2008年3月22日付 聖教新聞 創価大学・創価女子短期大学卒業式での名誉会長のスピーチ-2

2008年3月22日付 聖教新聞
創価大学創価女子短期大学卒業式での名誉会長のスピーチ-2


キルギス国立大学より「名誉博士号」授与

 語学を学び抜け
 一、これから多くの人は、社会に出ていくでしょうが、一つ、皆さんにお願いしたいことがあります。
 私の80年の人生における最大の後悔は、英語をはじめとする語学を勉強できなかったことです。
 勉強は一生です。語学は、徹して学び続けていただきたい。
 私は、36年前、イギリスの大歴史家トインビー博士と対談を始めました。
 2年越し、40時間に及んだ語らいは、対談集『21世紀への対話』に結実。幸いにも、これまで大きな反響を広げてきました。
 〈『21世紀への対話』は、これまで世界27言語で出版。ある識者は、「人類の教科書」と讃え、多くの指導者の“座右の書”となるなど世界的名著との評価が寄せられている〉
 トインビー博士との語らいは、政治、経済、哲学、文学、教育、環境、さらに仏法の生命論や宿業論など、あらゆる次元に及びました。
 博士は、日本の万葉集源氏物語竹取物語古事記などもよくご存じで、詳しく勉強されていた。驚きました。
 話の内容が高度で、テーマは多岐にわたり、3人の通訳が準備していましたが、それでも追いつかない。
 私も、自分で英語ができないこと、語学ができないことが悔やまれてなりませんでした。
 勉強しなければいけない。語学を勉強しない人は、時代に取り残されます。大きな仕事はできません。
 ましてや現代のような国際化の時代にあっては、恥をかくだけです。
 まずは英語です。さらにまた、さまざまな語学にも挑戦していただきたい。
 創価大学、女子短大でも、語学には力を入れていますが、一日中、家でも、学校でも、英語漬けで暮らす──そのくらい徹底して勉強していかなければ、本当の力はつかないとも言われている。
 ともあれ、徹して語学に力を注いでまいりたい。教職員の皆さんも、よろしく頼みます。
 一、トインビー博士は、対談の終わりに、遺言のごとく私に言われました。
 「私は、いくつかの大学から名誉称号を受章しましたが、あなたは私よりも、必ず将来、多くの名誉称号を受けるでしょう」と。
 博士のおっしゃった通り、私がお受けした世界の大学・学術機関等からの名誉学術称号は、きょ
うで「231」となりました。皆様方のおかげであります。
 この栄誉を私は、謹んでトインビー博士にお伝えしたい。また、初代の牧口会長、2代の戸田会長にご報告申し上げたいのです(大拍手)。

君よ「正義の師弟」の大義に生き抜け
誓いを果たせ「厳窟王」の心で
忍耐強く「我慢のそこの幸せがある」 キルギスの格言

 創大への期待
 一、対話といえば、先日、小説『新・人間革命』にも書きましたが、戦後の日本を代表する政治家の一人、佐藤栄作総理との語らいも忘れられません。
 佐藤総理から私が招かれて、鎌倉の別邸を訪問したのは、昭和41年(1966年)の1月8日。
 佐藤総理は64歳、私は38歳でした。
 約3時間半にわたり、これからの日本の動向、世界平和の展望について、二人きりで、じっくりと語り合いました。寛子夫人の真心の夕食もごちそうになりました。
 今後の抱負を尋ねられ、私は、答えました。
 「大学をつくります。大事なのは教育です」と。総理も深くうなずいて、賛同してくださいました。
 その鎌倉の別邸には、吉田茂元総理の写真が飾ってありました。〈名誉会長には吉田茂元総理の遺品が令孫から届けられている〉
 その写真を見て、佐藤総理は、「私の師匠です!」と誇り高く言われた。
 師匠をほめ讃え、自負できる人は幸せです。
 師弟の道を貫く魂と魂は、深く共鳴するものです。
 〈小説『新・人間革命』の連載に際して、佐藤総理の子息である佐藤信二氏から、次のような声が寄せられている。
 「名誉会長と父は年齢的には父子ほどの差があり、出身地も、生活環境も異なるのに、同じ価値観を持てたのはなぜか。名誉会長の戸田先生に対する思い、父の吉田先生に対する思いに共通なものがあったのではないでしょうか」〉
 一、時代は変わって、私が第3代会長に就任した32歳のころ、当時の池田勇人総理とお会いしたことがあります。
 池田総理のご自宅は、信濃町にあり、わが家とご近所で、大変に親しくしていただきました。池田総理とも、教育について論じ合いました。
 さまざまな問題があるけれども、日本の将来にとって一番大切なのは、教育である。その点で意見は一致しました。
 このように、わが創価大学の創立には、皆さんの想像を超える大きな期待が込められていたのです。
 今や、世界から大きな賞讃が寄せられる創価大学になりました。先生方、卒業生の皆さん方のおかげです。本当にありがとうございます。

