大白蓮華  2012年(平成24年)12月号(No.756)

巻頭言  信仰とは不屈の旗なり

   創価学会名誉会長  池田大作

恐れるな
  蓮華の法は
    何ものも
  乗り越え楽しく
     境涯長者と

 人生は早い。月日の経(た)つスピードは、年齢を重ねるごとに、加速していくように感じられるものだ。
 日蓮大聖人は、「命限(いのちかぎ)り有(あ)り 惜(おし)む可(べ)からず 遂(つい)に願う可(べ)きは仏国也(ぼっこくなり)」(955ページ)と仰せになられた。
 大聖人と御一緒にとの思いで、私たちは一日一日を大切に丁寧(ていねい)に、広宣流布の大願に生き抜いていきたい。

 誰人(だれびと)にも、月月・日日に、越(こ)えねばならない坂があるであろう。
 どんなに険しい坂であっても、我らは題目を唱え、同志と励まし合い、断固と上り切っていくのだ。また、必ず上り切ることができる。そして一年の棹尾(とうび)に、 「今年も断じて負けなかった!」「来年も絶対に勝ってみせる!」と不屈(ふくつ)の旗を掲(かか)げるのだ。これが、「人間革命」の年輪となる。

 師・戸田城聖先生の叫(さけ)びが蘇(よみがえ)る。
 「つまずき倒れれば、大地を踏みしめて立つように、何度でも立ち上がれる力こそ、信心だよ。何があろうと、びくともするな!」と。
 経済苦や病気、また人間関係など、深い悩みに直面する友を、先生は抱(だ)きかかえるように励まし続けた。
 「難(なん)が大きい分、必ず大きく勝ち切れる。今の苦労を糧(かて)に、大勢め人を救いゆく大境涯を開いて、常楽我浄(じょうらくがじょう)の人生を何千回、いな何億回と、楽しく繰(く)り返していけるんだよ!」

 妙法に照(て)らして、永遠という次元から見れば、今世の試練(しれん)は、すべて自他共に金剛不壊(こんごうふえ)の幸福境涯を勝ち取っていくための現象である。
 その変毒為薬(へんどくいやく)の実証を示す「心の財(たから)」の長者の方々が、日本中、世界中に光っておられるではないか。

 ある年の瀬、大聖人は上野尼御前の真心に感謝され、こう記された。
 「此の御志(おんこころざし)は・いかんがせんと・うれしくをもひ候ところに・両眼より・ひとつのなんだ(涙)を・うかべて候」(1583ページ)
 私には、さながら尊(とうと)き多宝(たほう)の母である学会婦人部の皆様方への讃嘆(さんたん)と拝されてならない。

 また、この母の信心に続く娘(重須殿女房(おもすどのにょうぼう))へ贈られたのが、正月の御文として有名な十字御書(むしもちごしょ)である。
 「法華経を信ずる人は・さいわいを万里(ばんり)の外(そと)よりあつむべし」(1492ページ)とは、絶対の約束(やくそく)であられる。

 「先駆(せんく)」の誉(ほま)れも高き北九州に、夫を戦争で奪(うば)われ、郵便配達をしながら、娘を育て上げた女性がいる。戦時中、非国民呼ばわりされても、捕虜(ほりょ)の敵兵たちに飲み水を汲(く)んであげた慈愛(じあい)と信念(しんねん)の母であった。

 戦後、平和を願い、広宣流布のため、愛娘と全身全霊(ぜんしんぜんれい)で奔走(ほんそう)された。悪口罵詈(あっくめり)にも怯(ひる)まず、愛する郷土に立正安国(りっしょうあんこく)の対話を広げ抜いた。
 最晩年は、後継の友たちの何より嬉(うれ)しい勝利の晴れ姿(すがた)を見届(みとど)け、「大九州、万歳!」「創価学会、万歳!」と声高らかに叫び切って、所願満足(しょがんまんぞく)の人生を飾(かざ)っていかれたのである。

 あまりにも崇高(すうこう)な父母たちが命を賭(と)して築き上げた創価の人材城に、いよいよ民衆凱歌(みんしゅうがいか)の万歳(ばんざい)を轟(とどろ)かせていくのが「青年学会 勝利の年」だ。

 古代ローマの哲人セネカは「王者とは、何も恐(おそ)れぬ者」と結論(けつろん)した。
 我らは妙法と共に、恐(おそ)れなき人間王者、信仰王者の心で、境涯(きょうがい)を開き、仏縁(ぶつえん)を結び、新たな栄光の旗(はた)を打ち立てようではないか!

 堂々と
  また晴れ晴れと
    この人生
  勝ち抜け断固と
    王者の如くに