立正安国」の対話であり、創価の友好の拡大なのである。

 日蓮大聖人は、流罪佐渡から、苦境と戦う四条金吾を励まされて、「他人なれどもかたらひ(語合)ぬれば命にも替(かわ)るぞかし」(同1132ページ)と仰せになられた。心から語り合い、信頼し合えば、命を賭けても守り合う「人間の絆」が生まれる。

 大聖人ご自身が、大難の渦中で、敵さえも味方に変えていかれた。さらに阿仏房・千日尼らとも、生死(しょうじ)を超えた師弟の契(ちぎ)りを結ばれている。

 変わらぬ人などいないのだ。万人の仏性を信ずるがゆえに、我らは相手を決めつけない。臆(おく)しもしない。祈り、信じ、声をかけ、仏縁を結ぶ。

 冷戦下、体制の異なるソ連とも、私は平和主義・文化主義・教育主義、そして人間主義の旗を掲げて、対話の扉を開いた。内外の悪口(あっこう)や圧迫も、もとより覚悟の上であった。

 今、かのロシアの大地をはじめ、世界192ヵ国・地域で、わが友は希望と確信の対話を広げている。

 対話の達人であられた戸田城聖先生の言葉が、思い起こされる。

「仏縁を結べば、あとは妙法の力で必ず変わっていく。この変わる喜びが、信心の醍醐味(だいごみ)だ。祈り語る声は、強力な電波の如く相手の命に響くのだ。その根本こそ勇気だよ!」

 草創の神奈川の保土ヶ谷(ほどがや)地区で一緒に戦った、懐かしい功労の母がいる。大阪事件の公判で関西へ向かう私を、いつも夫妻して、横浜駅で見送ってくれたことも忘れられない。

「広布を阻(はば)む魔の働きには断じて勝つ」との学会精神が燃え盛っていた。

 この創価の母は、ヤングミセスの年代から、近隣の方々と垣根なく友情を結んできた。地域部として町内会に大いに貢献し、「貴女(あなた)が言うならば」との信頼を勝ち開いてきた。

 今もはつらつと、友人たちの名前を御宝前に供(そな)えて幸福を祈り、正義の語らいを力強く進めている。

 御義口伝には「色心の二法を妙法と開悟(かいご)するを歓喜踊躍(かんきゆやく)と説くなり」(同722ページ)と仰せである。

「わが生命は妙法なり」と目覚(めざ)めれば、汲(く)めども尽きない大歓喜とともに、人々への励ましの言葉が溢(あふ)れんばかりに湧き出てくるのだ。

 太陽は光を惜しまない。我らは声を惜しまず、友の心を照らしゆこう! 声が仏事を為(な)すからである。


 広宣の
  対話のごとに
   福運は
  千花(せんか)と咲きなむ
    万華(ばんか)と香(かお)らむ