小説「新・人間革命」 陽光19 1月24日

 山本伸一がサンディエゴ入りした四日には、既にハワイやニューヨーク、さらに、メキシコからも、メンバーが続々と集まって来ていた。

 また、ブラジルからも世界平和文化祭を終えた理事長の斎木安弘が駆けつけて来た。

 斎木は、サンパウロ州のオザスコ市から、伸一に贈られた銀製プレートを届けに来たのである。

 この銀製プレートの贈呈は、伸一の平和貢献を高く評価し、名誉ある市民に当たるとして、オザスコ市の市議会で決定したものであった。

 伸一は、同行の幹部らと共に、ホテルで斎木と懇談した。

 斎木は、喜々として報告した。

 「先生のご訪問がなくなったことをメンバーに伝えました時には、皆、悔し涙にむせびました。

 しかし、『先生がいらっしゃらないからといって、泣いているような弱虫でどうする! 私たちの手で、文化祭を大成功させるのだ。それでこそ真の弟子じゃないか!』と語り合いました。

 そして、みんなが“先生、見ていてください”との思いで、懸命に挑戦しました。

 文化祭は大成功でした。出席した各界の来賓も、感動し、学会への理解を深めております。

 また、みんなが、あらゆる機会に、学会の正義と真実を、勇気をもって語り抜いてきました。

 そうしたなかで、オザスコ市のように、市をあげて先生の平和行動を賞讃するケースも出てまいりました」

 伸一は、斎木の顔を見つめて言った。

 「みんな、さぞかし悔しかっただろう。辛かっただろう。

 しかし、そのなかで立ち上がった。

 ブラジルはきっと大発展するよ。二十一世紀の“世界広布の雄”となることは間違いない!」

 経文には「未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」(御書二三一ページ)とある。

 今、いかなる決意で、どう行動しているのか――それによって、未来の結果は決定づけられていくのだ。

 誰よりも労苦を背負いながら、黙々と広宣流布のために戦う。その人こそ、誰よりも強く、誰よりも幸せになり、誰よりも栄光をつかむのだ。

 それが、因果の理法である。