随筆 民衆凱歌の大行進 No.9 (2014.8.1付)

伸びゆけ未来部!
宝の師子の子を全力で育もう!
若き心の大地に信心の壹ぴの種を
 ひまわりの
  笑顔の花の
    未来部よ
  希望の青空
    強く伸びゆけ
 大地に根を張り、たくましく芽を出し、嵐にも怯まず、ついに開花の時を迎えた喜びを、太陽に向かって全身で表現するひまわりの花──。
 その姿は、私が心から愛し、信頼する未来部の皆さんの輝きと二重写しに見えてならない。
 先日、東西の創価中学校から、校内に植えられた「ど根性ひまわり」が咲き誇っている、との“花便り”をいただいた。
 宮城・石巻市の青年から贈られた種の一部を、学園生たちが丹精込めて育ててくれたのだ。
 この種は、東日本大震災津波によって、海水をかぶった石巻の土地に流れ着いたもので、がれきの中で、凜として大輪の花を咲かせた。
 「ど根性」とは、どんな困難があろうとも、強く朗らかに乗り越えていく「負けじ魂」であろう。
 未来部の君たち貴女《あなた》たちが、苦難にも負けず、勝利の花と咲き開くその姿は、父母の喜びであり、私の誇りであり、世界の希望であるのだ。
金の思い出を!
 後継の友を励ます「未来部躍進月間」にあって、少年少女部は「きぼう作文コンクール」と「少年少女希望絵画展」。中・高等部は「読書感想文コンクール」などへの挑戦を通し、成長の節を刻んでいる。
 学会の新たな伝統になった「創価ファミリー大会」も、列島各地で賑やかに行われている。
 結成50年を迎えた高等部では、全国から代表が創価大学に集い、「夏季研修会」が行われる。無事故で、麗しい友情の連帯を結び広げながら、生涯にわたる原点と、かけがえのない金の思い出を築いていただきたい。
 ロシアの文豪ドストエフスキーは綴った。
 「子どものときから大事にしてきたすばらしい神聖な思い出、もしかするとそれこそが、いちばんよい教育なのかもしれません」と。
 創価家族の温かな思い出を、感受性豊かな子どもたちの心に、どれほど多く残しゆけるか──。壮年・婦人の未来本部長の方々、男女青年部の21世紀使命会の諸君、さらに教育本部の皆様方の最大の励ましを、切にお願いしたい。
 現在の未来部の友は、学会創立100周年の2030年を青年部の中核となって迎える、大事な大事な世代である。その希望の使者たる未来部の担当者の皆様こそ、末法万年の広宣流布の沃野を切り開く誉れの先駆者だ。
座談会を舞台に
 福井の景勝・三方五湖《みかたごこ》を擁するある支部では、未来部をはじめ若い力が陸続と育っている。
 この支部には、未来部育成にあたり、初代支部長の時代から継承されてきた伝統がある。
 それを三つの柱に分ければ、第1に「座談会こそ後継者育成の舞台」という取り組みであろうか。
 初代支部長も、座談会を通して子どもたちを育てようと真剣だった。
 御書の拝読なども積極的に子どもたちに担ってもらう。大人はこまやかに見守り、健気な奮闘を皆で心から讃える。
 学校で頑張った報告があれば、惜しみない拍手を送る。子どもたちの顔は次第に自信に輝き、座談会が楽しみになる。
わが子の如く
 第2の柱は「未来部は皆わが息子・わが娘」。
 支部の壮年・婦人は、とても面倒見がいい。よく褒めてくれる。褒めるだけでなく、もしも人として過った道に迷いかけた子がいたら、あえて叱る時もある。普段、大人の言うことに耳を貸さない子も、“学会のおじさん・おばさん”には、なぜか素直になるそうだ。
 わが地域の子どもたちを信じ、幸福を祈り抜いて、生命と向き合う真剣勝負──だからこそ若き心に届くのだろう。
地域の誇り語れ
 3つ目の柱は「郷土愛を育む」。
 自分たちが住む地域に、どんな広布の歴史があるのか。先達たちがどれほどの苦労を重ねて、今の地域広布の土台を築いてくれたのか。大人たちは、常日頃から子どもたちに誇りをもって語り聞かせている。
