随筆 民衆凱歌の大行進 No.8 (2014.7.11付)

誓いの青年《きみ》に贈る
共に広布の大願に生き抜こう!
創価の師弟に「希望」と「勝利」あり
 初めに、台風8号及び大雨のために被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
 台風の影響は広範囲にわたっており、関係地域の皆様の無事安全を真剣に祈っております。
        ◇
 青年《きみ》と我
  大願 誓いし
     不二の旅
 日蓮大聖人は、青年門下の南条時光に呼び掛けられた。
 「願くは我が弟子等・大願ををこせ」(御書1561㌻)
 「誓願」──それは、仏法の極意である。
 誓いがあるから、祈りは深まり、生命に限りない勇気が湧き立つ。
 誓いがあるから、苦難を越えて成長し、人をも幸福にしていける。
 初代から2代、2代から3代へ。そして3代から青年ヘ──広布の大願は受け継がれてきた。
若き命光る7月
 今、わが青年部が後継の誓いを漲らせて躍り出で、5月以来、各地で意気軒昂に「創価青年大会」を開催している。
 両国国技館で行われる総東京の大会も目前だ。
 男子部、女子部が結成された7月、若き生命がいやまして光る。男女学生部と共に、拡大の先頭に立って、誠実に友情を広げる奮闘の姿は、何と神々しいことか。
 既に青年大会を飾った沖縄では、尊き“多宝の母”が地元在住の11人のお孫さんと、仲良く参加されたとも伺った。
 30年ほど前、私が「沖縄広布を頼みます」と申し上げた母である。病苦など、幾多の艱難を乗り越え、立派な後継の花を咲かせてこられた。
 長野の同志は、「いつも歌声の長野」を合言葉に、「創価青年音楽祭」と銘打ち、全国に先駆けて青年大会を開いた。
 わが憧れの木曽の天地でも、男女青年部・未来部の成長と活躍が誠に目覚ましい。その原動力は
「木曽家族」と呼ばれる壮年部・婦人部の面倒見の良さにある。
 この木曽圏(ゾーン)の活動の舞台は、有名な良材の里でもある、南北100キロに及ぶ山間地だ。旧習も深く、かつては学会への偏見も根強かった。
 弘教に歩けば塩を撒かれた。労苦の日々にあって、木曽広布の父母《ちちはは》たちは「理想の郷土をつくるのだ!」と誓い、負けじ魂で忍耐強く地域貢献に奔走されてきたのだ。
 何と尊き創価家族よ!
 私は、このたびの台風、大雨、土石流等の被害に、重ねてお見舞い申し上げ、題目を送りたい。
 関西の各地でも「常勝後継」の若人たちが威風堂々と大結集している。
 東北の同志と励まし合いながら前進してきた兵庫の青年大会では、宮城の未来部の友との希望あふれる合同合唱も大きな感動を広げた。
 思えば、「大阪の戦い」の指揮を執った時、私も28歳の青年だった。
 当時の日記に綴った。
 「妙法の青年革命児よ、白馬に乗って、真っしぐらに、進みゆけ。山を越え、川を越え、谷をこえて。“走れメロス”の如くに。厳然と、師は見守っているぞ」
 今、師弟の誓いに走りゆく“創価のメロスたち”が澎湃と続いてくれている。
共戦の心を歌う
 作家・吉川英治が描く大楠公楠木正成《まさしげ》は、わが子・正行《まさつら》に語った。
 「人の一生にはたくさんなことができる。誓えばどんな希望《のぞみ》でもかけられる」と。
 いわんや、広宣流布を誓う青春は、無窮にして永遠なる希望を広げていくことができる。
 本年4月の本部幹部会に寄せて、私は、青年部、また全同志に、新たな学会歌「誓いの青年《きみ》よ」を贈った。
 新しい勢いのある歌が響きゆく姿は、師・戸田城聖先生が語られた通り、「学会発展の勝ち戦の瑞相」である。
 「青年」と書いて「きみ」と読むようにしたのは、「きみ」と「私」が一対一で結びついた共戦の誓いこそ、師弟の根幹であるからだ。
 そして、わが親愛なる同志の「きみ」が、一人も残らず、生涯「青年」の心で戦い続けてほしいと願ったからである。
出発《たびだち》の時は「今」
 あらためて、この歌にも込めた3つの指針を確認し合いたい。
 第1に、出発《たびだち》は今だ、と勇敢に立ち上がれ!
