小説「新・人間革命」  3月20日 人間外交16

「ウォー」という青年たちの、怒濤のような大歓声と拍手が、会場の大鉄傘を揺るがした。

 日大講堂で行われた中国青年代表団歓迎大会は、一行十七人の入場で幕を開けた。

 その瞬間、会場後方の最上階から、日本語と中国語で、「ようこそ 中国青年代表団の皆さん」「スクラムを組んで 平和を促進しましょう」と書かれた垂れ幕がスルスルと下りてきた。

 学生部長の田原薫が、歓迎のあいさつに立った。山本伸一の中国訪問に同行してきた彼は、一行の訪日を大歓迎し、声を限りに叫んだ。

「この日大講堂は、今から七年前の一九六八年(昭和四十三年)の九月八日、会長の山本先生が学生部総会に集った全国の学生部員を前に、社会の非難を覚悟で、あの歴史的な『日中国交正常化提言』をされた会場であります。

 この提言が、日中友好の源流となり、両国の交流の歴史が織り成されていったのであります。

 いわば、この会場は、日中友好の日本における原点の地であります。その意義深き会場に、中国青年代表団のご一行をお迎えできますことは、私どもにとりまして、最高の喜びでございます」

 中国の青年たちも、伸一の国交正常化提言によって、日中の新しい歴史が開かれたことは深く理解していた。

 その提言が行われたのが、この場所であったことを知り、一行は瞳を輝かせ、感動をかみしめるのであった。

 さらに田原は訴えた。

「中国と日本は、信頼と友誼の絆によって、強く固く結ばれなければならないというのが、山本会長の叫びであります。その平和友好の信念は、わが創価学会青年部に脈々と流れております。

 私たちは、本日を契機に、中国青年代表団の皆様と共に、日中の永続的な友好と平和の歴史をつくりあげていくことを、誓い合おうではありませんか!」

 会場を埋め尽くした青年たちが、熱気にあふれる、嵐のような大拍手で応えた。

 おお、青年たちよ!

 君たちの胸の坩堝にたぎり立つ情熱は、どんなに困難で分厚い氷壁をもとかすにちがいない。

 青年は世界の宝だ!

 人類の希望だ!