小説「新・人間革命」 雄飛 三十六 2017年7月27日

山本伸一は、岐阜文化会館から各務原文化会館に移動した。
ここにも、彼の岐阜訪問を聞いた大勢の同志が集い、会館は人であふれ、玄関から入ることはできなかった。
「よし、自由勤行会をやろう!」
伸一は、こう言うと、建物の外にある螺旋状の非常階段を上がり、会場へ向かった。
彼は、参加者に呼びかけた。
「辛い思いをされたでしょう。でも、もう大丈夫です! 皆さんは勝ったんです。
一人も残らず、幸せという人生の栄冠を勝ち取ってください。私は、皆さんを断じて守ります」
勇気の声が響いた。
伸一は、共に祈りを捧げた。「春が来た」など、次々とピアノも弾いた。
婦人部の代表と懇談し、各部の友と記念撮影もした。中部滞在中の記念撮影は優に百回を超えた。
翌十二日に岐阜羽島駅を発つまで、岐阜での彼の激励は続いた。
一目でも会いたいと駅に駆けつけたメンバーを見ると、改札に入る間際まで声をかけ、集った十九人を「羽島グループ」としてはどうかと提案した。
一回の出会いを、単なる思い出として終わらせたくなかった。新しき誓いと未来への出発の起点にしたかったのである。
伸一の指導旅は続いた。静岡に移動した彼は、静岡文化会館で男子部部長会参加者に万感の思いを込めて訴えた。
広宣流布の後継を頼む!」
「今こそ、信心修行の労苦を忘れるな!」
「『身は軽く法は重し』を深く心に刻め!」
「社会、職場の勝利者たれ!」
さらに、十三日には、同会館で自由勤行会を開催し、第一線の同志の輪の中に飛び込み、十四日に東京に帰った。
四月二十九日に長崎から始まった激励行で、彼は十五万人を超える同志を励ました。
皆の胸に、歓喜と勇気の火を赤々と燃え上がらせた。皆が、広宣流布に生き抜く創価の師弟の大道を歩み抜こうと誓願した。
冷酷無残な悪侶と反逆の徒輩の謀略に対し、反転攻勢の烽火が天高く上がったのだ。