 支部内の地域で生まれ育ち、創価女子短期大学を卒業後、地元に戻って活躍する、女子部のリーダーは振り返る。
 未来部時代。勉強でも部活でも、彼女が目標を達成できたと言うと、学会のおばさん、お姉さんたちが共に喜び、「よく頑張ったね!」と抱きしめてくれた。反対に悲嘆に暮れた時には、「つらかったやろ……」と涙を浮かべて、嬉しかった時以上に、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 自分も、大好きな故郷に尽くしていきたい──彼女は、感謝の心で華陽の友を励ます日々だ。
 この地域では、創価の学舎に、大切なお子さん方を毎年のように送り出してくださっているとも伺った。創立者として、厚く御礼申し上げたい。
広布の生命線
 日蓮大聖人は、仏の願いを、こう仰せである。
 「未来に法華経を弘めて未来の一切の仏子にあたえんと・おぼしめす」(御書236㌻)
 広宣流布とは、「末法一万年の衆生まで成仏せしむる」(同720㌻)聖業なのだ。その生命線は、未来を開く後継の人材が、澎湃と育ちゆくことにほかならない。
 今、目の前の一人の未来部員を大切にし、全力で育てることが、御本仏に直結し、崇高な仏の振る舞いにも通ずることを、誉れ高く確信していただきたい。
        ◇
 「世界広布新時代 開幕の年」である本年。
 日本の「未来部の日」に合わせ、ブラジルやイタリアなど海外の未来部から応援のメッセージが届くなど、未来部の成長と前進もまた“世界同時進行”である。
少女と母の約束
 ブラジル創価学園に通う、一人の少女部員の話を伺った。
 本年、彼女は最愛の母を、がんで亡くした。病がわかった時、母は、幼い娘に精いっぱいの笑顔を見せた。「負けないよ。先生の弟子だもの」
 闘病中、夫を入会に導き、自宅も広布の会場に提供。悩める友がいれば、何を差し置いてでも激励に飛んでいった。
 「みんなを幸せにできる人になるうね」──これが、母と娘が交わした約束だったという。
 数年に及ぶ闘病生活を生き抜き、使命を果たし抜いた母は、娘の頬に手をあて、優しく語った。
 「お母さんはとっても幸せだったわ」
 そして、創価の師弟に生き抜き、同志と後継者に恵まれた喜びを伝え、言葉を継いだ。「あなたも幸せになるのよ」
 少女部員は先日、未来部の会合に参加し、笑顔で語ったという。
 「私の胸に、お母さんは生きています。側には、いつも励ましてくれる学会の優しいお兄さん・お姉さんたちがいます。だから負けません」
 彼女は今、父と毎日、勤行に挑戦中という。そして一生懸命、勉強に励みながら、将来の夢である“平和の心を伝える歌手”を目指して努力を続けている。
学会の庭で成長
 「子どもは、学会の庭で育てていきなさい』
 これは、わが師・戸田城聖先生が繰り返し訴えておられた、信心継承の要諦である。
 学会には、一人ひとりが自身の可能性に目を開き、確かな自信と安心と希望を得ていくための豊かな励ましがある。
 そして、人間として生きていく上で、最高の誇りと自覚をもつことがでざる哲理がある。
 「生命とは」「使命とは」「師弟とは」──担当者が真剣に語る言葉は、たとえその時は全てが理解できずとも、若き心の大地に成長の種として植わり、信心の根を深く広げていくものだ。
 何より、子どもたちが鋭敏な生命で感じ取っているのは、大人たちの「自他共の幸福を目指す真剣な生き方」であり、「正義の道を貫く勇気と信仰の喜び」であろう。
 さあ、後継者育成の夏、共に成長の夏だ。大切な未来部を皆で励まそう!
 宝の師子の子を、全力で育てよう!
 ここにこそ、広宣流布の永遠の前進と勝利の大道があると確信して!
 学会は
  人材 湧き立つ
    大地なり
  皆で正義の
   大樹 育てむ

 ドストエフスキーの言葉は『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳(光文社)。