大白蓮華 2012年(平成24年)7月号 巻頭言(No.751)

君よ、青春勝利の勇舞を

 創価学会名誉会長   池田大作

 我が青春
  悔いなく生き抜け
   この道で
  晴れの使命を
     宝と抱きて

 20世紀の大歴史学者トインビー博士との対話の折に、私は「これからの青年が一番心がけるべきことは?」と尋(たず)ねたことがある。
 博士は熟考(じゅっこう)されつつ、「忍耐強くあれ」との一言を贈ってくださった。
 急速に変化を続ける、困難(こんなん)な時代を生きねばならない青年たちの辛労(しんろう)を思いやられての発言であった。

 あれから40年。21世紀を担い立つ世代には、世界経済の低迷、若者の深刻な失業、自然災害の脅威、少子高齢社会の不安等、いやまして多くの難問が立ちはだかっている。
 その中にあって、わが創価の青年たちは、来る日も来る日も、生命尊厳の哲理の旗を掲(かか)げ、忍耐強く「立正安国」の行動に打って出てくれている。何と明るく、頼もしいことか。

 法華経には、「太陽と月の光明が、諸々(もろもろ)の闇(やみ)を除くことができるように、妙法を受持(じゅじ)する人は世間の中で行動して、衆生の闇を滅することができる」(趣意)と説かれる。

 舞台は「世間」。すなわち、濁(にご)り乱(みだ)れた社会の真っ只中で、地涌(じゆ)の若人は、何ものにもへこたれず、苦しみをも楽しみに変えながら、絶望の闇を打ち破(やぶ)り、前途を照(て)らし晴らす妙法の光を放っていくのだ。

 広宣流布巌窟王(がんくつおう)たる戸田城聖先生も、「私は信心のこととなると、強情なまでに辛抱強いんだよ」と言われていたことが、胸に熱く蘇(よみがえ)る。

 日蓮大聖人が、仏教史上、初めて開いてくださった「仏法即社会」の正道を、忍辱(にんにく)の鎧(よろい)を着て勇猛精進(ゆうもうしょうじん)し、勝利の実証を打ち立ててきたのが、我ら創価の師弟の誇(ほこ)りである。

 厳しい試練(しれん)に立ち向かう、若き南条時光への御聖訓には、「ひとへにおもひきりて」(1539ページ)と仰せである。策でもなければ、要領(ようりょう)でもない。正義のために思い切って戦う時、青年の本当の強さが発揮される。

 師匠と同じ広宣流布誓願に勇んで立ち上がるならば、自身の小さな殻(から)を突き破って、仏の智慧(ちえ)と力が歓喜踊躍(かんきやくやく)して迸(ほとばし)り、湧(わ)き出(い)でるのだ。

 いかなる悪世(あくせ)にあろうとも、妙法と一体の青年の勇気には、全宇宙の諸天善神(しょてんぜんじん)を揺り動かす力がある。その若き連帯は、悪鬼魔民(あっきまみん)さえも仏の陣列の味方に変えずにはおかない。

 昭和32年(1957年)七月、大阪事件の弾圧にも、関西青年部は、私と共に一歩も怯(ひる)まなかった。絶対に信頼できる同志に、私は言った。

 「青年の勇敢(ゆうかん)な信心に、皆がついてくる。尽未来際(じんみらいさい)までの民衆に幸福を及ぼさんとする我らではないか。次も断じて戦う!そして勝つのだ」
 この常勝関西の負けじ魂(たましい)の炎は、後継の若人へと受け継がれている。

 大聖人は、時光に「とにかくに法華経に身をまかせ信ぜさせ給へ、殿一人にかぎるべからず・信心をすすめ給いて過去の父母等をすくわせ給へ」(1557ページ)とも仰せになられた。

 わが生命に無量の「心の財(たから)」を積み、父母に孝養(こうよう)を尽(つ)くし、縁する人々に希望を贈りながら、社会を変革し、国土までも転換していく。この最高に価値ある栄光の青春を、青年部は堂々と閑歩(かっぽ)していただきたい。

 人類が待望する「持続可能な地球社会」とは、青年が永遠に勝ち栄えゆく世界だ。今の君たちの勝利こそが、その未来を開くことを忘れまい。

 後継の
  広宣流布
    指導者と
  歴史 残せや
    勝利飾れや