 「開目抄」に引かれた甚深の経文には「過去の因を知らんと欲せば其の現在の果を見よ未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」(御書231㌻)とある。
 現在すなわち「今」がどれほど大切か! この一点を、私たちは生命に深く刻んできた。
 それは、仏法は本因妙だからである。クヨクヨと後ろを振り返らない。常に「今」「ここ」を起点として、誓願を起こす。その一念に勇気は満ち、未来の一切の勝利を開く因をつくれるのだ。
 非暴力の大英雄マハトマ・ガンジーは「誓願」について「その成就を目指して、不断の誠実な努力をする」ことなりと結論していた。
 我らは末法広宣流布を誓い合った地涌の菩薩である。この時代、この場所を、自ら選んで生まれた使命の勇者だ。
 その大使命を自覚し、大願に生き抜く青春に、力が出ないわけがない。時代を変えゆく智慧が、湧かないわけがない。
試練は誉れなり
 第2に、嵐を誉れとして正義を語れ!
 前進あるところ、風が起こる。挑戦あるところ、波が立つ。試練を誉れとしながら、民衆を苦しめる邪悪とは決然と戦う!
 これが革命児であり、「創価の心」である。
 戸田先生が、人材グループ「水滸会」の教材として、ユゴーの革命小説『九十三年』を使われたのは、60年前(1954年)の7月であった。
 「人間愛の勝利」を願った同書には、高らかに謳われている。「人間が作られているのは、くさりを引きずるためではなくて、つばさをひろげるためなのです」と。
 民衆を、宿命や苦悩の鎖から解き放ち、自らの翼で使命の大空に羽ばたかせていく。それを可能ならしめるのは、一人一人への励ましの力だ。
 ゆえに、我らは民衆の中に飛び込み、人類を照らす希望と正義の哲理を語っていくのである。
 民衆の凱歌を轟かせゆ大ロマンを胸に!
不二の後継たれ
 第3に、不二の後継の勝利で未来を開け!
 広宣流布とは万年への平和の挑戦であり、魂のバトンを託す後継者がなくてはならない。「誓いの青年《きみ》よ」の歌詞にも詠った如く、「信ずる後継《きみ》」ありてこそ、師弟は永遠に勝っていけるのだ。
 大聖人は“仏法は勝負なり!”と、歯を食いしばって苦難と戦う弟子を「法華経の命を継ぐ人」(御書1169㌻)と讃えられ、その人生の打開を祈り、激励された。
 師匠があらゆる苦難を勝ち越えた如く、不二の弟子ならば、必ず未来を切り開いてみせる!──この希望に燃えて、広布へ勝利へと走る君たち、貴女《あなた》たちも皆、「法華経の命を継ぐ人」であり、共戦の後継者である。
 わが青年諸君は、人生の闘争の中で、“自分は勝った!”という日記を綴りながら、その喜びを地域の友と分かち合い、さらに後継の友に受け渡していただきたい。
 アルゼンチンの人権の闘士エスキベル博士は、創価の青年に絶大な期待を寄せてくださった。
 「皆さんを信じます。偉大な平和闘争を継承し、あらゆる困難を乗り越え、希望の未来を築いてください!」
 我らは、世界の友と手を取り合い、未来を創る勇気の連帯《スクラム》を一段と広げながら、「平和の地球《ほし》」を朗らかに築きゆくのだ。
        ◇
 今回、学会歌「誓いの青年《きみ》よ」を作曲してくれたのは、今年、結成60周年を迎えた創価の楽雄・音楽隊の有志である。明るく清新な音律は、師弟共戦の息吹から生まれたのだ。
 この音楽隊と鼓笛隊の練習施設となる、「創価青年音楽センター」が、併設の新・東大和文化会館と共に、いよいよオープンする。真心で支えてくださる皆様方に感謝は尽きない。
 真剣な練習で磨かれた生命が奏でる調べが、大歓喜のマーチとして世界に轟きわたることを、私は信じ見守っている。
        ◇
 快活な乙女「赤毛のアン」を生んだ、作家のモンゴメリは呼び掛ける。
 「人間は成長しなくちゃ」「人間は世の中の波にもまれて成長していくんだもの」
 私は深く強く信ずる。
 艱難に負けず、創価の旗を掲げて成長しゆく、君たち、貴女《あなた》たちがいれば、この地球は、もっともっと、美しくなると。
 誓いの青年《きみ》よ!
 最愛の弟子たちよ!
 断じて、勝利また勝利の歴史を飾りゆけ!
 誓願
  走る後継《きみ》らの
   晴れ姿
  諸仏も讃えむ
   諸天も護らむ

 吉川英治の言葉は『私本太平記』(講談社)。ガンジーは『獄中からの手紙』森本達雄訳(岩波書店)。ユゴー著『九十三年』は榊原晃三訳(潮出版社)から。モンゴメリは『アンの村の日々』上坪正徳訳(篠崎書林)。