小説「新・人間革命」 陽光37 2月15日

 氷上文化祭に引き続き、「第十一回全米総会」が開始されたのは、約一時間後の午後四時前のことであった。

 その間に、スケートリンクの上に板が敷き詰められ、イスが並べられ、総会用の舞台が設けられたのである。

 会場の関係者も、驚嘆するほどの早変わりであった。周到な準備と団結の勝利であった。

 御聖訓には「異体同心なれば万事を成し」(御書一四六三ページ)と。アメリカのメンバーは、まさにその御文を、あらゆる場面で実践して見せたのである。

 全米総会は、アメリカ国歌の斉唱で始まった。

 開催地サンディエゴの代表などのあいさつが続いたあと、山本伸一のスピーチに移った。

 「グッド アフタヌーン! ハウ・アー・ユー?」(こんにちは! 皆さん、お元気ですか?)

 親愛の情を込めた英語のあいさつで、伸一の話は始まった。

 「このサンディエゴの町に、世界一美しい人間の花が咲いたような総会、大変におめでとうございます!」

 通訳を通して伸一の話が伝えられると、歓呼の声があがった。

 彼は、仏法とは何かということを、簡潔に語ろうとしていた。

 「仏法では、わが身は妙法の当体であると説いております。

 そして、妙法には、また、妙法によって顕現される仏界という生命には、英知も含まれれば、慈悲も、さらに哲学も、福運も、正義も、人間性も、道理も、すべてが包含されております。

 ゆえに、そのわが身の仏界を顕現させていくために、みんな仲良く、晴れがましい、勇気ある信心に励み抜くことを、心からお願いするものであります」

 賛同の大拍手がこだました。メンバーの瞳は燃え輝いていた。

 伸一は、この歓喜を、決して一時的なものに終わらせるのでなく、それぞれが、人間革命をめざし、生涯、信心を貫き通してほしかった。

 “持続”によってこそ、信心の本当の力を得ることができるからだ。

 ゆえに彼は、力を込めて訴えた。

 「広宣流布の使命に生きる皆さんは、いかなることがあっても、退転してはならない。怨嫉があってはならない」