大白蓮華 2012年(平成24年)6月号 巻頭言(No.750)

英知の学生部よ 勝ち光れ

 創価学会名誉会長 池田大作


 素晴らしき
  知性と情熱
     漲りて
  世紀の勝鬨
   わが弟子見つめむ

 「人間の頭脳ほど力強い存在は、宇宙のどこにもない」
 これは、ロシアの宇宙開発の父ツィオルコフスキーの確信であった。
 人間と生まれてきて、学ぶことができる。考えることができる。頭を使って、価値を創造していくことができる。それが、いかに素晴らしい幸運であり、チャンスであるか。

 なかんずく、若く、みずみずしい頭脳を鍛えて、宇宙大の英知を冴えわたらせ、民衆の幸福のため、社会の繁栄のため、世界の平和のために探究し、行動していく青春は、あまりにも尊い。これこそ「行学の二道」に励みゆく、わが男女学生部なのである。

 日蓮大聖人は、身命(しんみょう)に及ぶ佐渡流罪の大難の中にあって、悠然(ゆうぜん)と「本より学文し候し事は仏教をきはめて仏になり恩ある人をも・たすけんと思ふ」(891ページ)と仰せになられた。
 この蓮祖(れんそ)の歩まれた最極の生命の正道に真つ直ぐに連なっているのが、学生部の日々の前進である。

 昭和32年(1957年)の6月30日。北海道の炭労問題、また大阪事件と、法華経に説かれる僣聖増上慢(せんしょうじょうじょうまん)の迫害が吹き荒れる渦中に、師・戸田城聖先生は、東京の麻布公会堂で学生部を結成してくださった。
 この日、私は破邪顕正(はじゃけんせい)の戦いが続く最前線の夕張(ゆうばり)から祝電を送った。「我らの学会に学生部が誕生した」と喜んだ、北海道の友の笑顔も蘇る。

 小学校を出て、丁稚奉公(でっちぼうこう)で働き、苦労を重ねた北海道広布の父は、やがて愛娘が女子学生部に入り、御義口伝講義の受講者となり成長していく英姿を、希望の宝とされていた。

 御義口伝(おんぎくでん)には、「惣(そう)じては如来(にょらい)とは一切衆生なり別しては日蓮の弟子檀那(でしだんな)なり」(752ページ)と仰せである。

 紛然(ふんぜん)と競い起こる三障四魔にも怯(ひる)まず、妙法を唱え弘めてきた、無名にして無冠の父母こそが、最も尊貴な如来であり、仏である。この方々を最大に敬い、守り抜くことが、法華経の最終章に登場する普賢菩薩(ふげんぼさつ)の誓願(せいがん)であり、使命なのである。

 「此の法華経を閻浮提(えんぶだい)に行ずることは普賢菩薩(ふげんぼさつ)の威神(いじん)の力に依るなり」(780ページ)と示されている通り、創価の普賢たる学生部が学び鍛えて力をつけた分、世界広布は進むのだ。

 私は19歳で戸田先生にお会いした。先生の事業の危機を打開し、先生に第二代会長に就任していただいた時は、23歳である。まさに学生部の皆さんと同じ年代であった。
  先生は「広布の大願に生きる生命に英知は無限に逡(ほとばし)る。学べ!すべてを学べ!」と励ましてくださった。

 仏法に無駄(むだ)はない。人より忙しい分、充実がある。苦労は即、栄光だ。「立正安国(りっしょうあんこく)」の闘争の中でこそ、金剛不壊(こんごうふえ)の汝自身の生命が輝くのだ。

 昭和54年(1979年)の5月、神奈川文化会館に勇み集ってくれた大学会の友に、私は申し上げた。
 「一人の人材には、万人を指導し、救いゆける力がある。君たちが、師の何十倍、何百倍と成長することが、大聖人が喜ばれ、人類が喜ぶ道です」

 結成から55年──。学生部は日本中、世界中で新たな人材が躍り出ている。不思議な時が来た。
 世界5大陸の大学と連帯しゆく、わが学生部よ、人類史の先頭に立つ誉れも高く、朗らかに勝ち光れ!

 人生の
   真髄生き抜く
    崇高な
   広宣流布
    価値ある日々たれ