 指導者よ育て!
 一、先日(3月16日)行われた創価学園の卒業式で、ある有名な来賓の方が、あまりにも素晴らしい卒業式であったと感嘆しながら、秀才と英才の集まりである学園生の凛々しき姿を見て、このように語っておられたと、うかがいました。
 ──必ず、このなかから、総理大臣も、ノーベル賞受覚者も出ることはまちがいない、と。
 私も必ずそうなると確信をもっています。
 創価大学も頑張れ!
 私は、皆さんを悠然と見守っています。
 一、創価女子短大には、キュリー夫人の像が立っています。
 フランス・パリ郊外のソーの地には、キュリー夫人の家がある。私も幾たびとなく、その家の前を歩いたことが懐かしい思い出です。
 彼女は述べている。
 「皆の見本となるような結果を出す」には、どうすればいいか。そのためには、「見た目はバッとしないこともあるが、本当に実質的な価値のある課題をねばり強く追求することが必要である」と(スーザン・クイン著、田中京子訳『マリー・キュリー 2』みすず書房)。
 派手でなくていい。皆の注目を集める人間が、本当に偉い人間とは限らない。そうした社会の実像を、私はよくわかっているつもりであります。

 最高の薬は希望
 一、「人生最良の時である生春時代よ、真実と善の道を歩みゆくがよい」
 これは、キルギスが生んだ11世紀の大詩人・バラサグンが書き残した青春の讃歌であります。
 人類の知性から祝福されての卒業式、まことにおめでとう!
 卒業生の皆さんは、麗しき友情のスクラムで、わが創価大学、わが創価女子短期大学の第2幕を晴れ晴れと開いてくださいました。私は感謝しております。
 留学生の皆さん方も、本当によく頑張った。
 アメリ創価大学の英才たちも、ありがとう!
 本当によく来てくれました。うれしいです。皆で拍手を送りたい(大拍手)。
 私の大好きなキルギスの格言には、「学問は知識の泉。知恵は生活の明かり」とある。
 私は、永遠に学び勝ちゆく皆さんの門出を祝して、「学は光」「学は宝」「学は正義」そして「学は勝利なり」との言葉を贈りたい。
 創価の人間教育に当たってくださっている、教員の先生方、職員の方々も、いつも本当にありがとうございます。常日ごろから、大学を支えてくださっている多くの皆様方にも、心より御礼を申し上げます(大拍手)。
 「詩心の大国」キルギスの国には、美しき民話があります。
 それは、病と闘う父が、親孝行なわが子の真心にふれて、再び生きる希望を持ち、元気に蘇生できた。そして、母とともに、しみじみと「希望こそ最高の薬である」と喜び、語り合ったという物語です。
 皆さん方も、お父さん、お母さんに、最大の希望を贈りゆく親孝行の人生を送ってください!〈会場から「ハイ!」と元気な返事が〉
 もしもお父さん、お母さんが落ち込んでいるようなことがあったら、何とかして励ましてあげてほしい。
 「私が偉くなります! 勝ちます! だからお父さん、お母さんもお元気で!」──そうやって声をかけてもらいたい。
 それを遅くまでテレビを見ていたりして、親から「テレビ消しなさい」「早く寝なさい」と注意される。ついには「うるさいよ!」と怒って親とケンカする(笑い)。
 それではいけない。
 皆さんは親を蘇生させ、元気にさせていく。親を喜ばせていく。そういう一人一人であっていただきたい。
 例えば、きょうの卒業式が終わったら、電話でもいいから、「お父さん、お母さんのおかげで、素晴らしい卒業式を迎えられました。本当に創価大学に来られてよかった」──そう伝えてあげてほしい。
 明るい、楽しい、素晴らしい人生を、家族とともに、友人とともに、つくっていってほしいのです。ご両親が、皆さんのことをどれはど大切に思っておられるか。
 特に父頼は娘のことが心配で、かわいくてたまらないものです。例えば、娘に好きな人ができて、結婚をする──。

キルギスの格言 仕事に幸せを見出した人は美しい人

 もちろん、うれしいことではありますが、最愛の娘が嫁いでいってしまうのは、一面では寂しい、苦しいことなのです。
 万が一にも、恋愛や結婚のことで、娘が苦しむようなことがあれば、父親の心配はいかばかりか。それではお父さんがかわいそうです。
 聡明な皆さんには、こうしたことを知っておいてもらいたいのです。

創価大学創価女子短期大学卒業式での名誉会長のスピーチ-3に続く

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