小説「新・人間革命」 雄飛 十七 2017年7月4日

山本伸一は、長崎空港から長崎文化会館へ向かった。彼の長崎訪問は、十二年ぶりであった。
伸一は、県長の梅森嗣也から、文化会館で長崎支部結成二十二周年記念幹部会が行われていることを聞くと、直ちに会場に顔を出した。大拍手がわき起こった。
「お久しぶりです。嵐を乗り越えた長崎の勝利を祝って、全員で万歳をしましょう!」
梅森が音頭を取り、「長崎創価学会、万歳!」の声が場内に轟いた。
伸一は、これから市内のホテルで訪中についての記者会見があるため、すぐに出発しなければならないことを告げ、言葉をついだ。
「人生を勝ち越え、幸福になっていくには、どうすればよいか──。
仏の生命も、地獄の生命も、わが心のなかにあります。その仏の生命を涌現させることによって、崩れざる幸せを築いていくことができる。
それには、自身の一念を広宣流布に定め、自他共の幸福の実現を誓って唱題し、信心し抜いていくことです。
日蓮大聖人は、『我もいたし人をも教化候へ』『力あらば一文一句なりともかた(談)らせ給うべし』(御書一三六一ページ)と仰せです。
広宣流布に走り、折伏
弘教に生きるならば、わが身に仏の大生命が涌現し、あらゆる人生の苦をば、大歓喜に変えていくことができる。
ゆえに大聖人は、流罪の地である佐渡にあっても、『我等は流人なれども身心共にうれしく候なり』(同一三四三ページ)と述べられているんです。
学会員が何百万世帯になった、一千万人になったといったって、今現在、地球上には四十数億の人がいます。
まだ数百人に一人、学会員が誕生したにすぎない。
そう考えるならば、世界広布は、まだまだ緒についたばかりじゃないですか。
いよいよこれからです。二十一世紀が本当の戦いです。
皆さんは、うんと長生きしてください。そして、共に広宣流布に生き抜きましょう!」
歓喜と誓いの大拍手が響いた。