大白蓮華 2016年(平成28年)2月号(No.796)


心を灯す「喜びの対話録」を!


 対話から、「生きる喜び」は生まれる。
 アメリカの未来学者ヘンダーソン博士がご半和の先生々と仰いだのも、対話に励むお母さんであった。
 「母は周りに、いつも声をかけていました。相手を尊敬(そんけい)して話しかけるので、皆に好かれていました。母のようになりたい! そう思ったものです」と。
 人が人を思いやる声ほど、温かいものはあるまい。
 その励ましが、人間の善なる命を呼び起こすのだ。
 生命は生命によって磨かれる。すなわち対話である。
 「月月・日日に」慈折広宣流布(じしゃくこうせんるふ)のため、立正安国(りっしょうあんこく)のため、わが創価家族の信念の行動は止むことがない。
  声も惜(お)しまぬ不挑不屈(ふとうふくつ)の挑戦があるからこそ、「人間革命」の歓喜の劇(げき)は、全世界に広がっているのだ。

 日蓮大聖人は、十界のいかなる衆生も即身成仏(そくしんじょうぶつ)させる妙法の力を、「水の底なる石に火のあるが如く百千万年くらき所にも燈(ともしび)を入れぬればあかくなる
(1403ページ)と讐(たと)えられた。

 なんと鮮烈(せんれつ)な讐喩(ひゆ)であられることか。
 水底の石に秘められた火を打ち出すように、また、長き闇(やみ)に覆(おお)われた洞窟(どうくつ)を照らし晴らすように、友の心を信じ、生命尊厳(せいめいそんげん)の哲理(てつり)で劇的に蘇(よみがえ)らせていく。
 これが、私たちの仏法の語らいなのである。

 身構(みがま)える必要などない。自らの胸奥(きょうおう)に燃え上がる確信の炎(ほのお)は、縁する人の心に、しかと伝わるからだ。

「本有無作(ほんぬむさ)」という、ありのままの大蔵実の生命で、価値創造の希望の燈(ともしび)を点火していけばよいのだ。


      大境涯
   開き勝ちゆけ
      この生命
     祈り走リて
       喜び語れや

 真心こめて語っても、反発されることがある。誠意を尽くして、心ない冷笑が返ってくることもある。

 しかし、すべて「不軽菩薩(ふきょぅばさつ)」に連なる仏道修行だ。
いかなる圧迫にも屈(く)せず、一人一人を敬(うやま)い、啓発(けいはつ)の対話を貫(つらぬ)き通した不軽(ふきょう)は、無量(むりょう)の功徳を成就(じょうじゅ)した。
この如説(にょせつ)の対話によって境涯(きょうがい)を大きく開き、宿命を転換(しゅくめいてんかん)し、大福徳を漲(みなぎ)らせてきたのが、学会員である。

 毎日、泣くほどの生活苦や、病苦を乗り越えてきた埼玉の功労の夫妻は今、朗らかな笑顔で語る。
 「感謝の心で、隣人も知人も友人も、みんな幸せになってほしいと朝晩、名前を挙げて祈っています。
対話をすれば、自分が変われる。どんな人も変わる。だから、種を蒔(ま)くことをやめません!」と。

 世界には、野蛮(やばん)な暴力が噴出し、憎しみの怒号(どうご)や悪意(あくい)の虚言(きょげん)が渦巻(ま)いている。それゆえにこそ、人間を尊敬(そんけい)し、信頼し、善意(ぜんい)の連帯(れんたい)を拡犬しゆく創価の正義の声を、いやまして強く広く、高めていきたい。

 師・戸田城聖先生は、「自行化他(じぎょうけた)の題目を唱え、わが身に妙法がしみ込んでくると、折伏したくなり、人を救いたくなる。この実践によって、人生も社会も、よりよく打開していけるのだ!」と言われた。
 我らには誓願(せいがん)の題目がある。祈り、涌現(ゆげん)した仏の命で、人と会い、人と語る。その一切が仏縁(ぶつえん)となる。
高齢や病などで動けずとも、題目は必ず相手に届く。

 さあ、「今生人界(こんじょぅにんかい)の思出」と輝く、喜びの対話録を、楽しく伸びやかに勝ち広げようではないか!